【森林法】重要事項説明との関係と林地開発の解説

この記事では、森林法森林計画、保安林等の基本的事項を定めて、森林の保続培養と森林生産力の増進を図り、国土の保全と国民経済の発展に資することを目的した法律)のうち、宅建業法第35条の重要事項説明において説明義務がある規定を解説しています。

こんにちは!建築士のやまけんです。

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森林法に関する重要事項説明では、宅建業法施行令第3条第1項第24号に規定されており、次の事項が説明の対象となります。

なお、このうち林地開発許可と保安林に関する規定があることを理解しておけばOKです。

  • 森林法第10条の2第1項:林地開発許可
  • 森林法第10条の11の6:施業実施協定の承継効
  • 森林法第31条(法第44条準用を含む):保安林予定森林の制限
  • 森林法第34条第1項:保安林の制限
  • 森林法第34条第2項(法第44条準用を含む。):保安林・保安施設地区の制限




林地開発許可

民有林の例(*福島県会津若松市)

地域森林計画※1の区域内の民有林(保安林、保安施設地区内、海岸保全区域内の森林を除く)において宅地造成などで1haを超える開発行為を行おうとするものは、水源涵養や災害防止、環境保全などの目的から都道府県知事の許可が必要となる規定です。

ポイントは、民有林です。

なお、民有林でも、保安林である場合には、森林法第34条の制限がかかるので留意が必要です。

林地開発行為とは、土石の採掘や林地以外への転用などの土地の形質を行う1ha超えの開発行為のことです。例えば、住宅造成やゴルフ場、採掘場、道路整備などが対象となります。
また、許可の基準としては、第2項に規定されており、「災害の防止」、「水の確保」、「水害の防止」、「環境の保全」などの基準が設けられています。なお、第2項に該当しない場合には、都道府県知事は、許可しなければならないと規定されています。

※1 地域森林計画とは、都道府県知事が林野庁策定の全国森林計画に即して、民有林について森林計画区別に5年ごとに10年1期としている計画のことで森林関連施策の方向や地域的な特性に応じた森林整備及び保全の目標等が示されている。また、市町村森林整備計画策定にあたっての指針となるもの。*森林計画区は林野庁のホームページで確認することができ、158地区あります。

>>林野庁森林計画区:https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/sinrin_keikaku/con_4.html

(開発行為の許可)
地域森林計画の対象となつている民有林(〜略〜)において開発行為(土石又は樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為で、森林の土地の自然的条件、その行為の態様等を勘案して政令で定める規模をこえるものをいう。以下同じ。)をしようとする者は、農林水産省令で定める手続に従い、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。
 国又は地方公共団体が行なう場合
 火災、風水害その他の非常災害のために必要な応急措置として行なう場合
 森林の土地の保全に著しい支障を及ぼすおそれが少なく、かつ、公益性が高いと認められる事業で農林水産省令※2で定めるものの施行として行なう場合

施行令第2条の3
専ら道路の新設又は改築を目的とする行為でその行為に係る土地の面積が1haを超えるものにあつては道路(路肩部分及び屈曲部又は待避所として必要な拡幅部分を除く。)の幅員3mとし、その他の行為にあつては土地の面積1haとする。

森林法第10条の2(抜粋)

重要事項説明においては、取引を行う土地が民有林に該当しているかどうかを、各都道府県が公表している地域森林計画にて確認します。各都道府県のホームページのほか、市町村の林務課などで確認することができるようになっています。

その上で、民有林に該当している場合には、『森林法第10条の2第1項』の規定を説明することとなります。

買主さんが土地購入後にどのような土地利用を予定しているのかによって、開発許可が必要となるかどうかが決まりますので、買主から十分にヒアリングを行った上で説明を行うことが望ましいと考えられます。

なお、森林法第10条の2第1項第三号の農林水産省令とは、都市計画事業や土地区画整理事業などとなっており、どちらかというと公共工事に近いイメージです。

では、次に施業実施協定についてです。

施業実施協定

施業実施協定の承継効に関する規定です。

つまり、所有者が変更されても協定の効力は継続するというものです。

施業実施協定とは、森林ボランティア団体等と森林所有者が締結するもので、市町村長の認可受けて森林施業(森林育成のための造林、保育、伐採等の一連の森林に対する人為的行為)の共同化等を内容とする協定です。

