準工業地域とは?[TDRも準工業地域って知ってました?]

この記事では、準工業地域内の建築物の用途の制限を解説しています。
・どのような建築物が建築可能なのかを説明します。

どうも!やまけんです。

建築や都市計画に関する情報を発信しているブロガーです。

過去の行政での経験を活かして建築基準法や都市計画法などの難解な法律の解説を趣味で行っています。




はじめに

はじめに、いきなりですが、皆さん、準工業地域について勘違いしていると思います。

準工業地域は、何でも建築することが可能なおいしい用途は『準工業地域』だって、、、そこでの土地取引となればラッキーだって。私も気持ちとしては分かります。特に売り手側とすると制限が無い方が自由な土地利用が可能なので買い手となる潜在的ニーズが多くなる。

でも、はたして、本当に”おいしい”のでしょうか?

 

住宅、大規模な店舗、飲食店、工場、倉庫などが混在する地域ですよ。
よーくイメージしてみてください。それって本当にラッキーでしょうか。住みづらくはないですか?

ラッキーなのはあくまでも売り手側の都合でしかありません。

買い手に対して、将来のリスクを伝えていますか?リスクとは、準工業地域は何でも建築することができるということです。”何でも”とはリスクにもなり得るということです。

それでは準工業地域で制限を説明します。

準工業地域の建築制限

準工業地域は、都市計画法第9条第11項において『主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域』とされ、建築基準法第48条第11項→法別表第2(る)項において具体的な建築物の用途の制限が定められています。

基本的には危険性のある薬品や規模の大きい工場、個室付浴場(ソープ)は建築する事はできないこととなっています。それ以外については建築することが可能です。法文上も『建築してはならない建築物』として規定されてます。

一 次に掲げる事業(特殊の機械の使用その他の特殊の方法による事業であつて環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を害するおそれがないものとして政令※1で定めるものを除く。)を営む工場
  1. 火薬類取締法の火薬類(玩具煙火を除く。)の製造
  2. 消防法第2条第7項に規定する危険物の製造(政令(未制定)で定めるものを除く。)
  3. マッチの製造
  4. ニトロセルロース製品の製造
  5. ビスコース製品、アセテート又は銅アンモニアレーヨンの製造
  6. 合成染料若しくはその中間物、顔料又は塗料の製造(漆又は水性塗料の製造を除く。)
  7. 引火性溶剤を用いるゴム製品又は芳香油の製造
  8. 乾燥油又は引火性溶剤を用いる擬革紙布又は防水紙布の製造
  9. 木材を原料とする活性炭の製造(水蒸気法によるものを除く。)
  10. 石炭ガス類又はコークスの製造
  11. 可燃性ガスの製造(政令(アセチレンガス等)で定めるものを除く。)
  12. 圧縮ガス又は液化ガスの製造(製氷又は冷凍を目的とするものを除く。)
  13. 塩素、臭素、ヨード、硫黄、塩化硫黄、弗(ふつ)化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、燐(りん)酸、苛性カリ、苛性ソーダ、アンモニア水、炭酸カリ、洗濯ソーダ、ソーダ灰、さらし粉、次硝酸蒼(そう)鉛、亜硫酸塩類、チオ硫酸塩類、砒(ひ)素化合物、鉛化合物、バリウム化合物、銅化合物、水銀化合物、シアン化合物、クロールズルホン酸、クロロホルム、四塩化炭素、ホルマリン、ズルホナール、グリセリン、イヒチオールズルホン酸アンモン、酢酸、石炭酸、安息香酸、タンニン酸、アセトアニリド、アスピリン又はグアヤコールの製造
  14. たんぱく質の加水分解による製品の製造
  15. 油脂の採取、硬化又は加熱加工(化粧品の製造を除く。)
  16. ファクチス、合成樹脂、合成ゴム又は合成繊維の製造
  17. 肥料の製造
  18. 製紙(手すき紙の製造を除く。)又はパルプの製造
  19. 製革、にかわの製造又は毛皮若しくは骨の精製
  20. アスファルトの精製
  21. アスファルト、コールタール、木タール、石油蒸溜(りゆう)産物又はその残りかすを原料とする製造
  22. セメント、石膏(こう)、消石灰、生石灰又はカーバイドの製造
  23. 金属の溶融又は精練(容量の合計が50ℓを超えないるつぼ若しくは窯を使用するもの又は活字若しくは金属工芸品の製造を目的とするものを除く。)
  24. 炭素粉を原料とする炭素製品若しくは黒鉛製品の製造又は黒鉛の粉砕
  25. 金属厚板又は形鋼の工作で原動機を使用するはつり作業(グラインダーを用いるものを除く。)、びよう打作業又は孔(あな)埋作業を伴うもの
  26. 鉄釘類又は鋼球の製造
  27. 伸線、伸管又はロールを用いる金属の圧延で出力の合計が四キロワットを超える原動機を使用するもの
  28. 鍛造機(スプリングハンマーを除く。)を使用する金属の鍛造
  29. 動物の臓器又は排せつ物を原料とする医薬品の製造
  30. 石綿を含有する製品の製造又は粉砕
  31. (1)から(30)までに掲げるもののほか、安全上若しくは防火上の危険の度又は衛生上若しくは健康上の有害の度が高いことにより、環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進する上で支障があるものとして政令(政令未制定)で定める事業
二 危険物の貯蔵又は処理に供するもので政令※2で定めるもの
三 個室付浴場業に係る公衆浴場その他これに類する政令※3で定めるもの

