この記事では、超マニアックな建築基準法施行令第121条について解説しています。
建築主事試験や一級建築士試験などにおいて、ひっかけ問題として出題される可能性もある他、実際の設計においても読み落としする可能性がある法令なので、ぜひ暇なときにでも一読ください。
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見落とし忘れの恐れあり→施行令第121条第1項第二号
はじめに、建築基準法施行令第121条はどのようなことが書かれているのか。
建築基準法施行令第121条の規定は「2以上の直通階段」が必要となる建築物の用途・規模に関して記載されています。いわゆる2方向避難というものです。
対象となる建築物については、第5章第2節の適用範囲が規定されている「建築基準法施行令第117条(適用の範囲)」を読むと、「建築基準法別表第1(い)欄(1)項から(4)項の特殊建築物」、「階数が3以上の建築物」、「採光無窓の階」、「延べ面積が1,000㎡超の建築物」となっています。
ですので、物品販売業を営む店舗であれば規模に関係なく自動的に第2節(排煙設備の前まで)は適用になると思ってしまうのです。
ところがです。
施行令第121条第1項第二号に次のように書かれています。
物品販売業を営む店舗(床面積の合計が1,500㎡を超えるものに限る。第122条第2項、第124条第1項及び第125条第3項において同じ。)の用途に供する階でその階に売場を有するもの
建築基準法施行令第121条第1項第二号
つまり、「物品販売業を営む店舗」についてのみ、次の4つの避難規定については、床面積の合計が1,500㎡を超える施設が対象になるということ。
=床面積1,500㎡以下の場合には下記は対象外
建築基準法施行令 | |
---|---|
第121条 | 2以上の直通階段の設置 |
第122条第2項 | 3階以上の階を物品販売業を営む店舗 →各階売場・屋上広場に通ずる2以上の直通階段 (避難階段又は特別避難階段) |
第124条第1項 | 物品販売業を営む店舗における避難階段・出入口の幅 |
第125条第3項 | 避難階における屋外への出口の幅の合計 |
それぞれ、第122条、第124条、第125条のそれぞれの法文のみで判断してしまうと床面積が1,500㎡以下であり当該法令の対象とならない規模であっても該当させてしまう恐れがあるわけです(該当させること自体は安全側に働くのでOKなのですが、コスト的な面において重要)。
例えば、施行令第125条第3項の規定では、避難階における屋外への出口の幅について「床面積が最大の階における床面積100㎡につき60㎝の割合で計算した数値以上」と規定されています。
施行令第121条第1項第二号の条文を読まずに平家で床面積600㎡で検討すると、360㎝以上の出入り口の幅が必要となりますが、600㎡であれば床面積の合計が1,500㎡以下のため、施行令第125条第3項の規定は適用しませんから、360㎝以上の出入り口の幅は必要ないわけです。
このような極端な例は少ないですが、施行令第121第1項第二号は読み落とし出来ない大事な条文となります。
また、建築主事や一級建築士の試験的にも間違えた選択を誘導しやすいので問題として出題されやすい傾向にあります。
その他
このように間違えやすい条文も図解式の解説版があると読み落としを防ぎやすいです。
建築確認審査担当者であれば普段から法令集を読んでいるため間違えることはありませんが、安全側の検討については、審査側から設計者に対し丁寧に指摘することはありませんので自分で責任を持って気づく(チェックする)必要があります。
毎年、改正が行われる建築基準法なので毎年書籍を購入するのはちょっとなーと思うかもしれませんが、数千円でミスを防ぐことができると考えれば安いと思いますから、まだ持っていない方は是非!!どちらか一冊あればOKです。