【空き家の定義】住宅・土地統計調査と空家等対策特別措置法との関係

この記事では、「空き家」の定義を簡潔に解説しています。

現在、空き家対策を実施するための根拠法は国土交通省所管の「空家等対策特別措置法(正式名称:空家等対策の推進に関する特別措置法)」があります。

また、国内の空き家の実態数(推定数)は「住宅・土地統計調査」(総務省統計局)が担っています。

なお、自治体によっては空き家対策に関する計画策定(空家等対策計画)の中で、空き家の実態調査を行い公表している場合もあります。

よくニュース報道等で目にする「空き家率」とされる数値「住宅・土地統計調査」に基づく「空き家/住宅総数」となります。この住宅・土地統計調査における統計調査に基づく”空き家”の内訳が重要となるので詳しく解説します!




空き家の定義(空家等対策特別措置法)

空家等対策特別措置法に基づく空家とは、「空家等」と定義されます。

なぜ「等」が含まれるのか。それは建築物に限らず、建築物に附属する工作物(門や塀など)でその敷地が含まれるからです。そして、空家等とは、居住用に使用されていないものをいいます。

空き家の定義

建築物建築物に附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。
※国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
*空家等対策特別措置法第2条第1項

「居住その他の使用がなされていないこと」とは?
▶︎人の日常生活が営まれていない。営業が行われていないなど、現に意図をもって使い用いていないこと。
※判断方法
・建築物等への人の出入りの有無
・電気・ガス・水道の使用状況及びそれらが使用可能な状態にあるか否か
・建築物等及びその敷地の登記記録
・建築物等の所有者等の住民票の内容
・建築物等の適切な管理が行われているか否か
・建築物等の所有者等によるその利用実績 など
*空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針(平成 27 年2月 26 日付け総務省・国土交通省告示第1号)

「常態である」とは?
▶︎建築物等が長期間にわたって使用されていない状態のこと。
※例:概ね年間を通して建築物等の使用実績がないこと など
*空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針(平成 27 年2月 26 日付け総務省・国土交通省告示第1号)

つまり、概ね1年間を通じて利用実態がない住宅の場合には「空家等」に包含されることになります。

また、空家等の中に「管理不全空家等」「特定空家等」が含めれます。
※管理不全空家等は2023年(令和5年)12月23日より新たに定義。

  1. 管理不全空家
    ・そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態
  2. 特定空家等(以下のいずれかに該当)
    ・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
    ・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
    ・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
    ・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

一方で、住宅・土地統計調査による空家の定義は次のようになります。

空き家の定義(住宅・土地統計調査)

住宅・土地統計調査(略して住調といいます。)における空き家は、居住世帯のない住宅のうち、二次的住宅、賃貸用の住宅、売却用の住宅及びその他の住宅で構成されます。
*居住世帯のない:調査日において居住月数が3ヶ月未満、居住予定月数が3ヶ月未満のもの。
*廃屋:調査の対象外(家庭生活を営むことが困難なため)

  1. 二次的住宅(別荘)
    週末や休暇時に避暑・避寒・保養などの目的で使用される住宅で、ふだんは人が住んでいない住宅
  2. 二時的住宅(その他)
    ふだん住んでいる住宅とは別に残業で遅くなったときに寝泊まりするなど、たまに寝泊まりしている人がいる住宅
  3. 賃貸用の住宅
    新築・中古を問わず賃貸のために空き家になっている住宅
  4. 売却用の住宅
    新築・中古を問わず売却のために空き家になっている住宅
  5. その他の住宅
    二次的住宅、賃貸用の住宅、売却用の住宅及びその他の住宅以外の人が住んでいない住宅で,例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など(空き家の区分の判断が困難な住宅を含む。)

いわゆる空き家率とされるものは、上記の❶〜❺の全てが含まれます。

実態としては、❶〜❹については、利活用予定(すでに利用されている)があります。

特に、現代社会において社会問題となっている空き家は居住目的のない「その他の住宅」となります。これに加えて、住宅・土地統計調査では把握していない「廃屋(概ね空家法の特定空家等に該当)」となります。

【補足】別荘やセカンドハウスについても空き家に包含されます。
しかしながら、これらは年間を通じて利用実態がないとも言い難く、例えば、セカンドハウスであれば日常的に利用する可能性もあるため、特別措置法における空家等に包含されるケースとそうではないケースに分かれます。

参考値(平成30年住宅・土地統計調査における統計)
現時点で最新の統計データにおける集計値です。

単位(戸)
❶住宅総数62,407,400
❷空き家(a+b+c+d)8,488,600
 a 二次的住宅381,000
 b 賃貸用の住宅4,327,200
 c 売却用の住宅293,200
 d その他の住宅3,487,200
空き家率(❷/❶)13.6%
*空き家数及び空き家率(全国) 2018年住宅・土地統計調査

補足:住調における「腐朽・破損」とは?

住調では、空き家のうち「腐朽・破損」の数についても公表しています。

  • 腐朽・破損あり建物の主要部分やその他の部分に不具合があるもの
    ※例 → 一部は、管理不全空家といえるもの
    ・外壁がところどころ落ちている。
    ・壁や基礎の一部にひびが入っている。
    ・瓦が一部外れている。
    ・雨樋が破損して庇の一部が取れている。 など

参考値(平成30年住宅・土地統計調査における統計)
現時点で最新の統計データにおける集計値です。

単位(戸)
空き家(a+b+c+d)1,897,300
 a 二次的住宅39,500
 b 賃貸用の住宅805,900
 c 売却用の住宅45,900
 d その他の住宅1,006,000
腐朽・破損有り_空き家数及び空き家率(全国) 2018年住宅・土地統計調査

国や地方自治体で問題視しているのが、d その他の住宅のうち腐朽・破損(ふきゅう・はそん)ありの住宅で、2018年時点において全国に約100万戸あることが推計されています。日常的な管理がなされておらず、このまま放置し続ければ廃屋に近い特定空家等となる可能性が高いためです。

まとめ

*空き家の定義及び関係法等との関連性(令和5年12月13日以降)

空き家の定義をまとめると上記のようになります。

専ら空き家の実態を把握するには住調における「その他の住宅」の数及び総数に対する割合などが重要で、これに加えて、その地域の不動産市場の動向を把握には、賃貸用の住宅及び売却用の住宅の推移が重要なポイント。

それでは以上となります。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など