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建築設計・不動産事務所の勇気ある事業継承に失敗しない方法

こんにちは!建築士のやまけんです。
建築や都市計画に関する業務経験を活かして建築士や宅建士の業務に役立つ情報を日々発信していますので、この記事を読んで良かったなと思ったら気軽にフォロー(@yama_architect)ください♪

今回は事業継承に関しての内容です。




私が受けた相談

先日、知り合いの建築設計事務所の所長から、『もう歳だし、これ以上事務所を継続するのは難しい』という相談を受けました。

その方は、60歳後半のご高齢で、所員は会計を担当する奥さん一人。二人で営んでいる建築設計事務所で、個人で住宅や店舗等の設計や工事監理、大手住宅メーカーの確認申請等の代理手続きなどをされています。

以前は所員を複数人抱えて、多くの建築士を輩出された方でした。

『どうあっても歳には勝てない』と嘆いていました。

それより私が思ったのは、この方に建築を依頼した施主さんは建築物の不具合や相談したいことがあった場合の今後の相談先がなくなってしまうということです。ご本人もこのことについては悩まれていました。これは賃貸経営をされている不動産事務所にも言えることです。

なので、多くの高齢経営者は、簡単に事務所をたたむことはできないですし、かといって人材不足の中においては、事業を誰かに継承したくても適材となる方が少なくなっているんだろうと思います。

ということで、事務所の”これから(事業継承)”を悩んでいる方向けにどうするべきか考えてみたいと思います。

事務所のこれからを考えてみる

建築設計事務所や不動産事務所の事業継承をこれからを考える場合、多くは次の選択肢が考えられると思います。

事業継承等の選択肢
  1. 所員に事業を継承
  2. 子どもや親類に事業を継承
  3. 知り合いや自分の所から独立した事務所に事業を継承
  4. 廃業
  5. M&A(合併と買収)により第3者に事業を継承

それでは一つ一つメリットとデメリットを考えていきます。

所員に事業を継承

もっとも多い事例じゃないかと思います。

当然メリットしては、自分が築きあげた事務所が残ること、また自分のノウハウを継承した所員が継承することにより、安心して事業を引き継ぐことができます。

しかしながら、この前提には資格を持った所員がいることが条件となります。

個人経営が多い設計事務所や不動産事務所の場合には、所員が複数人いるというのは稀じゃないかと思うところ・・・私の知り合いの建築設計事務所で複数の所員を抱えているのは全体の1〜2割程度かと思います。

また、経営権を譲渡することとなるので、所員が株式を取得する資力がないといけないですし、代表者が信用保証により借金がある場合は所員が継承する必要性があるため、所員のプレッシャーはとても大きく、承諾を得られないケースもあると思います。

それでも、事務所を引き継いでやってみたい!と言う所員がいる場合には引き継ぎましょう。

数ヶ月から数年の引き継ぎ期間を設けながら譲渡するのが最も創設者の経営理念や実績が次の世代に引き継がれるとともに、顧客も安心するはずですから、私はこの方法が最良だと考えています。

子どもや親類に事業を継承

自分の子どもや親戚が同業を営んでいるのであれば、継承することも容易ですが、問題としては、子どもが建築や不動産に関して知識も資格もないケースです。場合によってはデメリットが大きいです。

必要な資格を有していない場合、子どもや親戚はオーナーとして経営することになりますが、管理建築士や宅建士を募集する必要があるため、この人材不足の中では早々簡単には集まらないと考えられますし、何よりリスクは雇われ建築士や宅建士のみならずオーナーにも最も大きく降りかかってくるため、専門的な知識の習得は必須です。

少なくとも、事業継承には、資格を取得するための数年程度の引き継ぎ期間が必要と考えられます。

そうしたリスクを抱えながらも継承する考えが子どもや親類にあるのであれば経営を譲りましょう。ただ一点不安要素があるとすれば顧客離れ(子ども継承を除く)です。また、看板は同じでも経営方針などで雇われ建築士や宅建士とすれ違いが生じる恐れがあり、経営力が求められます。

