「都市機能誘導区域」を分かりやすく解説しました。

こんにちは! 建築士のやまけんです^ ^

今回は、立地適正化計画で定める「都市機能誘導区域」について解説します。

立地適正化計画では、都市機能誘導区域と居住誘導区域を必ず定めることになっていますが、都市機能誘導区域については、民間企業にとって、「どこに投資するか(どこに出店するかなど)」を判断する上でとても重要です。

「都市機能誘導区域」の定義


※出典:改正都市再生特別措置法等について(平成27年6月1日時点版)国土交通省

都市機能誘導区域とは、都市再生特別措置法第81条に規定されています。

都市機能増進施設の立地を誘導すべき区域

☑️都市機能増進施設とは?
医療施設、福祉施設、商業施設その他の都市の居住者の共同の福祉又は利便のため必要な施設であって、都市機能の増進に著しく寄与するもの

都市機能増進施設(以下、誘導施設)については、国の資料(立地適正化計画の作成に係るQ &A平成30年7月17日改訂版[国土交通省]及び都市機能立地支援事業交付要綱に基づく中心拠点誘導施設)によると次のように整理できます。

表 誘導施設の例

都市機能の別 誘導施設名
医療施設 病院、診療所、調剤薬局
福祉施設

老人デイサービスセンター等の社会福祉施設、小規模多機能型居宅介護事業所、地域包括支援センターその他の高齢化の中で必要性の高まる施設、子育て支援施設(保育所等)など

教育文化施設 認定こども園、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、専修学校、大学、図書館、博物館、集会場など
商業施設等

スーパーマーケット等の店舗や銀行等のサービス業を営む商業施設、行政サービスの窓口機能を有する市役所等の行政施設

※出典:立地適正化計画に係るQ &A[平成30年7月17日改訂]及び中心拠点誘導施設を編集

上記の表が都市機能増進施設となる例ですが、国では、都市機能増進施設とならない例も示しています。

誘導施設とはならない例

・専ら都市の居住者以外の者の宿泊のみに特化した宿泊施設
・都市の居住者の共同の福祉や利便に寄与しないオフィス(例:都市の居住者に商品やサービスを提供する機能を有しない事務所)等の施設

 

都市再生特別措置法に基づかない誘導施設の設定例

とはいえ、国が示している誘導施設については限定的であり、必ず従わなければならないというわけではないようで、自治体によっては、独自に誘導施設を設定している例があります。

以下の表では3市だけ取り上げましたが、他の都市でも独自に定めているケースが多くあります。

気になる方は「○○市町村 立地適正化計画 誘導施設」で検索してみてください。

自治体名 独自で設定している誘導施設の例
尼崎市

☑️業務施設
産業に係る事業所や研究所等(本市の地域経済をけん引する重要な役割を果たす産業に係る業務施設(事業所や研究所等)

広島市

☑️業務機能
大規模オフィス(延べ面積1万m²以上の事務所

☑️宿泊機能
シティホテル(総客室数が 50 室以上で、15 m²以上の1 人用客室と 22 m²以上の2人用客室の合 計が総客室の1/2以上有するもの)

☑️集客・交流機能
コンベンション施設(室の床面積1千m²以上の会議施設

川越市 ☑️地域交流施設
 旅館業法に定める「旅館・ホテル」で、川越市ホテル等建 築適正化条例に適合する施設が併設された、本市の観光 振興と市民の交流を促進する施設

 

私が調査した限りでは、コンベンション施設やホテル・旅館を誘導施設に設定しているケースが多くありました。

この施設については、直接的に都市の居住者のためのものではないものの、外貨を稼ぐ重要な施設であるため、人口減少に悩む自治体において交流人口の増加を図る観点から定めているものと考えられます。

