界壁の改正(2018)建築基準法第30条の改正について(平成30年法律第67号)

今回は、平成30年6月27日に公布された建築基準法の改正のうち、界壁の規定についてです。

最近、なにかと界壁の話題が上がったりしていますが、界壁とは長屋又は共同住宅の各戸の壁及び床を防火・遮音性能を有する壁で区画するものです。

こんにちは。やまけんです!

それでは、説明していきます。




共同住宅と長屋の違い

はじめに、界壁の解説を行う前に、共同住宅と長屋の違いを知っておきましょう。

※長屋又は共同住宅の違いは・・・

共同住宅は、共用の階段又は廊下、ホール等で2戸以上の住戸が共有しているものです。
長屋は、共用の階段・廊下等がなく、各住戸から直接外に出られるものです。
さらに、共同住宅は特殊建築物ですが、長屋は特殊建築物になりません

遮音性能は、法第30条の規定から、防火性能は、法第36条→施行令第114条第1項の規定となります。

改正の内容

それでは、改正内容についてです。

国が出している建築基準法の一部を改正する法律案要綱によりますと、

長屋又は共同住宅の天井の構造が、遮音性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものである場合には、当該住戸の界壁を小屋裏又は天井裏に達するものとしなくてもよいものとすること。

 

と記載されております。

 

つまり、技術的基準に適合し、かつ大臣構造方法又は大臣認定であれば界壁を小屋裏又は天井裏に達する必要は無くなります。※政令等は今後パブコメが予定されるはずですが、法の施行が公布の日から1年以内のため、まだ先だと考えられます。わかり次第、このブログでも紹介したいと思います

 

また、法の改定におけるパブコメ時点の趣旨をみますと、「大規模な既存建築物の部分的な用途変更に際して、新たな用途に適用される規制への対応が円滑になされるよう、最低限の性能の確保を図りつつ、一層の合理化を進める。具合的には、共同住宅・長屋における界壁(遮音性能)・採光・・・(略)・・・の防火・避難規定に係る技術的基準の見直しを図る。」とあるため・・・(下段につづく)

その他(防火性能について)

(上段からの続き)おそらく、法的には遮音性能ですが、法第36条の規定から規定される施行令第114条第1項についても、小屋裏又は天井裏まで達しなくてもよいとする規定に改定するのではないでしょうか

 

何故なら界壁だけ遮音性能に達する必要性がないものの、防火性能だけ天井裏まで達する必要性が出てくるのであれば、同じ界壁で整合が図られず、また経済合理性に欠くからです
想定ですので、事実がわかり次第、当ブログで紹介します下記参照

 

現に施行令第114条第第2項では、学校、病院、診療所、児童福祉施設等、ホテルなどの特殊建築物の防火上主要な間仕切り壁について、平成26年国交告示第860号に該当する防火上支障がない部分であれば小屋裏又は天井裏までの立ち上げを除外しています。

追記(パブコメ2018/12/7〜2019/1/5):防火性能について

想定どおり、「防火性能」についても緩和となる方向性が示されました。

出典元は、平成30年12月7日から始まったパブリックコメント中の建築基準法施行令です。

長屋又は共同住宅の各戸の界壁については、現行基準では、(イ)準耐火構造とし、かつ、(ロ)小屋裏又は天井裏に達するようにすることとされているところであるが、学校等の防火上主要な間仕 切壁(令第 114 条第2項)の例に倣い、その代替措置として、

・ 令第 112 条第2項に規定する自動スプリンクラー設備等設置部分

・ 防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分 については上記(イ)及び(ロ)のいずれも不要とし、

・ 天井の全部が強化天井である階(階全体を強化天井)

・ 階の一部を準耐火構造の壁等で区画し、その部分の天井が強化天井である部分(区画部分を強化天井)

については上記(ロ)を不要とする。

 

界壁(遮音性能)の改正法について

(長屋又は共同住宅の各戸の界壁)
建築基準法第30条 長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。

一 その構造が、隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために界壁に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。
二 小屋裏又は天井裏に達するものであること。

2 前項第二号の規定は、長屋又は共同住宅の天井の構造が、隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために天井に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものである場合においては、適用しない

また、こちらがその改正法(遮音性能)にかかる参考図です。

※出典:平成30年改正建築基準法に関する説明会(第2弾)国土交通省公表資料

界壁の問題について

界壁等の施工不備問題について、一人の建築士として原因を考えてみました。
▶︎界壁の問題は”なぜ起きた?” 一建築士の見解

まとめ

今回は、平成30年改正法に関する規定から、界壁(遮音性能)について、解説しました。
今後も詳細が分かりましたら、当ブログでも紹介したいと思います。
ここまで読んで頂きありがとうございました。٩( ‘ω’ )و






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など