この記事では、2021年4月からはじまった木材価格高騰に関して、最新の木材価格(杉)と建築着工統計から分かる工事価格についてまとめています。
こんちは。やまけん(@yama_architect)です^ ^
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製材の価格推移(〜2023年1月)
出典:木材製品統計・製品卸売価格(品目 規格別) (https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/mokuzai/)
※ブラウザの種類によってグラフが表示されないことがあります。
上記のグラフは農林水産省が公表している「木材製品統計」です。
「杉材(ブルー線)」は、2021年3月の66,700円から2021年10月の135,500円まで上昇(約2.0倍)しましたが、その後横ばい→減少傾向となっています。
*杉 2級乾燥材 10.5㎝*10.5㎝*3m
最新の2023年1月では、104,100円となっています。
おぉ!落ち着きはじめているのでは?と感じますよね。このまま落ち着いてくれることを祈っています。
とはいえですが、2年前と比較すれば上昇傾向と言えるのでまだまだ状況は悪いです。
一般的に床面積1㎡あたりの木材使用量はおよそ0.19m3(合板類を除く)とされているので、仮に床面積100㎡、約20m3の杉材を使用したとすると卸売価格で約70〜80万円上昇していることになりますから住宅販売価格にも反映されているはずです。
なお、シカゴ材木先物はだいぶ落ち着いてきたので、個人的な考え方としては、そろそろ市場が落ち着く可能性はあると思ってはいますが、専門家によると日本への影響は長引く可能性大と言われいますので…今後も注視が必要といった感じ。
たしかに、海外製材ですが、日本向けのみの供給量が回復するとする理由がないです。(他国の所得の高い国に材木が流れそうな気がする・・・)
また、住宅のみならず、家具への影響も大きくありそうです。
製材品の生産量・出荷量・在庫量
製材統計(令和5年1月25日:農林水産省公表)によると「製材品の生産量・出荷量・在庫量(2023年1月)」は、次のようになっています。
- 生産量:633千m3
- 出荷量:620千m3
- 在庫量:1,638千m3
木材在庫量は令和3年10月に最低の1,497千m3となっておりましたが、令和4年7月には、1,644千m3まで回復、さらに令和4年9月には、1,671千m3まで回復(令和2年9月以来)しており、令和5年1月現在で、1,638千m3となっており回復基調にあります。
年・月 | 生産量 (単位:千m3) | 出荷量 (単位:千m3) | 在庫量 (単位:千m3) |
令和2年6月 | 675 | 656 | 1,677 |
令和2年7月 | 651 | 656 | 1,672 |
令和2年8月 | 584 | 608 | 1,648 |
令和2年9月 | 646 | 666 | 1,628 |
令和2年10月 | 725 | 745 | 1,608 |
令和2年11月 | 687 | 735 | 1,560 |
令和2年12月 | 673 | 683 | 1,550 |
令和3年1月 | 618 | 618 | 1,550 |
令和3年2月 | 662 | 647 | 1,565 |
令和3年3月 | 781 | 773 | 1,573 |
令和3年4月 | 788 | 797 | 1,564 |
令和3年5月 | 738 | 765 | 1,537 |
令和3年6月 | 803 | 812 | 1,528 |
令和3年7月 | 798 | 785 | 1,541 |
令和3年8月 | 726 | 747 | 1,520 |
令和3年9月 | 773 | 790 | 1,503 |
令和3年10月 | 796 | 802 | 1,497 |
令和3年11月 | 803 | 801 | 1,499 |
令和3年12月 | 749 | 736 | 1,512 |
令和4年1月 | 646 | 632 | 1,526 |
令和4年2月 | 689 | 673 | 1,542 |
令和4年3月 | 806 | 776 | 1,572 |
令和4年4月 | 791 | 784 | 1,579 |
令和4年5月 | 726 | 707 | 1,598 |
令和4年6月 | 809 | 778 | 1,629 |
令和4年7月 | 752 | 737 | 1,644 |
令和4年8月 | 698 | 677 | 1,665 |
令和4年9月 | 711 | 705 | 1,671 |
令和4年10月 | 705 | 728 | 1,648 |
令和4年11月 | 731 | 737 | 1,642 |
令和4年12月 | 674 | 691 | 1,625 |
令和5年1月 | 633 | 620 | 1,638 |
住宅着工統計への影響(〜2023年1月)
現時点としては、2022年3月あたりから徐々に上昇傾向にあります。木材価格高騰だけでなく、円安や物価高の影響も出ていると推察されるところです。
先月(2023年1月)に過去1年間の中でもっとも高い19.58万円/㎡となりました。
ウッドショックによる影響もありますが、おそらく物価高や燃料費高など、木材価格とは別の影響を受けて施工単価の上昇による影響を受けているものと考えられます。
2020年4月比べると、18.46万円/㎡→19.58万円/㎡(1.12万円増)のため、仮に床面積が100㎡であれば、112万円の増加となります。
今回、2022年3・5月に19.00万円/㎡、同年6月に19.03万円/㎡、同年7月に19.12万円/㎡、同年8月に19.16万円/㎡、同年9月に19.19万円/㎡、、同年10月に19.17万円/㎡、今回過去最高の19.58万円/㎡と高い傾向で推移していることから、来月の動向が気になるところかと思います。
このままの推移でいくと2023年前半には㎡あたり20万円台が見えてきそうです。
住宅着工統計は月末に更新されるので、データが公表され次第、更新します。
「住宅着工統計」における一戸建て住宅(木造・持家)の床面積あたりの工事予定額(万円/㎡)
※出典:住宅着工統計,着工新築住宅利用関係別、構造別、建て方別(住宅の工事費),(戸数、床面積の合計、工事費予定額、1戸あたり工事費予定額、1㎡あたり工事費予定額の全国平均),*一戸建て住宅(持家)・木造
※ブラウザの種類によってグラフが表示されないことがあります。
ちなみに、国産材の杉よりも米松の方が強度が高いため好まれる傾向にあるようですが、輸入材を調達することが難しくなっている中では、これを契機に国産材が使われるようになればいいなーと思っています。
記事は以上です。来月も統計データが公表されたら更新したいと思います。
それではまた〜〜