令和2年改正:立地適正化計画が改正されます[災害に強いコンパクトシティの形成]

令和2年に立地適正化計画制度が改正され、災害に強い都市づくりに向けた取り組みが強化されます。

今や不動産事業や建築設計を生業にされている方で都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画を知らない方は少なくなるくらい浸透してきましたよね。その立地適正化計画制度ですが、近年の大きな災害である西日本豪雨や台風第19号等の浸水・土砂災害を踏まえて、改正されます。

国会に提出する前に閣議決定されるのですが、それが令和2年2月7日(金)に行われました。今後は今期国会に提出され、何事もなければ成立される見通しです。(施行日については、公布の日から3ヶ月(開発許可制度に関する部分は2年)以内)

この立地適正化計画は、コンパクトシティの形成を図っていく計画です。居住や都市機能を誘導する区域を設定したり郊外部の居住を制限することができるなど、都市内の居住者はもとより、事業を行われる方にとっても今後のまちづくりの方向性を示す非常に重要な計画となっています。

 

この記事では、

  • 改正により、各都市はこれからどのような都市づくりを進めていくのか理解します。
  • あわせて、行政側の考えと解離した不動産投資を行って失敗しない思考をお伝えします。

それでは早速説明していきます。




都市再生法改正の概要

防災関係に関する改正は次のようになります。

  1. 災害ハザードエリアにおける新規立地の抑制
    ・災害レッドゾーンにおける自己業務用施設の開発を原則禁止(都市計画法第33条)
    ・市街化調整区域の浸水ハザードエリア等における住宅等の開発許可の厳格化(都市計画法第34条)
    ・居住誘導区域外における災害レッドゾーン内での住宅等の開発に対する勧告・公表(都市再生特別措置法第88条)
  2. 災害ハザードエリアからの移転の促進
    ・市町村による災害ハザードエリアからの円滑な移転を支援するための計画作成 (都市再生特別措置法第81条等)
  3. 居住エリアの安全確保
    ・居住誘導区域から災害レッドゾーンを原則除外
    ・市町村による居住誘導区域内の防災対策を盛り込んだ「防災指針」の作成(都市再生特別措置法第81条)
    ※出典:国土交通省報道発表資料「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案」を閣議決定~安全で魅力的なまちづくりを推進します~(令和2年2月7日)

このうち、次の3点が非常に重要と考えられます。

  • 立地適正化計画の居住誘導区域外における災害レッドゾーン内での住宅等の開発について勧告を行い、これに従わない場合は公表
  • 立地適正化計画の居住誘導区域内において防災指針を作成
  • 立地適正化計画の居住誘導区域から災害レッドゾーンを原則除外
    ※災害危険区域(崖崩れ、出水等)、土砂災害特別警戒区域、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域

 

一つ目は、居住誘導区域外の災害レッドゾーン内において住宅等の開発は原則として困難となるということ。

二つ目は、行政が居住誘導区域内(災害ハザードエリア)の防災指針を作成するということ。
👉記載例は、国の「水災害対策とまちづくりの連携のあり方」検討会において6月に取りまとめられるので、この報告を待ちましょう。おそらくですが、ハザードエリア内の建築の構造等の例示(土地の嵩上げや浸水水位以上に居室を設けるなどの対策を行うなど)があると考えられます。ハザードエリア内において本年の後半あたりに着工する場合は、この報告結果を待った方が良いです。

三つ目は、災害の危険性の高いエリアを居住誘導区域からの除外を徹底化(都市計画運用指針に明確に示される予定)するということ。
👉これまでも当該区域を含めることは都市計画運用指針において原則として認められていませんでしたが、それが更に強化される予定。

 

これら3つが特に重要だと言えるのには理由があります。

○災害レッドゾーンは現在のところ、災害危険区域(崖崩れ、出水等)、土砂災害特別警戒区域、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域とされています。そのうち、市街地に大ダメージを与える浸水想定区域については、一部の都市を除いて災害危険区域に指定していません。

しかしながら、今後、コンパクトシティを進めていく中で、市街化区域のうち郊外などで人口・密度が低い一部の浸水想定区域については、基盤整備をはじめとする減災対策を行っていくことは費用対効果も低く財政的に困難となることから、将来的な災害危険区域の指定を否定できません。

 

○また、現在、災害レッドゾーンを含めている自治体は遅くても来年度中には計画を見直して、居住誘導区域から除外するでしょう。

そうすると、余程、魅力あるエリアを除いて、住宅開発を行っていくというのは現実的ではありませんし、そのような危険性の高いエリアに融資や税財政上の支援を行うようなことにはならないと考えられます。そのため、そうした災害レッドゾーンへの民間投資は非効率となります。

 

こちらは、昨年度、国の小委員会において参考資料として示されたものですが、ハザードエリアを含む都市がこれだけあります。👉土砂災害特別警戒区域で3都市/275都市、急傾斜地崩壊危険区域で10都市/275都市 なお、現在全国で224都市が策定に向け取り組みを進めています。


※出典:第16回都市計画基本問題小委員会

 

これからの不動産事業において注意するべき点

最も大切なことは、立地適正化計画を策定しているかどうかの別に関わらず、災害レッドゾーン内では宅地開発や建築は行わないことです。

災害を受けた場合の業務継続性を考慮し、行政が居住誘導区域や都市機能誘導区域から除外しているかどうかに関係なく、一部の例外(一時的な仮設や事業上やむを得ない場合など)を除いて、不動産事業を行うかは慎重に判断するべきです。

もちろん行政が立地適正化計画を策定し、災害ハザードエリアを明示していれば問題なく誘導区域へ投資を行って行けば良いと考えられますが、そうではない場合、必要な情報は自分で仕入れて、事業をやるべきかどうか判断していきましょう。

次に浸水想定区域への対応ですが、国の「水災害対策とまちづくりの連携のあり方」検討会において今年の6月に報告取りまとめが行われる予定なので、この結果を待ちましょう。これについては、内容が分かり次第、このブログでもお知らせしたいと思います。


図 災害ハザードエリアでの宅地等の開発のイメージ

それでは今回の記事は以上となります。
事業計画を検討する際の参考になれば幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。

この記事が参考になった方は、Twitterもフォローしていただけると嬉しいです。