※1 施行令第130条の9の7で規定(自動車用の圧縮天然ガスなど)
※2 施行令第130条の9で規定(火薬類、マッチ、圧縮ガス、液化ガス、可燃性ガス、第一〜四石油類)
※3 ヌードスタジオ、のぞき劇場、ストリップ劇場、専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設、専ら性的好奇心をそそる写真その他の物品の販売を目的とする店舗その他これらに類するものなど

ディスニーランドも準工業地域(下図の左側)なのですが、もともと浦安は沿岸部において軽工業が発達していた地域でしたので、そうした理由もあって準工業地域のままなのかもしれません。


※出典:浦安市用途地域図

ディズニーのように様々な用途が混在しないのであれば特に問題はないです。

 

しかしながら、混在できるがゆえに自由に建築することで、住環境の悪化や工場立地の減退、比較的郊外部にあることが多い準工業地域への大規模な店舗の立地など、コンパクトシティの形成をはじめとする都市のコントロールの大きな阻害要因となっていると考えられます。

 

現に、中心市街地活性化法に基づく基本計画の認定を国から受けている自治体は、準工業地域へ大規模集客施設(床面積が1万㎡超)の立地を制限する特別用途地区の指定等を行っています。当該指定を行うことが国の認定条件とされていることもありますが、やはり自由な土地利用というのは都市構造を大きく変化させてしまう要因となるということですね。

 

そのくらい、都市構造への影響が大きい準工業地域でありますが、その分、使い勝手が良いは間違いないのですので、鉄道跡地などにも多い準工業地域なので比較的規模の大きい土地利用が可能となることから都市の魅力を向上させる一手としての活用も可能なのかなとも思います。

 

不動産取引においては、特に戸建て住宅を検討している買い手に対しては、将来リスク(工場や比較的規模の大きい店舗などの立地による騒音や振動等の問題)を伝えておくことで、未然にトラブルを防止しておくことをお勧めします。

補足

特別用途地区や地区計画により、制限を強化している場合があります。

その場合には、一定の用途(住宅や店舗など)の建築が制限される場合があるので、取引(設計など)する自治体の条例をチェックするようにします。大抵は『都市計画情報 ○○○市町村』で確認できるようになっているはずです。

 

ということで今回の記事は以上となります。皆様の参考になれば幸いです。