どういった地域が都市機能誘導区域に指定されるのか


※出典:改正都市再生特別措置法等について(平成27年6月1日時点版)国土交通省

基本的な考え方は、「都市計画運用指針」に規定されており、この基本的な考え方を基に市町村ごとに独自に基準を設けて設定しているようです。

駅や基幹的なバス停周辺などに設定している例が多く見られました。

[都市計画運用指針 抜粋]
都市機能誘導区域は、例えば、都市全体を見渡し、鉄道駅に近い業務、商業などが集積する地域等、都市機能が一定程度充実している区域や、周辺からの公共交通によるアクセスの利便性が高い区域等都市の拠点となるべき区域を設定することが考えられる。 また、都市機能誘導区域の規模は、一定程度の都市機能が充実している範囲で、かつ、徒歩や自転車等によりそれらの間が容易に移動できる範囲で定めることが考えられる。

都市機能誘導区域が設定される地域については、基本的に一定の人口及び人口密度を有する地域の中心又は、それら地域から容易にアクセス可能な地域であるため、この地域で起業や商売を行った方が効率的に業務を行うことが可能と考えられます。

なお、コンパクトな都市機能誘導区域であればあるほど、徒歩圏で様々な都市機能を享受することが可能となるため、比較的メリットが高い地域といえます。

逆に誘導区域が大きい場合には、域内交通が充実していれば、事業を行うメリットは高いといえます。

ちなみに、都市機能誘導区域内で自動車交通移動(土木工事などの自家用車を利用しなければならない事業を除く)をしていては、誘導区域を活用しているとは言い難いです。(私個人の意見)

 

では、次に、都市機能誘導区域が設定された場合における届出制度についてです。

都市機能誘導区域外において、一定の開発行為等を行う場合は届出が必要

立地適正化計画において位置付けられた誘導施設を有する開発行為等を行う場合には、行為に着手する30日前までに市町村長へ届出が必要となります。


※出典:改正都市再生特別措置法等について(平成27年6月1日時点版)国土交通省

○開発行為の場合には、誘導施設を有する建築物の建築目的の開発行為
○建築等行為の場合には、誘導施設を有する建築物の新築 ・ 改築又は用途変更して誘導施設とする場合

なお、仮設建築物などの場合には、届出が不要となります・

[都市再生特別措置法第108条第1項各号]
一 
軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
▶️政令で定める行為:仮設とする場合
二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
三 都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為
▶️政令で定める行為:都市計画施設管理者が都市計画に適合して行う行為
四 その他市町村の条例で定める行為

[罰則規定]

届出をしなかった場合、又は虚偽の届出の場合には、30万円以下の罰金に処される場合があります。

 

[休廃止する場合も届出が必要]

また、誘導施設を有する建築物を休廃止する場合にも届出が必要となります。

[都市再生特別措置法 第108条の2]
 立地適正化計画に記載された都市機能誘導区域内において、当該都市機能誘導区域に係る誘導施設を休止し、又は廃止しようとする者は、休止し、又は廃止しようとする日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、その旨を市町村長に届け出なければならない。

なお、休廃止については、届出をしなかった場合でも罰則規定はありません。

補足・関連記事

地方都市における都市機能誘導区域(中心市街地のケース)については、郊外の大型店舗への人の流れや、後継者不足などで、シャッター街になっているケースがあるかと思います。(中心市街地に投資し難い)

そのため、都市機能誘導区域で事業を起こすメリットが高いと思われないと、民間による投資は活発に行われないことが想定されます。

この区域に投資したくなる、メリット(例えば、解体費用についての自治体からの補助や所有者不明建物・土地の早期解決、公共施設の統廃合による再編・建築)がないと、区域内への再投資は厳しいのが現状と考えれるところです。

だからと言って、何もしないでいると、いつの間にか容積率が高い商業地域(中心市街地)に一戸建て住宅が数多く建築されてしまったでは、都市機能が分散して効率的な経済活動が行えなくなります。ましては、一度建築されると、今後20から30年以上は土地利用が転換されないことが想定されます。

そのため、行政により、民間投資を誘発する仕組みが必要かなと考えられます。
私であれば、公共施設が誘導区域内に集積(特に文化系施設や行政窓口系)されれば、集客装置の役割を生み出すので、何か事業を起こしてみようかなと考えます。

それでは、最後までご覧いただきありがとうございました。

関連記事
▶️立地適正化計画のメリットは?[住民側の視点から]