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【開発完了前の建築着工】開発行為完了公告前の確認申請と建築着工の制限を分かりやすく解説

この記事について
  • 開発行為の完了公告前に建築着工や建築確認申請は可能??

上記の質問について解説します。

こんちは!建築士のやまけん(@yama_architect)です。

建築や都市計画に関する業務経験を活かして、建築士や宅建士の業務に役立つ情報を発信している趣味ブロガーです。

東日本大震災以降に最も相談が多かったかな?という記憶なのですが、上記の『開発行為の工事完了公告前に着工や建築確認申請は行っていいの?』という質問です。

それではこの質問に対して解説していきます。




建築着工は可能?

原則として、建築着工はできません

根拠法は都市計画法第37条となります。

この都市計画法第37条において、都道府県知事が行う工事完了公告の前までは、建築物の建築や特定工作物の建設を行ってはならないとされています。
政令指定都市、中核市の場合は、その市の長

[都市計画法第37条(建築制限等)]
開発許可を受けた開発区域内の土地においては、前条第3項の公告があるまでの間は、建築物を建築し、又は特定工作物を建設してはならない。ただし、次の各号の一に該当するときは、この限りでない。
一 当該開発行為に関する工事用の仮設建築物又は特定工作物を建築し、又は建設するとき、その他都道府県知事が支障がないと認めたとき。
二 第33条第1項第十四号に規定する同意をしていない者が、その権利の行使として建築物を建築し、又は特定工作物を建設するとき。

ただし、例外があるんですよね。

例外を受けるには厳しい例外です。その例外は、一号となります。

業界的には、都道府県知事の建築承認というのですが、通常の民間開発行為で承認されることは公益性が伴わない限り難しいかなと思います。

どういうことかというと、公共事業(公営住宅の建築のための開発行為など)であれば必ず開発行為の完了検査を受験することが明確ですが、民間の場合には検査を受けずに逃げてしまう可能性があるからです。

というのも、昔(今から20〜30年前、私が行政職時代に聞いた話・・・)は開発行為の工事完了公告前の建築承認を柔軟に行っていた時代があったようですが、それにより、工事完了を受けない事例が頻発していたそうです。

つまり、世の開発許可を受けた土地は、許可だけ受けて検査を受けていないことから、公共施設(道路や公園など)の帰属を受けていないケースがとってもあると・・・

開発行為の図面と現地が大きく異なることがあるのはこのため・・・

また、その他の弊害として、擁壁の安全性が担保されていなかったり、許可を受けた道路の形状と現在の形が異なったりと建築士としては勘弁してよ!って感じに、地域によっては結構な問題になったりしています。

建築承認の基準は開発許可権者の自治体によって異なりますので断定的なことは言えませが、民間開発の場合には建築承認は難しいと思っていた方が良いかなと思います。

では、次に確認申請についてです。

確認申請は提出可能?

工事完了公告前でも、建築確認申請は提出可能です。

そもそも建築確認申請は『確認』ですから、確認して不適合であれば不適合と審査すれば良いだけで、申請を妨げることは審査側にはできません。

着工はできませんが提出することは可能です。ですので、建築着工時期は開発行為の工事完了公告予定日以降に設定します。

ちなみに建築確認申請において審査される『建築基準関係規定』には、工事完了検査(都市計画法第36条)は規定されていませんので、審査されることはありません。(下記を参照)

ですので、あくまでも完了公告前の建築着工については都市計画法の所管部局で指導します。

都市計画法の条項 概要
法第29条第1項 都市計画区域、及び準都市計画区域における開発許可
法第29条第2項 都市計画区域、及び準都市計画区域における開発許可
法第35条の2第1項 上記の変更許可
法第41条第2項 用途地域の定められていない地域の開発行為における建築物の高さや建蔽率などの制限を都道府県知事が定めた場合の規定
法第42条 開発許可を受けた開発区域内における工事完了公告後の予定建築物等以外の建築等の制限
法第43条第1項 (市街化調整区域限定)
開発許可を受けた開発区域以外においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第29条第1項第二号・第三号に規定する建築物以外の建築を制限
法第53条第1項 都市施設及び市街地開発事業の区域内における建築等の制限
法第52条の2第2項 市街地開発事業等予定区域内のおける建築等の制限

余程急いで建築着工しなければならない場合を除けば、工事完了公告後に建築確認申請を提出する方が無難です。

というのも、宅地の安全性(建築基準法第19条)のチェックのために必要となるためで、審査期間では任意で開発行為の完了検査済証の提出を求めているケースがあるからです。

今は事前審査してくれる審査機関もあると聞いているので、まずは審査してもらう審査機関に相談してみましょ。

補足:確認申請図書の道路の表示

工事完了公告前に確認申請を提出する前に注意するべき点としては、『道路』の記載方法です。

工事完了公告後は、開発行為による道路(建築基準法第42条第1項第2号道路)となりますので、開発行為による道路と記載することも可能です。

ですが、基本的に開発行為で整備する道路は市区町村の帰属され道路法の道路となりますので、建築物が完了検査を受ける時点において市区町村道(道路法の道路となるには議会における議決が必要となるため、市町村への帰属後すぐに道路法の道路となるわけではない)となる予定であれば、道路法に道路(建築基準法第42条第1項第1号道路)と記載します。

この道路の記載については、行政側のスケジュールによって異なるので道路管理者に相談するようにしてみてください。

まとめ

ということで工事完了公告前の建築着工と確認申請について解説しました。

まとめると、次のようになります。

  • 建築着工は不可(ただし例外あり)
  • 確認申請は可能(ただし建築着工予定日は公告予定日以降)

それでは以上となります。業務の参考となれば幸いです。

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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など