『最新のデータからコストコの立地状況・立地条件・立地可能性のある都市を分かりやすく解説』した前回の記事に続き、大規模集客施設の郊外立地から、現代の都市計画区域の再編が必要な理由を解説しています。
※YouTube動画(外部リンク)のテキスト版となります。
こんにちは〜。YamakenBlogです!
(こちらの記事は、Katayamaが書いています。)
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現代の都市計画/行政運営の課題
大規模集客施設の立地状況から見えてくる、現代日本の都市計画/行政運営の課題を話していきます。
突如とした郊外への大規模集客施設への立地について、いくら自由市場経済の中とはいえ、本当にまちづくりはこのままでいいのかと疑問に思っている方、少なからずいるのではないでしょうか。
今回の記事では、大規模集客施設の立地誘導で必要な土台の話をしますので、まちづくりを勉強している方にもメリットがある話かと思います。
実は、前回の記事での大規模集客施設の立地条件をみて『あれ!?』と思った人いらっしゃいますか。
こちらの資料をご覧ください。
どういうことかというと、人口が50万人を有していない都市圏でも立地しています。
それは、なぜかですが・・・上山市に立地している特異店舗を除くと、立地している都市圏に隣接して比較的規模の大きい都市圏が近くに隣接していることです。
例えば、そうした状況として分かりやすい例なのが、熊本の御船町(みふねちょう)です。
熊本御船は、御船町(みふねちょう)と熊本市の境界付近のICに建設されています。
もともと、大規模集客施設が立地した地域は、白地と言って、床面積が1万㎡を超える建築物を建築することができない地域ですが、立地にあわせて準工業地域に変更されています。
おそらく熊本県と御船町としては、出店を歓迎したと考えれます。
ただし、御船町にとってはメリットがあっても、隣接する経済圏を同一とする熊本市を中心とする熊本都市計画区域にとってはデメリットの方が際立ちます(もしかしたら、なんとも思っていない可能性もありますが。)
別の都市計画区域である熊本御船都市計画区域となるため、都市計画決定は御船町に権限があり、もちろん都市計画の決定にあたり熊本県との協議は必要となりますが、熊本市を中心とする熊本都市計画区域の市町は都市計画法上の協議相手とならない課題がありますし、仮にあったとしても立地が決まってからの立地調整ではどうにもならないのが実態です。
立地調整とは、例えば、大規模な商業施設については、可能な限り、商業地域や近隣商業地域が指定されている市街化区域へ誘導を図ることです。これによって外部要因による中心市街地の不経済を防ぐことが一定程度できます。
これが都市計画/行政運営の問題となっているのです。
みなさんはどう思いますか?
すでに平成19年に都市計画法が改正され、先手は打たれている。
熊本市の市街地と御船町は10km程度しか離れていませんし、熊本市の経済の影響を強く受けているので、本来であれば、熊本都市計画区域に御船も入れておかないと都市園内で利害調整が出来ないので、今回のような白地にポツンと広域集客施設が立地することがあります。
そうさせないため平成19年に都市計画法が改正(まちづくり三法の改正による白地や工業地域等での大規模集客施設の立地制限)されていることを知っている人も大分少なくなってきているように感じることが多くなりました。
今回の御船町へのICチェンジが建設できたものとも関係しているとはいえですね・・・例えば、IC系の近くに物流施設が立地したりするのは白地や市街化調整区域でも歓迎されるんですけどね。
時代に逆行していると感じている商業者の方もいるのではないでしょうか。
とはいえ、地域で合成形成が図られ、行政として必要と判断したのであれば、地域にとっては追い風になっていると考えられます。
ちなみに、こうした事例、何もここだけに限った話ではないのです。
道路網の整備により数十年前よりも都市圏の範囲が広がっています。
このため、土地利用をコントロールする地域から外れて法の規制が緩い地域に立地しても広域から集客することで商売が成り立つ事例が増えている傾向にあります。
別にいいでしょって反論もあるのですが、例えば、この立地によって行政インフラの維持コストが上昇します。
こちらのデータを見ると分かりやすいのですが、人口密度と行政コストは相関しますので、なるべくコンパクトなまちづくりにする方が全体的に都市の最適化が図られて、みんなが質の高いサービスを受けることができるようになります。
一時的に得をする市場外(市街地外)の人は、市場内(市街地内)で生じる将来コスト(行政サービスの維持に係るコスト)を負担しないため、将来的に不利益を被る人が増加します。だからこそ、実態上の同一都市圏は同じ都市計画区域にしなければならないのと考えられます。
もう少し分かりやすく解説すると、例えば、お祭り会場でビールの金額が統一されているの気づいたことがないですか。ビールの金額が統一されていることにより、一箇所に集中発生しないことで、お祭り全体に人の流れを生み出し回遊性をもたします。
ところが、お祭り会場に隣接した祭り会場外の店舗で通常の価格の10分の1の金額の生ビールで客集めしたとします。そうすると、その店舗に人が集中しやすくなります。結果的に人が集まり過ぎて、お祭り会場の店舗に人が流れ難くなり、祭り会場における一人あたりの支出額が低くなり、お祭り全体の儲けが低下します。
お祭り会場外の店舗は、お祭り開催における集客に必要なコストは負担していません。
お祭りの儲けが低くなるということは、街でお金が回らなくなり、結果的に賑わいが失われていきます。だからこそ、お祭り会場の外側の隣接店舗も含めてみんでお祭りに係るコストを負担した方がいいですし、一定のルール化のもとで競争した方が良い面があります。
従来の都市圏は崩壊
従来の鉄道を前提とした都市圏とは異なっているのが現在の地方の現実ですので、通勤・通学、日常生活の買い物や通院などの実態に合わせて、都市圏の範囲を実態に合わせていく必要があるわけです。
現代は、都市計画区域の再編は必須の業務となっています。
市街化を促進する区域と市街化を抑制する区域に隣接して何ら建築物の制限を受けない今回のような都市圏が隣接してしまう実態があります。
自治体間で競争することは都市の成長することにつながるので、とっても素晴らしいことではあるものの、都市という行政区域を超えた都市圏全体で見渡すと、将来的なインフラの維持にコストがかかり、サービスの質の面で苦労する可能性が高くなります。
ではどうしたらいいのか。
これからの都市運営
都市圏の拡大に伴い、より広範囲で俯瞰して都市運営/行政運営することが求められていますが、今の時代に大規模合併したところで、労力が大変なだけで、条例や規則、取り扱いなどの様々なルールを統一する調整作業で途方もない時間と労力がかかるのは必須です。
ですから、都市計画だけでも経済活動を同じくする都市園でまとまって協議会をつくって政策決定する。例えば、都市計画税を市町村間で割り振るなどを行うのが一つの策として考えられます。可能な限り、利害調整を行うことができる場が必要に思います。
できる限りの協議・調整が考えられるかなと思います。
いずれにしても、よりよい街づくりを行いたい思いはどこの自治体も一緒でしょうから、どこかで妥協できるポイントがきっとあるはずです。
まずは議論が必要ですかね。
ということでいかがでしたでしょうか。こちらの記事がお読みになられた方の何かしらの為になっていれば幸いです。