上記の悩みや疑問を解決する記事となっています。
こんにちは!建築士のやまけんです。
この記事を読むことで、建築基準法上の道路(私道)の変更・廃止の概要を知ることができるはずです。
不動産事業を営んでいる場合には、お客さんへの説明に、既に住んでいる人であれば、近隣とのトラブルを解決する糸口となるはずです。
それでは説明していきます。
この記事の対象となる敷地
はじめに、この記事の対象となる敷地についてです。
対象となる敷地は、都市計画区域内と準都市計画区域内となります。
よって、この都市計画区域(準都市計画区域を含む)外は接道義務の対象外となります。
対象外の場合においては、建築基準法上の道路に接する義務は生じませんので、私道の廃止によるトラブルがある場合には当事者間で解決(民法)します。建築基準法は関係しませんよ。
では、次の項では、道路は簡単に廃止できないことを説明していきます。
私道の廃止は制限
私道は簡単に廃止することはできません。それは建築基準法で規定されています。
主な理由としては、接道が取れない敷地は防火上危険だからです。緊急車両が通行できないことにより消火活動が遅れ、大きな災害となってしまうことを避けるためです。
また、接道が取れないことにより、再建築することは不可能となりますので、所有者の意思のみで簡単に廃止(変更)することはできない規定となっています。
[建築基準法第45条(私道の変更又は廃止の制限)]
私道の変更又は廃止によつて、その道路に接する敷地が第43条第1項の規定又は同条第3項の規定に基づく条例の規定に抵触することとなる場合においては、特定行政庁は、その私道の変更又は廃止を禁止し、又は制限することができる。
2 第9条第2項から第6項まで及び第15項の規定は、前項の措置を命ずる場合に準用する。
補足①:法第43条第1項は、接道に関する規定です。原則として敷地は道路に2m以上接する必要があります。
補足②:法第43条第3項は、地方公共団体は不特定多数の者等が利用する特殊建築物や3階建て以上の建築物、無窓居室を有する建築物に対して接道に関して法律にプラスして制限を付加することが可能となっています。
補足③:法第9条は違反建築物に対する特定行政庁の対応等について規定されているものです。
ちなみに特定行政庁(役所)では、指定道路台帳といって、建築基準法上の道路について一覧表化していたり、役所が提供するインターネット上の地図上に道路の位置・範囲等を明示していますので、誰もが調べることが可能です。
まとめ
私道の所有者等は簡単に変更・廃止することができないことが理解いただけましたか?
なお、廃止にあたっては今回説明したように建築基準法上の規定もありますが、民法上も権利の侵害となる恐れもあるので、簡単に廃止することはできませんので、私道に接する敷地に関わる場合に注意しましょう。
ということで以上となります。ご覧いただいた皆様の参考になれば幸いです。
・私道は所有者に廃止されてしまう恐れがあるの?