【イ準耐火建築物とは?】イー1(1時間準耐火)・イー2(45分準耐火)を解説

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イ準耐火建築物の解説

こんにちは!!やまけんです。

建築や都市計画に関する情報を発信しながらゆる〜く生きています。本業はコンサルタントです。




イ準耐火建築物について

✔︎イ準耐火建築物としなければならないと言った方がいいのか。

✔︎イ準耐火建築物としたいのか。

 

大概は、建築基準法第27条の規定によるか若しくは防火・準防火地域内の規定による場合が多いと思います。

 

そのような『イ準耐火建築物』ですが、防火避難規定を解説する中でも難解な部分が多く、読み解くのに時間がかかりますww 特に近年の法改正により、技術的基準が法第27条ただし書きから告示に移るなど、読み解くさが増しています。

 

図解で明確に示す参考書を読んでもいいですが、法令を読んでどこにどのように記載されているかを確認することも大切です。

ちょっと読みにくいかもしれませんが、少々お付き合いください。

なぜ、イ準耐火建築物と呼ばれるのか

はじめに、何故、イ準耐火建築物というのか説明します。

 

イ準耐火建築物とは、法第2条の用語の定義に規定されている条文のうち、法第2条九の三号イに規定されています。

【建築基準法第2条九の三】
準耐火建築物 耐火建築物以外の建築物で、又はロのいずれかに該当し、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に前号ロに規定する防火設備を有するものをいう。

イ 
主要構造部を準耐火構造としたもの

ロ イに掲げる建築物以外の建築物であつて、イに掲げるものと同等の準耐火性能を有するものとして主要構造部の防火の措置その他の事項について政令で定める技術的基準に適合するもの

ここで、規定されているのがイ準耐火建築物となります。

『あれ、イー1、イー二は?』と思った方、用語の定義には記載されていません。

 

ちなみに、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分を防火設備にしないとイ準耐火建築物にはなりませんのでご注意ください。

 

なお、ロ号がロ準耐火建築物ですね。

ロ準耐火建築物については、政令でロー1、ロ−2が規定されているんですが、イ準耐火建築物は政令で明記されていません・・・何故だろう不思議。

 

では、イー1とイー2の違いを説明します。

イー1準耐火建築物

結論からいうと、大まかに言うと、1時間準耐火基準の構造のことをイー1準耐火構造です。

これに、建物周囲の通路や外壁の開口部、避難上有効なバルコニーなどの設備を設けることで、イ−1準耐火建築物となります。

そしてつまり、1時間準耐火構造以外は、45分間準耐火構造となります。これがイー2準耐火建築物です。

【1時間準耐火基準とは:令第112条第1項に規定】
令第129条の2の3第1項第一号ロに掲げる基準(主要構造部である壁、柱、床、はり及び屋根の軒裏の構造が同号ロに規定する構造方法を用いるもの又は同号ロの規定による認定を受けたものであることに係る部分に限る)をいう

それでは、法第27条から確認しましょう!!

 

法律第27条第1項を見て頂くと分かります。といっても難解ですが・・

【建築基準法第27条第1項抜粋】
次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、その主要構造部を当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでの間通常の火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとし、かつ、その外壁の開口部であつて建築物の他の部分から当該開口部へ延焼するおそれがあるものとして政令で定めるものに、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。

これだけ見ても分からないでしょ・・・そうなんです。笑

 

政令とは、建築基準法施行令第110条(法第27条第1項に規定する特殊建築物の主要構造部の性能に関する技術的基準)なのですが、この令は技術的基準を定めているだけなので、具体的な構造方法は、平成27年国交告255号(建築基準法第27条第1項に規定する特殊建築物の主要構造部の構造方法等を定める件)に規定されています。

 

この構造方法以外では大臣認定他の方法はありません。

この告示(平成27年国交告示第255号)で1時間準耐火基準という文言が出てきます。それが、イ−1準耐火建築物です。

平成27年国土交通省告示第255号(イー1準耐火建築物)

おおまかに言うと、この告示の第1第二号及び第三号において、1時間準耐火基準と言う文言が出てきます。告示のうち、3階建ての建築物用途の部分を表にするとこんな感じです。

告示 対象建築物の階数 対象建築物の用途
第1第二号 3階建て(地階を除く) 下宿、共同住宅、寄宿舎
第1第三号 3階建て(地階を除く) 学校、図書館等

※出典:平27国交告第255号の抜粋

例えば、3階建ての共同住宅を耐火建築物とするのではなく、準耐火建築物としたい場合には、この告示が適用されるため、留意しましょう!!

では次に、1時間準耐火基準とは、どこに規定されているかですが、令和元年6月21日国土交通省告示第195号(1時間準耐火基準に適合する主要構造部の構造方法を定める件)となります。

 

令和元年国土交通省告示第195号(1時間準耐火基準)

建築基準法施行令第112条第2項から規定される告示です。

この告示で、壁、柱、床、はり、軒裏についての1時間準耐火基準が規定されています。

主要構造部 備考
第1一 耐力壁(間仕切壁) 耐火構造、特定準耐火構造、防火被覆(下地木造・鉄材)、構造用集成材等

*特定準耐火構造
通常火災終了時間が1H以上である建築物の主要構造部または特定避難時間が1H以上である建築物の主要構造部

第1二 非耐力壁(間仕切壁)
第1三 耐力壁(外壁)
第1四 非耐力壁(外壁の延焼のおそれのある部分)
第2
第3
第4 はり
第5 軒裏

 

イ−2準耐火建築物

イ−2準耐火建築物は、一般的な解説でいえば、45分準耐火構造に外壁の開口部で延焼のおそれのある部分を防火設備にした建築物のことです。

イ−1が1時間に対し、イ−2は45分です。

イ−2準耐火構造とは、法第2条七の二に規定されており、技術的基準は、令第107条の2に、構造方法は、平12建告1358に規定されています。

 

大臣の定める構造方法以外は、大臣認定によるもの以外はありません。

 

よくある建築物の事例としては、準防火地域内で3階建ての一戸建ての住宅を建築したい場合ですかね。

詳しい構造基準については、この記事では省略しますね!次の項に参考書籍を掲載しておきますので参考にしてみてください。

本記事のまとめ

✔︎イ−1について

イ−1準耐火建築物は、耐火建築物の特例みたいなものです。

平成27年改正前は、法第27条のただし書きでしたので、そのことを鑑みれば分かりますよね。

よくあるのは、鉄骨3階建ての共同住宅でしょうかねー。

イ−1準耐火建築物は、次のとおり読み解いていくと良いかもしれません!(あくまでも参考です。笑)
法第2条九の三 → 法第27条第1項 → 令第110条 → 平27国交告255 → 令第112条第1項 → 令第129条の2の3第1項第一号ロ → 平27国交告253 

✔︎イ−2について

イ−2準耐火建築物は、45分準耐火構造+外壁開口部(延焼部分)を防火設備です。

くらい覚えておけば、あとは実務の際に具体的な設計となったら、参考書片手に設計していくのが良いと思われます。

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それでは今回の記事は以上となります。

皆さまの参考となれば幸いです。




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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など