あなたは「認定低炭素建築物:Low carbon building」を知ってますか?
平成24年12月からスタートしている制度(正確には、低炭素建築物新築等計画といいます)ですが、年々認定件数が増加しているんですよね。さらに、世界が脱炭素に向けて本格的に動き出しているので、社会の流れに乗っている感じです。
長期優良住宅の場合には、住宅のみが対象ですが、低炭素建築物の場合には、非住宅も認定対象となっているので、現時点で住宅のような税制特例はないものの企業としての社会的貢献といった面で活用されているのかなとイメージしています。
認定件数の推移
認定件数は、コロナの状況下でも平成29年度に次いで2番目に多い8032件が認定を受けています。
令和元年度に計画していた建築の一部が反映されていることも考えられますが、国土交通省の統計資料によると令和2年度下半期の認定件数は前年度を超えていたので、社会情勢を反映して伸びているのかなと思います。
年度 | 認定件数 ( )書きは一戸建ての住宅 |
---|---|
平成24年度 | 290(138) |
平成25年度 | 3,834(2,276) |
平成26年度 | 4,016(2,185) |
平成27年度 | 7,180(4,057) |
平成28年度 | 7,783(4,435) |
平成29年度 | 9,281(4,449) |
平成30年度 | 5,869(4,519) |
令和元年度 | 7,276(5,189) |
令和2年度 | 8,032(5,841) |
また、これまでの累計(令和3年3月末)では、53,561(うち一戸建て住宅は33,089)件となっています。ちなみに非住宅建築物は累計で29件と微妙です(・・・めっちゃ少ない)
なお、平成21年度より制度スタートした長期優良住宅の場合ですと、一戸建て住宅(新築)の累計認定件数は、100万戸(年度毎は約10万戸)を超えているので、明らかな差は以前としてある状況・・・なので比較になりません。
とはいえですが、長期優良住宅はあくまでも「住宅」を対象としたもので、非住宅は対象外です。
今後、社会が脱炭素に向かって、低炭素建築物の普及に努めるか若しくは省エネ基準を強化するかのどちらか有力ですので、インセンティブを与えて企業が建築する建築物の脱炭素を加速させるには、「低炭素建築物」が有力かな〜と思ったりしています。
ですので、低炭素建築物の概要程度は国交省のホームページで確認しておくことをおすすめします。
補足:低炭素建築物の認定基準と税制特例
低炭素建築物の認定基準は、「定量的評価項目(必須項目)」と「選択的項目」を適合させる必要があります。
定量的評価項目については、外皮の熱性能基準が省エネ基準レベルの断熱性能を有することが求められ、一次エネルギー消費量(家電を除く)は省エネ基準のー10%以上とすることが求められます。
また、選択的項目としては、木造にしたり、節水機器を設置することで満たすことが可能です。選択的項目はめっちゃ余裕です・・・笑
認定基準は厳しくないため、認定ハードルが高いわけではないです。次に認定を受けた場合の税制特例(住宅のみ)についての補足です。
税制特例は、所得税(住宅ローン減税)と登録免許税の特例を受けることができるようになっています。結論として、長期優良住宅の税制特例と大差がないです。
控除対象借入限度額 | 控除期間 | 控除率 | 最大控除額 | |
---|---|---|---|---|
一般住宅 | 4,000万円 | 10年間 | 1.0% | 400万円 |
認定低炭素住宅 | 5,000万円 | 10年間 | 1.0% | 500万円 |
長期優良住宅 | 5,000万円 | 10年間 | 1.0% | 500万円 |
所有権保存登記 | 所有権移転登記 | |
---|---|---|
一般住宅 | 0.15% | 0.3% |
認定低炭素住宅 | 0.1% | 0.1% |
長期優良住宅 | 0.1% | 戸建て:0.2% マンション:0.1% |
ということで以上となります。
この記事は、やまけん(@yama_architect)が書きました〜
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