COVIDー19の影響もあってか、在宅ワークを経験し遠隔での仕事を実践した方を中心に、地方(とりわけ実家)への移住を考えている方が多くなっているらしい。
首都圏をはじめとする大都市居住者のうち地方出身者は、なんとなくでも、”いずれは地元”に戻りたいと日頃から考えていた方は一定数いるので、コロナの件はそうした方達のアクションを起こすには十分なほどにインパクトがあったのだと思います。
地方への移住が加速
地方に戻りたいとする層が増えると、これから人口の奪い合いが過熱するはずで、そうした状況に合わせて、地方では”支援策”がこれまで以上に充実することが考えられます。
なお、私の勝手な予想としては、移住後のストーリーをイメージできる都市に人が集中ことが考えられますから、広告戦略が一定の効果を発揮するかなと。
とはいえ、思うのですが、地方都市については、歴史や文化といった面でその地域のみ有する有形・無形の財産物を除き、基本的にどの都市も同じような街並みが形成されているはずです。
ロードサイド型の大型店舗や大規模商業施設はコロナ収束後も維持するでしょう。
決して、それが悪いかどうかは別として、それが現実ですので、地方へ移住した後のリスクを減らせるよう、地方での居住方法は必ず”賃貸”にしましょう。
しかしながら良く考えてみて欲しいのですが、地方に移住する理由は何ですか?考えてみてください。
地方に移住する理由
人それぞれ理由があるかと思いますが、仮に一つの視点として自然を求めているのであれば、それは本当に自然でしょうか?つきつめていけば『癒し』なのではないでしょうか。
都内の建蔽率・容積率いっぱいに建築された日照や通風といった快適性が損なわれたマンションやアパートに住む。
富裕層ではない限り、居住面積も必要最低限といったところでしょう。
その部屋の中での在宅ワークに息を詰まらせ、なんとかこの現状を打開したいと考えるか、諦めるか。前者が、今の家賃ならば地方へ行けばそれなりに広い部屋に住めると考えているからです。
だからこそ、よくよく考えてみると、本当に必要なのは『癒し』なんじゃないかと。
それを比較的安価に体感することが可能な地方(地方でも郊外)が今求められているだけです。
緑と水の重要性
逆を言えば、居住空間や都市空間に自然に近い緑や水といった要素を限りなく自然に近い形で取り入れ、かつ『✖️テクノロジー』を掛ければ、求められる『癒し』というのは解決するのではないかと。
そして、その『癒し』という名の緑と水は人同士の一定の距離感を確保し、ストレスを解消し、都市に居住する方を幸福に導く。
地方都市や郊外へ行かないと得られない”モノ”を人口密度が高い市街地でも提供できれば、むしろ郊外よりも価値が高まるんじゃないかと思います。
そうなると、指定都市のように人口密度が高く適度な都市生活が可能な上に、少しの距離で自然に触れることが可能な地域は選択されやすいんじゃないかと。
- 市街地と郊外の明確な分離による自然の保護
- 市街地の人口密度の維持、向上による生産活動の確保
- 市街地への緑地と親水空間の確保
- 居住、飲食、店舗空間への緑と水を利用した快適性の追求
すでに市街地には多くの水や緑を提供する公園があります。
近年の都市緑地法改正もあって公園の利用に関して民間が参入しやすくなっていますが、行政であることでの収益事業や快適性の限界もあります。
ですから、これからの公園は民間企業が建築敷地における余剰空間をパブリックスペースとして活用し、緑や水を通して『癒し』という価値を提供し、その対価して料金を払ってもらう。または、集客装置として活用する。そうした事業が市街地では展開されるんじゃないかと考えられます。
もう既に市街地でのグランピングも誕生してますので、高い確率で市場的に伸びそうです。
ということで以上です。参考となれば幸いです。
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