この記事では、あまり知られていない規定である建築基準法第89条第2項(工事現場への設計図書の備え付け)について解説しています。現場事務所が設置されているところではクリアできていますが戸建て住宅程度だと常備は出来ていないはずなので、「こんな規定あるんだ〜」くらいに読んで頂ければと思います。
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工事現場には設計図書の備え付けが必要
建築基準法第6条第1項に該当する建築、大規模の修繕、大規模の模様替の工事、擁壁などの工作物の築造においては、設計図書を工事現場に備え付けておく必要があります。
この規定は、建築基準法第89条第2項において次のように書かれています。
第6条第1項の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事の施工者は、当該工事に係る設計図書を当該工事現場に備えておかなければならない。
建築基準法第89条第2項
なお、設計図書は、「建築物、その敷地又は第88条第1項から第3項までに規定する工作物に関する工事用の図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書」をいいます。詳しくは、建築士法第2条第6項に”建築物の建築工事の実施のために必要と図面(現寸図その他これに類するものを除く)”と規定されています。
ということにより、工事施工者は、新築や増築、改築、修繕、模様替、擁壁や広告版などを設置する場合には、必ず工事現場に設計図書を備え付けておく必要があります。とはいえ、通常、現場事務所が設置されていなければ備え付けておくことはないですよね・・・。
おそらくですが、第1項の規定については、確認看板の設置に関することなので、同様に近隣関係で紛争防止の観点から備えておくべきものとして位置づけられているのかなーと思います。ちなみに、この法第89条第2項の規定は、1959年(昭和34年)の改正で加えられた規定となります。
もちろん罰則もあります。
設計図書を備え付けなかった場合の罰則
守らないと50万円以下の罰金です!!!笑
建築基準法第103条第3号に次のように規定されています。
第103条 次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
三 第77条の29第2項又は第89条(第87条の4又は第88条第1項若しくは第2項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
この罰則規定が適用された!なんて話は聞いた事がないですが、一応、工事施工者(工事の請負人・請負契約によらないで自ら工事をする者)の方はご注意ください。
その他:役に立つ情報
設計図書にフォーカスすると、建築士法で規定される設計図書。設計図書一つとっても改善の余地ってありそう!って感じたことないですか。読み解くだけで疲れる・・・みたいな(笑)。わたし自身も分かり難い設計図書を見ると(自分が見えていないだけかもですが・・・)、「うわ・・・(泣)」となっちゃいます。
そのような設計図書。改善の余地について書いてある書籍があるので夏休み中に読んでみようかな〜って方はぜひ!参考リンクを貼っておきます。