木造軸組+CLTの場合、4号特例は適用可能なケースと適用できないケース

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それでは今回は「木造軸組+CLT」は4号特例の対象かどうかです。
結論としては、基本的な考え方として、CLTパネル工法は4号特例の適用外となるため建築確認申請時に構造計算書や構造図等の図書を添付して審査を受ける必要があります。ただし一部で例外あります。

注)4号特例は確認申請時に審査されないだけで建築士は構造等を確認する義務があります。




CLT+軸組は4号特例対象外

はじめに住宅や小規模建築物の4号特例の概要についてはこちらの記事をお読みください。

建築確認申請の特例について規定されている建築基準法施行令第10条の三及び四のうち、施行令第80条の2(CLTパネル工法告示も規定)については、平成19年8月22日国土交通省告示第1119号「建築基準法施行令第10条第三号ロ及び第四号ロの国土交通大臣の指定する基準を定める件」に記されている告示に限るとされています。

(構造方法に関する補則)
第80条の2 第三節から前節までに定めるもののほか、国土交通大臣が、次の各号に掲げる建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関し、安全上必要な技術的基準を定めた場合においては、それらの建築物又は建築物の構造部分は、その技術的基準に従つた構造としなければならない。
 木造、組積造、補強コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又は無筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分で、特殊の構造方法によるもの
 木造、組積造、補強コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造及び無筋コンクリート造以外の建築物又は建築物の構造部分

建築基準法施行令第80条の2

ここで記されている告示は3つのみです。

  • S58年建設省告示1320第1〜12
  • H13年国土交通省告示1026第1〜8
  • H13年国土交通省告示1540第1〜8

CLTパネル工法は平成28年に定められた告示となるため、確認の特例の対象外となります。

そのため、建築物の規模等に応じて、ルート1からルート3、限界耐力計算を行うこととなりますが、一般的にはルート1の許容応力度計算かなと思います。というのも手計算可能だからですね。

*ルートの設定についてはCLT告示第1に定められています。

補足:屋根・床板にCLTを使うケース

軸組構法でも屋根材や床版にCLTパネルを使用することができます。

ネットで調べてみたところ、構造用面材として床倍率(住宅性能表示であり建築基準法には規定はない)を使用することができる製品(国土交通大臣認定品)があるようでした。
この場合は、構造用面材の一つとして床・屋根に使用するのみなので、法律上は在来軸組構法として4号特例が適用可能かと思います。

床版や屋根版として使用することで2m程度の片持ち(庇やバルコニー)が可能となりますから、この点では非常に魅力的だと思います。また、床倍率が通常の構造用合板よりも明らかに高いですから、構造上も有利かと思います。

ただし、高強度床材に対して横架材とそれを受ける柱・金物の設計が大事になるのかなと思います。
また、施工上の納まりを含めたディテールが気になるところ。

補足:壁(構造用面材:壁倍率)にCLTを使うケース

柱や梁のかわりに水平力と鉛直力を負担させる場合には、H28年のCLT告示を適用させ、ルート1以上の構造計算が必要となるため、四号特例を使用することができないことから、建築確認申請書への構造計算書や構造図の添付が必要となります。

ただし、壁量計算(施行令第46条第4項)に使用する構造用面材として国土交通大臣認定品を取得したCLTパネルを利用する場合には、認定品の壁倍率を使用できますので、通常の軸組構法にて4号特例の適用が可能かと思います。

ネットで調べてみると壁倍率5倍の認定品があり、化粧現しも可能ということで使い勝手が良さそうな感じがしました。

なお、柱よりも壁が強過ぎると水平力がかかった場合に柱側が先に破断する可能性があり、本来の壁構造用としての機能を発揮する前に柱や金物が降伏する恐れがあるので、柱や金物の強度には注意が必要かと思われます。

でも、そうなると、柱や梁を使わないでCLTパネル工法とした方が経済的かつ空間構成もしやすいとなれば、ルート1以上で計算した方が無難なような気がします。
*あえて軸組+CLTにしないでオールCLTパネル工法の方がいいのかも。

まとめ

CLT工法は、平成28年4月1日国土交通省告示第611号「CLTパネル工法を用いた建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める等の件」に定められています。

この告示だけですと設計上の留意・配慮事項が分からないため、CLT協会が販売しているテキストを参考にしてみてください。

どうしてもルート1以上の構造計算はめんどくさいと思ってしまいがちで、そのため、壁量計算等で完了させたい気持ちはすごく分かります。がしかし、CLTの特徴である無柱空間のメリットを活かすには「軸組+CLT(四号特例)」では不可能です。やっぱりCLTパネル工法(H28告示)の適用が一番です。

(補足)
木造軸組では、施行令第46条第2項にCLTパネル材が規定されていないことから、横架材(梁)や柱の代替品としてCLTを使用するためには許容応力度計算が必要な規定となっています。

平成28年にCLTパネル工法の告示が施行されてから少しづつCLTが普及しつつあると思います。

特に木造建築物の普及に向けた取り組みは、低炭素社会の実現を目指す観点から国をあげてバックアップしているので、今以上に普及が進むと考えられます。

今のところはCLTの単価が高いと言った指摘もありますが、CLTを調べる限りでは、木造にも関わらず大空間構成・高層化がしやすく、また、在来軸組の壁量計算のみを行った建築物よりもルート1以上の計算を行っていることから構造安全性の担保が確保されている点なども消費者にとっては魅力的じゃないかなと思います。

さらに断熱・遮音・遮熱の点でも優れているのも建築士としては使いたいところじゃないかな〜と思うところ。

ということで以上となります。参考になれば幸いです。