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【基礎の無い建物は違法?】基礎の特徴や罰則規定を分かりやすく解説

この記事では、DIYや小規模な建築物の建築においてやりがちな基礎の無い建築物について、「なぜ基礎が必要なのか(法律の規定)」「基礎構造に違反した場合の罰則」について解説しています。

こんにちは。やまけん(@yama_architect)です^ ^
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原則として建築基準法では「基礎」が必要

建築物の構造に関する規定のうち、DIY等で行う小規模建築物については、建築基準法第20条第1項第四号イ号→建築基準法施行令第36条第3項→建築基準法施行令第38条の規定によって、次のように規定されています。

建築物の基礎の大原則

建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造体力上安全なものとしなければならない。

少し専門的な知識となりますが、建築物に作用する地震力や風力を基礎を伝って地盤に伝える必要があります。よって、この外力等を安全に地盤に伝える方法において基礎を設けない選択がないため、基礎を設置せずに建築物を建築することは大原則として不可となります。

「でもでも、まちなかでは基礎の無い物置などありますよね」

ほぼ全て違法です。

建築基準法違反ですので、本来であれば建築主等は刑事罰を受けるものです。ただただ日本の警察が忙しいのでよほどの事がない限りは罰せられていないのが実情です。とはいえ、繰り返しで厳しいことを言うようですが「犯罪」なんです。

ではどうすればいいのか。具体的には建築物の基礎は「平成12年5月23日建設省告示第1347号 建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を定める件」において書かれています。

許容応力度に応じた基礎構造

地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度に応じて基礎構造が決められています。

はじめに地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度ですが、一般的には地盤調査を行うことで計算することができますが、小規模な建築物であればそこまで調査を行わない場合があります。

その場合には、建築基準法施行令第93条において地盤の試掘を行い、地盤の状態に応じて簡易的に判断が可能です。

例えば、一般的な「砂質地盤(地震時に液状化のおそれのないものに限る。)」の場合には、長期に生ずる力に対する許容応力度は50KN/㎡となっています。これをH12年告示にあてはめると、30KN/㎡以上となるため、「基礎杭、べた基礎、布基礎」のいずれかから選択することが可能となります。

なお、簡易的な建築物については、そもそも論としてこの告示を適用しない例外があります。

H12建告第1347号を適用しない建築物
  • 木造建築物で茶屋・あずまや等
  • 延べ面積が10㎡以内の物置・納屋等
  • 長期に生ずる力に対する許容応力度が70KN/㎡以上かつ木造建築部等で、土台を設けないものに用いる基礎(柱を基礎に緊結等)
  • 門や屏等
  • 建築基準法第85条第2・5・6項の仮設建築物(建築基準法第6条第1項第二号・第三号の建築物を除く)

ここで注意しなければならないのは、国土交通大臣が定める基礎構造(大臣告示)を適用させる義務はないものの、”基礎を設けない基準”にはなっていないという点です。また、構造設計の原則が規定されている建築基準法施行令第36条の3では、次のように規定されています。

(構造設計の原則)
第36条の3 建築物の構造設計に当たつては、その用途、規模及び構造の種別並びに土地の状況に応じて柱、はり、床、壁等を有効に配置して、建築物全体が、これに作用する自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して、一様に構造耐力上安全であるようにすべきものとする。
 構造耐力上主要な部分は、建築物に作用する水平力に耐えるように、釣合い良く配置すべきものとする。
 建築物の構造耐力上主要な部分には、使用上の支障となる変形又は振動が生じないような剛性及び瞬間的破壊が生じないようなじん性をもたすべきものとする。
【参考:構造体力上主要な部分
基礎、基礎杭、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床版、屋根版、横架材で建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるもの。

建築基準法施行令第36条の3

つまり、建築物については、建築物に作用する自重・荷重・風圧・土圧・水圧・地震(水平力)・衝撃に対して安全性を確保するため、構造体力上主要な部分を配置する必要があります。

ですので、「基礎」と「基礎よりも上部構造」を固定する必要があることから、DIYや小規模建築物で見られるような”基礎に固定せずに設置”することは認められません。

また、一部の小規模な建築物の基礎については、平成12年告示を適用させる必要はないとお伝えしたものの、ではどのように基礎を設計すれば良いかという点では、建築基準法施行令第82条第一号から第三号の構造計算(保有水平耐力耐力計算の一部)を行う必要がありますが、DIYや小規模の建築物では手間もコストもかかるので現実的ではないです。
*メーカーさんによっては個別に安全性の確認を行っているため土質条件させ適用していれば構造計算を省略することも可能。

このため、実際には平成12年告示を適用させるのが現実的になります。

この基礎ですが、べた基礎か布基礎が必要となるため、独立基礎を適用させられません。よくDIYでは独立ブロックを設置してボルトで固定することがありますが、構造計算によって安全性を確認していない限りは違法建築物となってしまいますので、必然的にべた基礎か布基礎を選択することとなります。

この告示仕様に適合させる基礎仕様ですが、ホームセンターで材料と工具専門店で工具をそろえれば自分でできないことはないので、次の書籍を参考にすることが可能です。基礎標準仕様が記載されているので役に立つはずです。

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基礎構造を違反した場合の罰則(刑事罰)

小規模な建築物の基礎の違法行為については、建築基準法第99条第1項第8号の規定により「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」の処されます。

結構、重い罰則規定ですよね。これが小規模建築物ではない場合には、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となります。

また、法第105条の規定によって、法人が違法行為を行ってしまった場合には、1億円以下の罰金刑となります。街中を歩くと法人事務所の敷地内に違法DIYで建築されている物置などを見かけることがあると思いますが、実はかなり重大な罪を犯していることになります。

それだけ建築物の基礎構造の違反は重罪ということになります。理由として、固定していない建築物が突風等で飛ばされて通行人が怪我したり場合によっては死亡してしまったら社会的な損失が大きいからです。


ということで以上となります。参考となりましたら幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など