用途変更時に法第20条(構造耐力)は確認するべき内容だ!!

今回は、用途変更時において準用される規定についての解説のうち、構造規定に関する部分の記事です。
今後ますます用途変更は増加するでしょうから、今のうちからオーナーも建築士もしっかりと準備しておくことが肝心というわけです。

こんにちは。やまけんです!!

いきなりですが、『用途変更時に法第20条は準用されるでしょうか?』

正解は、準用されません!!

でもですね。法律では規定されていなくても、本来、確認するべき内容であることは明白であると私は思うんです。
今回は、用途変更時における法第20条のあり方について淡々と述べているものです。
ぜひ、建築士や不動産オーナーには見て欲しい内容です。

はじめに

用途変更が可能かどうかは、建築確認済証や検査済証があるか、検査済証の交付を受けた後から、これまでにどのような使い方をしてきたかがとても重要になります。

用途変更時は、『確認済証』、『検査済証』、『確認申請図書(構造計算書を含む)』の3つが無いと話しになりません。

一部の自治体や国では検査済証等が無くても円滑に用途変更が進むように取り組んでいるようですが、建築士の立場からすると、この3点セットが無い場合、事務手続きに係る時間は、これら図書が有る場合に比べてかなり多くなることは必至です。ですので、用途変更を考えている方も、頭に入れておいた方がいいです。

特に、建築基準法や消防法に違反するような修繕等を行なっていないかなどは、細かく法チェックを実施する必要があり、用途変更確認申請時においては、必須の調査項目となります。

毎年のように建築基準法は改正されていくため、既存建物は何かしらは既存不適格になっている可能性があります。
そのため、用途変更時は大概が既存不適格調書を提出することになるため、この段階で違法性(既存不適格ではない)がある箇所があれば、原則として改善した上で用途変更に向けた手続きを進めていくことなるのが通常の流れです。

用途変更時において準用される規定について

記事上段で解説したとおり、用途変更時においては、準用される規定が一番重要となります。

基本的には、建築士に相談した上で、用途変更に向けた設計を行い、こういった部分を適合するように計画していくわけですが、ここでとても大切なことは、用途変更においては、法第20条(構造耐力)は準用されないということです。

次の法文は、用途変更(用途変更を行う建築物が既存不適格の場合)における準用される規定です。
どこにも、法第20条の文言は出て来ないんですね。

(建築基準法第87条第3項)
 第3条第2項の規定により第27条、第28条第1項若しくは第3項、第29条、第30条、第35条から第35条の3まで、第36条中第28条第1項若しくは第35条に関する部分、第48条第1項から第14項まで若しくは第51条の規定又は第39条第2項、第40条、第43条第3項、第43条の2、第49条から第50条まで、第68条の2第1項若しくは第68条の9第1項の規定に基づく条例の規定の適用を受けない建築物の用途を変更する場合においては、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これらの規定を準用する。
一 増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替をする場合
二 当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものであつて、かつ、建築物の修繕若しくは模様替をしない場合又はその修繕若しくは模様替が大規模でない場合
三 第48条第1項から第14項までの規定に関しては、用途の変更が政令で定める範囲内である場合

つまり、乱暴な言い方だと、構造計算はしなくても良い

『ラッキーと思うか、ダメでしょと思うかは人それぞれかな・・・』と思われます。

さらに追い打ちをかけるように、用途変更の円滑化に向けた技術的助言(平成28年国住指第4718号)においても、明確に法第20条は遡及適用されないとされています。

本当に構造耐力はチェックしなくて良いのか

結論から言うとそういうわけにはいかないんです。

例えば、住宅と集会場では、人が集まる数が圧倒的に違うでしょ。
荷重が変わるんですよ。

そう、当初設計していた荷重を超える場合、建築物の構造耐力上の危険性が増大する恐れがあるかもしれないんです。

こちらは、積載荷重を規定している建築基準法施行令第85条の規定です。

(建築基準法施行令第85条第1項の抜粋) 
建築物の各部の積載荷重は、当該建築物の実況に応じて計算しなければならない。ただし、次の表に掲げる室の床の積載荷重については、それぞれ同表の(い)、(ろ)又は(は)の欄に定める数値に床面積を乗じて計算することができる。
構造計算の対象
(い)
(ろ)
(は)
室の種類
床の構造計算をする場合
(単位 N/㎡)
大ばり、柱又は基礎の構造計算をする場合
(単位 N/㎡)
地震力を計算する場合
(単位 N/㎡)
(一)
住宅の居室、住宅以外の建築物における寝室又は病室
1,800
1,300
600
(二)
事務室
2,900
1,800
800
(三)
教室
2,300
2,100
1,100
(四)
百貨店又は店舗の売場
2,900
2,400
1,300
(五)
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類する用途に供する建築物の客席又は集会室
固定席の場合
2,900
2,600
1,600
その他の場合
3,500
3,200
2,100
(六)
自動車車庫及び自動車通路
5,400
3,900
2,000
(七)
廊下、玄関又は階段
(三)から(五)までに掲げる室に連絡するものにあつては、(五)の「その他の場合」の数値による。
(八)
屋上広場又はバルコニー
(一)の数値による。ただし、学校又は百貨店の用途に供する建築物にあつては、(四)の数値による。

原則として、実況に応じて積載荷重を計算することになりますが、実況によらない場合は、この表を用いることになります。

用途によって積載荷重が違うということです。

ですので、用途変更によって、積載荷重が減少すれば問題ないですが、増大する際には構造計算が必要となるということです。

考えてみて、1,800Nと3,500Nの差は1,700Nもあるんです。
それで地震時を想定してみてください。想定以上がかかって柱・はりは破断する可能性が大です

自治体によっては「構造耐力上の危険性が増大しない」かチェックを求めているところもあります
また、建築士にとっても、危険性が増大するような用途変更はするべきではないという考えが一般的だと私は信じていますので、法律で準用していないとしても、チェックするべき内容といえます。

危険性が増大しないことの確認方法

基本的に構造計算書でしか積載荷重をチェックすることはできません

危険性が増大しない用途変更後の積載荷重でも当初設計時の積載荷重の範囲内である。

これがチェックできればよいわけです。

チェックできなければ用途変更確認申請は困難です。

基本的にと言ったのは、構造計算書が無くても、確認申請時の用途が分かればある程度は積載荷重を想定できるからです。
室用途から積載荷重を想定し、用途変更後においても構造耐力上問題が無いことを確認することも可能だと考えられます。

危険性が増大しないかチェックする建築物

構造計算が必要な建築物です。

法第20条(構造耐力)に規定されている内容ですね。

特に2階建て以上において、設計時における積載荷重を超えることとなる場合、構造計算は再度必要となると考えていいです。

古い建築物で構造計算書が無い場合には、ほぼ用途変更は不可能でしょう・・・

リノベーションする際には、特にこの法第20条の規定を注意する必要があります。

不動産賃貸をする際には、確認申請図書は重要なので無くさないように注意しましょう。

まとめ

今回は、用途変更に係る準用規定のうち、法第20条に係る部分について、概略ではありますが解説しました。
用途変更は、既存ストックの活用という観点から増加していくことは間違いないです。
ですので、ますます用途変更を適正に行える設計士が必要不可欠ですし、不動産オーナーによる適法な使用を心がけることがとても大切です。

まずは、確認申請の図書は絶対に無くさない。それから検査はちゃんと受けること。
これが一番大事です!!

最後まで読んで頂きありがとうございました。٩( ‘ω’ )و