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【既存住宅状況調査技術者とは?】資格取得するとメリットがあるの?

こんにちは。YamakenBlogです。

先日、『既存住宅状況調査技術者講習』を受講してきました!

こちらの記事では、
❶『既存住宅状況調査技術者』とは何か
❷宅建業法との関係性
❸資格取得のメリットに関して話ていきたいと思います。

当ブログにお越しいただきありがとうございます。また、いつも当ブログを読みいただく皆様、本当にありがとうございます。

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建築基準法や都市計画法といった都市づくりに欠かせない法律は、複雑かつ難解なため理解するのに苦しみますよね(私自身が苦しみました。)。このことを解決するために法律を上手に活用してビジネスや生活に活用してもらいたいと思いつくったブログです。

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既存住宅状況調査技術者とは?

既存住宅状況調査(インスペクション)の根拠法・関連法は主に2つです。

この2つの法律(特に宅地建物取引業法)によって、法的な独占業務資格として市場的に地位を確立しています。

ただし、建築士の独占業務ではあるものの、建築士事務所に所属していないと報酬を得て業務を実施することができません(業務自体が建築物の調査に該当するため、建築士等が報酬を得て業として行おうとする場合には建築士事務所登録が必須)。

  1. 住生活基本法(インスペクションが誕生する根拠的な法律)
    ▶︎平成24年:中古住宅・リフォームトータルプラン
    ▶︎平成25年:既存住宅インスペクション・ガイドライン
    ▶︎平成29年:既存住宅状況調査技術者講習登録規定(H29告示第81号)、既存住宅状況調査方法基準(H29告示第82号)
  2. 宅地建物取引業法(インスペクション業務の法的な位置付け)
    ▶︎宅建業者が既存建物売買等の媒介契約を締結したときは、『建物状況調査を実施する者の斡旋に関する事項を記載した書面を依頼主に交付。また、媒介依頼主の意向に応じて、建物状況調査の実施者を斡旋。(法第34条の2第1項)』
    ▶︎重要事項説明の対象:建物状況調査実施の有無(有:結果の概要)、建物の建築・維持保全の状況に関する書類の保存の状況(法第35条第1項)
    ▶︎法第37条書面:”建物の構造耐力上主要な部分等の状況”について当事者の双方が確認した事項を記載

既存住宅状況調査技術者は、建築士連合会等(法定講習実施機関)の法定講習(ネット講習も有)を受講した後に試験を受けて合格すれば当該資格者となることができます。

なお、調査を行うことができる既存住宅は建築士法に準じていて、一級建築士、二級建築士、木造建築士の行える設計の範囲内で調査することができます。

例えば、、二級建築士であれば、高さが13mを超えるような木造建築物の戸建て住宅や、鉄筋コンクリート構造のマンションなどは調査することができないです。

この辺の制度に関しては、状況調査を行うのは木造住宅が多いと考えられますので、二級建築士や木造建築士でも十分に実施できる資格であるといえます。

既存住宅状況調査の対象

調査項目
  • 構造耐力上主要な部分の調査
    ▶︎品確法施行令第5条第1項
    基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、当該住宅の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるもの
    ▶︎例:基礎であれば幅0.5㎜以上のひび割れがないこと
  • 雨水の侵入を防止する部分の調査
    ▶︎品確法施行令第5条第2項
    ・住宅の屋根若しくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸、わくその他の建具
    ・雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁の内部又は屋内にある部分
    ▶︎例:外壁シーリングの破断や欠損など
  • 耐震性に関する書類の確認
    ▶︎新耐震基準(昭和56年6月)に適合しているかどうかの確認(確認済証等)

原則として、非破壊検査(=目視等による検査)となります。

また、足場の設置が必要となる外壁や屋根の調査や、移動が困難な重量物の家具等により隠蔽されている部分、床下・天井点検口が無く調査できない部分については、調査できない部分については調査不要となります。

破壊検査を実施しないことや建築基準法等への適合チェックなどを行わないこともあり、一般的な調査時間も2〜3時間程度が目安とされており、業務自体は10〜15時間程度(戸建て)、費用も1件あたり5〜6万円程度が相場となっています。

私自身としては、非破壊が原則ですし、調査可能な範囲での業務と明確に位置付けられているため、比較的参入しやすい業務かなと感じました。とはいえですが、注意点としては、報酬を得て業務として実施する場合には建築士事務所登録が必要となる点です。

この部分は特に独占業務感が高い印象…2008年の法改正で建築士事務所の登録に必要な管理建築士になるためには、建築士事務所の所属建築士として設計・監理等に関して3年以上の経験が必須となっています。

その他、瑕疵がないことを保証する調査ではないことや、建築基準関係規定への適合を判定する調査ではないことに注意が必要です。あくまでも国交省が定めた基準に基づく調査がインスペクションで、その他の調査はオプション調査(別途、費用発生)となります。

調査項目の詳細

既存住宅状況調査方法基準(平成29年国土交通省告示第82号)とその解説は、国土交通省のホームページに掲載されておりますので、該当ページのリンク先を貼っておきます。

>>>https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/kisonjutakuinspection.html

既存住宅状況調査を受けるメリット

最大のメリットは、大きくは2つです。

  • 保険法人の現場検査省略(既存住宅売買瑕疵保険(個人間売買・検査事業者保証タイプ))
    *瑕疵保険の加入には、劣化事象等がないことが必要(劣化事象等がある場合には必要な補修を実施)。
  • フラット35維持保全型の活用(当初5年間 年マイナス0.25%)
    *劣化事象等がないこと(劣化事象等がある場合には必要な補修を実施)。

宅建業者が既存住宅を販売する場合には、現行法(宅建業法第40条)の規定により、2年間の瑕疵担保責任保険が義務付けられていますが、個人間売買の場合は、瑕疵担保責任保険が義務付けられていないため、隠れた瑕疵があった場合の買主損害を保証するのが、この検査事業者保証タイプとなり、インスペクションを実施すれば、この保険に入るための保険法人の現場検査を省略することができます。

資格取得のメリット

宅建業法と強く関連してますし、国としても既存住宅のストックを増やしていきたいとする方針で動いているので、国と業界団体により積極的にPR活動が行われるはずです。
*国のサイトでは実施件数に関する統計資料が掲載されているので参考になるかも(件数は増加しています。)

そのため、今後も認知度は上昇していくでしょうし、加えて、インスペクションの実施・リノベーションの実施に対する様々なメリット・優遇措置によって、既存住宅状況調査(インスペクション)の件数は増えていくものと思います。

ですので、事業を拡大させたり売り上げアップなどを図っていきたいとする企業さんにとっては、貴重な資格であり、建築士の独占業務であり競合が著しく多いこともないためメリットも高いと考えられます。

建築士の独占業務である上に建築士事務所登録が必要となりますので、イメージとしては、建築物の定期調査報告のように、建築物の調査の延長として不動産オーナーや不動産業者から依頼を受けて実施していく流れではと思います。(つまり、ある意味では非建築士事務所登録には参入しづらい。)

建築士としては、いつでも仕事として請け負えることができるように取得しておくのが良いのかなーと感じたところです。

ということで、今回の記事は以上となります。

なお、繰り返しですが、法定講習・試験は各実施機関で行われていますので、詳細はこちら(外部リンクページ)の国交省サイトをご覧ください。






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