【地区計画条例/届出】地区計画条例と都市計画法に基づく届出制度の違いをわかりやすく解説(罰則など)

この記事では、地区計画条例化による建築確認申請時のチェックと地区計画の届出について解説しています。

こんにちは!やまけん(@yama_architect)です。
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条例化された地区計画と届出の違い

地区計画は都市計画」で決定される重要な都市づくりの手法の一つです。

良好な街並み等を小さい街区単体で形成していくには効果的ですので、ニュータウンや駅前、幹線沿道沿いに多く設定されています。

そのような地区計画ですが、「条例」と「届出」が2種類存在します。
今回は、この二つの異なる性質の違いについて解説します。

条例とは、建築基準法第68条の2に基づく「地区計画条例」となり、建築確認申請において審査されることとなります。そのため、完了検査においてもチェックされることとなります。

一方、届出とは、都市計画法第58条の2に基づく「地区計画届出」のことであり、行為に着手する30日前に市町村長に届出を行うものです。*建築基準法第68条の2に基づき条例化されていないものです。

  • 地区計画条例:建築基準法第68条の2に基づく条例
  • 地区計画届出:都市計画法第58条の2に基づく届出

また、条例化されている場合、建築基準法に基づく指導・罰則等(罰則については条例に罰則規定を設ける必要がある)がありますが、届出の場合は、そういった法的拘束力は無く、勧告にとどまっています。

罰則の違い

大きな違いは、罰則規定が建築基準法または都市計画法のどちらかが適用されるかです。

建築条例化がされていれば、建築基準法第107条の規定により条例の内容に対して「違反した者に対し、50万円以下の罰金に処する旨の規定を設けることができる」とされているほか、建築基準法に基づく違法・建築指導の対象になります。

一方で、届出制度の場合には、「地区計画の届出をせず、又は虚偽の届出をした者」に対して20万円以下の罰金となります。届出制度の場合にはあくまでも”届出をしない”か”虚偽の届出をした者”に限られます。つまり、地区計画の内容に違反している届出を提出しても何ら罪に問われることはないわけです。

その分、建築基準法第68条の2に基づく条例化を行えば、地区計画の内容に違反した者に対して50万円以下の罰金ですし、そもそも建築確認がおりませんから建築時点から違反される可能性は極端に少ないです。

届出条例化
確認申請非連動建築確認時に審査
違反指導勧告のみ
*都市計画法
違反指導あり
*建築基準法
罰則20万円以下
*届出しない・虚偽
50万円以下
*条例に違反した場合
*詳細は条例に規定
届出制度と条例化の違い

地区計画条例化とは?

地区計画条例とは、建築基準法第68条の2に規定されているもので、地区計画が定められている区域(地区計画の中で地区整備計画等が定められている区域のみ)において、建築物の敷地、構造、建築設備、用途等について条例化できるものです。

条例化することにより、建築基準関係規定となることから、建築確認申請において確認を受けなければならなくなります。←ここが大事なポイントです。

また、条例化にあたっては、令第136条の2の5の基準に従うこととされています。

具体的には、建築物の用途、容積率、建蔽率、敷地面積の最低限度、壁面の位置の制限、建築物の高さの最高限度、建築物の高さの最高限度、建築物の形態又は意匠の制限、垣又は柵の構造の制限、建築物の建築の限界などです。(地区計画の中で規定されている内容について条例化)

なお、このことについては、あまり馴染みはないですが、条例化にあたり、建築基準法第48条(用途地域)の用途制限を緩和する地区整備計画の内容を条例化するには、あらかじめ国土交通大臣の承認が必要となります。(法令上の用途制限を条例によって緩和することになるため、当然といえば当然ですかね。)

地区計画条例は、基本的に市町村が行いますので、不動産調査などで概要を知りたい場合には、『地区計画建築条例』などと検索してみるといいと思います。

では、次に届出とは何かです。

地区計画届出とは?

地区計画届出は、都市計画法第58条の2に規定されておりますが、先ほどの条例化と違うのは、都市計画法のみの適用となるところです。

同条の規定により、地区計画の区域内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築等を行う場合には、着手する30日前までに届出を行わなければならないとされています。

なお、はじめにお伝えしたとおり法的拘束力は無く、地区計画に適合しない場合(例えば住宅の建築を認めないとしている区域の場合に住宅を建築する行為)は、市町村長から勧告を受けるのみにとどまります。

そのため、先ほどの条例化の部分で説明したように、勧告では拘束力が低いことから、方向性にそぐわない建築行為などをできないようにするため、自治体によっては条例化を図って通常の建築基準法第48条等の用途制限同様に対処しているといった状況です。

地区計画の届出については、こちらの記事で詳しく記載しておりますのでご覧ください。
※条例化により届出が不要となるケースなどを記事にしています。
▶︎地区計画の届出について(届出が必要となるケース、届出不要のケース)(ブログ内リンク)

その他

街区の街並みを整えるには地区計画の届出よりも、確認申請時にチェックされる条例化の方が効果的なのは一目瞭然です。

自分のお住まいの地区がこういった地区計画の区域に位置している場合は、届出制なのか、条例化されているのか一度は確認(自治体のホームページなど)してみるといいかもしれません。

また、不動産業者の方や建築士の方は、取引等でこの地区に入っている場合には、忘れずに確認して、クライアントに説明できるようにしておくことが必要です。

今回は簡単にまとめました。

もっと詳しいことが知りたいと思っていた方すみません。
それでは、最後までお読み頂きありがとうございました。参考になれば幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など