継承効に関する規定ですが、通常、この手の実施協定は売主側で確実に把握していることが通例です。

(施業実施協定の効力)
第10条の11の4第2項(前条第2項において準用する場合を含む。)の規定による認可の公告のあつた施業実施協定は、その公告のあつた後において当該施業実施協定の対象とする森林の森林所有者等又は当該森林の土地の所有者となつた者に対しても、その効力があるものとする

森林法第10条の11の6

次に、保安林予定森林の制限についてです。

保安林予定森林の制限

保安林予定森林における伐採や採掘、開墾等の制限の規定です。

都道府県知事による保安林予定森林の告示があった日から90日を超えない範囲において、伐採等の行為を禁止することができます。

森林法第31条に規定されています。予定森林とはいえ、保安林という最大限の保全を図っていこうとする森林に指定しようとする地区ですので、一定の行為制限が設定されています。

ですので、取引する土地が森林である場合には、将来、保安林が指定される可能性がないか、行政(森林事務所など)に確認しておく必要があります。

都道府県知事は、前2条の規定による告示があつた保安林予定森林について、農林水産省令で定めるところにより、90日を超えない期間内において、立木竹の伐採又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為を禁止することができる。

森林法第31条

保安林・保安施設地区の行為制限

登山をされている方であれば、山登りの途中で『保安林』と表示された標識を見たことがあるんじゃないかと思います。この周囲一帯は保安林に指定されています。

では最後に、法第34条第1項及び第2項に関する規定です。

保安林・保安施設地区内では、立木の伐採許可、択伐・間伐の届出、伐採跡地への植栽の義務、土地の形質変更等の許可が規定されています。

基本的な考えとして、保安林については、伐採や土地の形質変更等は行えないものと認識しておいた方がよいということです。とはいえ、あくまでも原則であり、保安林について保全するための必要な伐採等は認められています。

保安林の取引きを行うこと自体、めったにあることではないですが、仮に保安林の取引となる場合には、行為制限や監督処分、罰則規定、税制上の特例があるので、保安林を管理する部署(森林事務所など)に確実に確認するようにするのが後々のトラブル防止です。(好んで保安林を購入したい人は少ないはず・・・)

また、保安林の調べ方については、民有林の調査と同じで各自治体がマップで公表しているものを確認するか、林務部署で確認することができます。

なお、第1項の立木の伐採。第2項が立竹の伐採、立木の損傷、家畜の放牧、下草、落葉・落枝の採取、土石・樹根の採掘、土地の形質の変更となっています。なお、保安林の保全に関する行為については許可が不要となります。

(法第34条第1項)
保安林においては、政令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければ、立木を伐採してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
 法令又はこれに基づく処分により伐採の義務のある者がその履行として伐採する場合
 次条第一項に規定する択伐による立木の伐採をする場合
 第34条の3第1項に規定する間伐のための立木の伐採をする場合
 第39条の4第1項の規定により地域森林計画に定められている森林施業の方法及び時期に関する事項に従つて立木の伐採をする場合
 森林所有者等が第49条第1項の許可を受けて伐採する場合
 第188条第3項の規定に基づいて伐採する場合
 火災、風水害その他の非常災害に際し緊急の用に供する必要がある場合
 除伐する場合
 その他農林水産省令で定める場合

 保安林においては、都道府県知事の許可を受けなければ、立竹を伐採し、立木を損傷し、家畜を放牧し、下草、落葉若しくは落枝を採取し、又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為をしてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
 法令又はこれに基づく処分によりこれらの行為をする義務のある者がその履行としてする場合
 森林所有者等が第四49条第1項の許可を受けてする場合
 第188条第3項の規定に基づいてする場合
 火災、風水害その他の非常災害に際し緊急の用に供する必要がある場合
 軽易な行為であつて農林水産省令で定めるものをする場合
 その他農林水産省令で定める場合