こんちは。やまけん(@yama_architect)です^ ^
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木材価格の上昇が止まらない状態…
これから住宅建築を予定されている方は住宅価格上昇に危機感を抱いているんじゃないかと思います・・・(価格上昇分を住宅設備のグレードを下げて対応されているんじゃないかと・・・泣)
製材の価格推移(〜2022年5月)
出典:木材製品統計・製品卸売価格(品目 規格別)(https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/mokuzai/)
※ブラウザの種類によってグラフが表示されないことがあります。
上記のグラフは農林水産省が公表している「木材製品統計」です。
「杉材(ブルー線)」にいたっては、2021年3月の66,700円から135,300円まで上昇(2.0倍)していますが、ひのき材同様に高止まった!?と思うような値動きとなっています。ちなみに、2022年3月のうち杉材(10.5㎜*3mの乾燥材)については、昨年の8月以来の水準(130,900円)まで戻ってきている状況です。
見ていただくと分かりますが、「ひのき(レッド線)」については、2021年3月の1m3あたり87,100円から2021年11月には167,000円(1.9倍)まで上昇しています。ところが、2021年12月の統計では、161,600円と先月よりも5,400円下がっています。
「米松(オレンジ線)」については、2021年3月の70,100円から120,500円まで上昇(1.7倍)しています。2021年12月も120,900円と上昇傾向のままです。
とはいえですが、昨年と比較すれば一貫して上昇傾向が続いていると言えるのでまだまだ状況は悪いです。
床面積1㎡あたりの木材使用量はおよそ0.19m3(合板類を除く)とされているので、仮に床面積100㎡、約20m3の杉材を使用したとすると卸売価格で100万円も上昇することになりますから住宅販売価格にも大きく反映されることになりそうです。
仮にこのまま上昇を続けるとほぼ全ての材木で前年度比で2倍まで向かうんじゃないかと思います。
とはいえ、シカゴ材木先物はだいぶ落ち着いてきたので、個人的な考え方としては、そろそろ市場が落ち着く可能性はあると思ってはいますが、日本への影響は長引く可能性大ですね。最近になって再び価格上昇が進んでいるのも気になるところです。
というのも国産材の製材が急ピッチで稼働しているもののこれまで弱り切っていた状況下でいきなりフル稼働というのは厳しいですよね・・・
それに日本向けのみの供給量が回復するとする理由がないです。(他国の所得の高い国に材木が流れそうな気がする・・・)
また、住宅のみならず、家具への影響も大きくありそうです。
製材品の生産量・出荷量・在庫量
製材統計(令和4年6月27日:農林水産省公表)によると「製材品の生産量・出荷量・在庫量」は、次のようになっています。
木材在庫量は令和3年10月に最低の1,497千m3となっていたものが令和4年5月には、1,598千m3まで回復している状態です。よって、回復基調にあります。
年・月 | 生産量 (単位:千m3) | 出荷量 (単位:千m3) | 在庫量 (単位:千m3) |
令和2年6月 | 675 | 656 | 1,677 |
令和2年7月 | 651 | 656 | 1,672 |
令和2年8月 | 584 | 608 | 1,648 |
令和2年9月 | 646 | 666 | 1,628 |
令和2年10月 | 725 | 745 | 1,608 |
令和2年11月 | 687 | 735 | 1,560 |
令和2年12月 | 673 | 683 | 1,550 |
令和3年1月 | 618 | 618 | 1,550 |
令和3年2月 | 662 | 647 | 1,565 |
令和3年3月 | 781 | 773 | 1,573 |
令和3年4月 | 788 | 797 | 1,564 |
令和3年5月 | 738 | 765 | 1,537 |
令和3年6月 | 803 | 812 | 1,528 |
令和3年7月 | 798 | 785 | 1,541 |
令和3年8月 | 726 | 747 | 1,520 |
令和3年9月 | 773 | 790 | 1,503 |
令和3年10月 | 796 | 802 | 1,497 |
令和3年11月 | 803 | 801 | 1,499 |
令和3年12月 | 749 | 736 | 1,512 |
令和4年1月 | 646 | 632 | 1,526 |
令和4年2月 | 689 | 673 | 1,542 |
令和4年3月 | 806 | 776 | 1,572 |
令和4年4月 | 791 | 784 | 1,579 |
令和4年5月 | 726 | 707 | 1,598 |
住宅着工統計への影響(〜2022年5月)
現時点では、あまり大きな影響は見られません。
住宅メーカーはある程度の在庫を確保しているようでして、そのことを反映して「住宅着工統計」における一戸建て住宅(木造・持家)の床面積あたりの工事予定額ですが、ここ1年を通じて大きな変化はしていないことがわかると思います。
しかしながら、2022年3・5月に過去1年間の中でもっとも高い19.00万円/㎡となったことについては注意が必要となります。実際、2020年4月比べると、18.46万円/㎡→19.00万円/㎡(0.54万円増)のため、仮に床面積が100㎡であれば、54万円の増加となります。
今回、2022年3・5月に19.00万円/㎡と過去2年においてもっとも高い傾向にあることから、来月の動向も気になるところです。
住宅着工統計は月末に更新されるので、データが公表され次第、更新します。
「住宅着工統計」における一戸建て住宅(木造・持家)の床面積あたりの工事予定額(万円/㎡)
※出典:住宅着工統計,着工新築住宅利用関係別、構造別、建て方別(住宅の工事費),(戸数、床面積の合計、工事費予定額、1戸あたり工事費予定額、1㎡あたり工事費予定額の全国平均),*一戸建て住宅(持家)・木造
※ブラウザの種類によってグラフが表示されないことがあります。
ちなみに、国産材の杉よりも米松の方が強度が高いため好まれる傾向にあるようですが、輸入材を調達することが難しくなっている中では、これを契機に国産材が使われるようになればいいなーと思っています。
記事は以上です。来月も統計データが公表されたら更新したいと思います。
それではまた〜〜