知り合いや自分のもとから独立した事務所に継承

友人や自分のところから独立した方へ継承する方法ですが、完全に会社ごと譲渡する方法もあれば、顧客のみ譲渡し、会社を廃業する方法もありますが、基本的には後述するM&Aと同じです。

知り合いや自分のもとから独立した事務所に継承することから、譲渡する側としては専門的な知識を有しておりかつ自分の事を知っている方に譲り渡することができるので安心感があります。

とはいえ、看板は無くなりますので、顧客への丁寧な説明は必要となりますし、きめ細かい引き継ぎは必須です。

看板が無くなる寂しさは廃業と同じですが、廃業と異なり顧客の相談先がなくなるといったことに陥ることもありませんので、事務所の経営状態に応じて継承可能か打診してみるのが良いと思われます。

ただし、この継承を個人間で適当にやってしまうと継承後のトラブルになりかねないので気をつけましょう。どんなに信用している人でも間違いはありますし、何かの勘違いから継承に至るのが難しくなってしまうこともありますから、慎重に判断しましょう。

廃業

経営状態が悪くはないのであれば最も避けたいケースです。

完全な廃業は、自分がつくった会社がこの社会から無くなることですので、オーナーとしては悲しいでしょうし、何よりオーナーを頼りにしていた顧客は不安になると思います。

顧客目線で丁寧に仕事をされていた方であればあるほど、自分が会社を閉じたあとの顧客のことを考えてしまいなかなか閉じれずに限界まで働いてしまうんじゃないかと思います。

完全な廃業により喜ぶには競合者だけですので、経営状態が良いケースでは廃業は避けるべきかと思いますので、次のM&Aを考えてみてください。

M&A

M&Aという言葉は一度は聞いたことがあるかと思います。

一時期は、ライブドアによるニッポン放送の買収などでこの言葉が賑わった時期もあり、世間的には良いイメージを持っていない方がいるかと思いますが、至って普通に行われるビジネスの一つです。

先ほど説明した『知り合いや自分の所から独立した事務所に継承』と同じ内容ですが、異なる点がトラブル防止あります。

譲り渡すのが知り合いの場合、”何かしらの遠慮や配慮”が働き、これがトラブルの元となります。そのため、コストはかかりますが、M&Aを専門に扱う企業に依頼することで的確なフォローを受けながら円滑な事業継承に繋げることが可能です。

一応私くしはブロガーなので2社ほど紹介しておきます。

1社目は、東証一部に上場されている『M&Aキャピタルパートナーズ』さんです。着手金や月額報酬、相手企業との基本合意に至るまで無料となっていますし、サイトをみるとこれまでの実績が業種ごとに掲載されているので事例を見るだけでも参考になると思います。

 

2社目は、ほとんどの方が知っているでしょう『リクルート』さんで、このリクルートさんが運営している『オーナー社長のための事業継承総合センター』です。こちらも着手金は無料となっておりますが、1社目との違いは、M&A仲介業者を紹介する総合センターであることです。売主に合わせてM&A仲介業者の比較・検討を行ってもらえます。

リクルート運営の事業承継センター
※本サービスは新規事業提案制度から生まれたサービスで、
継続は一定の期間をもって判断されます

本記事のまとめ

ということで今回は、事業継承についての記事を書きました。

これから急速な人口減少と超高齢社会が到来する中においては、ますます事業継続が困難となる企業が増加することが予想されますので、これからも新たな企業は生まれつつもM&Aのように企業間の合併や買収が増加すると考えられますが、こうしたM&Aが盛んに行われるようになっても、建築設計事務所や不動産事務所の場合には何よりも顧客を第一に考えてあげることが大切だと思います。

中小であればあるほど、企業の看板よりも人が大切であり、売り上げに結びつく重要な観点ですから、勇気ある事業継承という決断においても関わる人をみて判断するようにすることが大切じゃないかなと思います。

これで以上となります。お悩みになっている方の参考となれば幸いです。

pixelRawによるPixabayからの画像