はじめに言っておきますが、レオパレスを擁護するつもりは全くありません。
最近、界壁に関する平成30年の建築基準法改正がレオパレスの問題を受け、国が現状を追認するためのものだという意見を聞くことが多いです。
でも、それって違うと思いますよ!
政府を批判するためのツールに使われているようですが、そういうことじゃないからと言いたい。
こんにちは。やまけんです!!(私は政府関係者ではないです。笑)
間違えた考えが本来意図としない方向に進むのは建築士としてガッカリするので、今回の記事を書きました。
なんでそういうことを言いたいかというのも、建築基準法法の改正内容を考えれば分かります。
平成30年の法令改正について
法令改正の概要についてはこちらをご覧ください。
▶︎界壁の改正(2018)建築基準法第30条の改正について(平成30年法律第67号)(ブログ内リンク)
平成30年の法令改正については、壁(天井裏・小屋裏まで達するもの)で炎を遮っていたのを天井でも良いよとするものです。
昔(法律制定当時)は炎を天井で遮る方法が確立されていなかったので、壁で遮るという考えしかありませんでしたが、現代では、技術的な解決がされているので、天井でファイアーストップできるんです。
※界壁よりも天井で炎をカットできるので、小屋裏に達する恐れがなく、炎の延焼範囲が小さくなる分、躯体への影響は最小にできるかもしれませんね。
※図:「平成30年改正建築基準法に関する説明会(第2弾) 国土交通省」
国交省が行なっている平成30年の法令改正に係る説明会において配布された資料の抜粋となります。
令第114条第2項においては、防火上主要な間仕切り壁の考えにおいて、緩和する考え方が示されていたので、今回の遮音性能の改正に合わせた防火に関する性能についても、合理化がなされて当然だったというわけです。
レオパレス問題が要因と言える?
レオパレスの界壁に関する問題は、そもそも界壁を仕様を間違えていたり、隙間があったりと、そもそも界壁として求められる基準どおりに施工していなかったわけです。
では、天井は準耐火構造(若しくは耐火構造)にしてあったかというと、私もレオパレスさんの共同住宅を見たことが無いので確定的なことは言えませんが、コストを抑えることが前提な中、天井をあえて強化天井にするとは考えられないです。
1階と2階の間の床(界床)は準耐火構造(若しくは耐火構造)で施工していると思われますが、それでも床であって、天井ではないし、仮に天井でファイヤーカットしていたとしても、最上階の天井などは強化天井にしているとは考えにくいので、今回の法令改正が現状仕様を追認しようとするためものとは断定できないと思いますけどね。
そもそも、防火上主要な間仕切り壁は緩和規定が設けられていたので、界壁の規定が遮音性能も関係していたので、改正するのが遅くなったと言ってもいいくらいだと思います。
いずれにしても、炎を適切にカットできれば(共同住宅や長屋の場合だと遮音性能も)よいわけですから、天井でカットすることが悪いという論点自体間違いですし、問題を起こした企業が要因と決めつけるのは間違いというわけです。
それでは最後までご覧いただきありがとうございました。
今回は、どうしても言いたくなったところから記事にしたものです。