意外と知られていない容積率の緩和手法[建築基準法第52条第8項]

○「意外と知られていない容積率の緩和手法は」と言うタイトルでお送りします。
○都市計画でも地区計画でもない建築基準法に基づく緩和の方法となります

容積率の緩和方法を調べている方向けの記事となります。

こんにちは!!建築士のやまけんです^ ^

それでは、解説していきますね。

まずは、今回解説する容積率の緩和方法である建築基準法第52条第8項の法文について確認しましょう。




建築基準法第52条第8項の法文

法令文としては、次の通りです。読んでも意味不明な方は読み飛ばしてOKです。

[建築基準法第52条第8項]
その全部又は一部を住宅の用途に供する建築物(特定用途誘導地区内の建築物であつて、その一部を当該特定用途誘導地区に関する都市計画において定められた誘導すべき用途に供するものを除く。)であつて次に掲げる条件に該当するものについては、当該建築物がある地域に関する都市計画において定められた第1項第二号又は第三号に定める数値の1.5倍以下で当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計のその延べ面積に対する割合に応じて政令で定める方法により算出した数値(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内にあつては、当該都市計画において定められた数値から当該算出した数値までの範囲内で特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て別に定めた数値)を同項第二号又は第三号に定める数値とみなして、同項及び第三項から前項までの規定を適用する。ただし、当該建築物が第3項の規定により建築物の延べ面積の算定に当たりその床面積が当該建築物の延べ面積に算入されない部分を有するときは、当該部分の床面積を含む当該建築物の容積率は、当該建築物がある地域に関する都市計画において定められた第1項第二号又は第三号に定める数値の1.5倍以下でなければならない。

一 第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域若しくは準工業地域(高層住居誘導地区及び特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域を除く。)又は商業地域(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域を除く。)内にあること。
二 その敷地内に政令で定める規模以上の空地(道路に接して有効な部分が政令で定める規模以上であるものに限る。)を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上であること。

簡単に述べると、一号(一号に該当する用途地域)と二号(敷地面積・空地規模)の条件に該当する住宅については容積率を緩和しますよというものです。

ちなみに、この規定については、平成14年以前は許可制だったものが緩和されたものです。

建築基準法第52条第8項の概要

簡単に言うと、「住宅を有する建築物については、指定容積率の1.5倍以下」まで緩和されるものです。

例えば、指定容積率が200%であれば、300%まで引き上げることが可能です。

ただ、住宅であれば全てが指定容積率の1.5倍以下まで緩和できるというわけではなく、いつくか条件があります。

条件というのが、次のものです。

①第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域
②敷地規模が一定面積以上
③空地規模が一定面積以上(そのうち、2分の1以上は道路に接して設ける)
※1.5倍以下に関しても条件式があり。

緩和される条件①(用途地域)

緩和される条件として、用途地域があります。

緩和可能な用途地域については、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域となっていますが、都道府県都市計画審議会の議を経て指定される区域については、除かれることとなっており、自治体によっては、この建築基準法第52条第8項区域を定めているケースがあります。

例えば、東京都ですと、区域を告示しています。
▶️東京都における建築基準法第52条第8項区域について(外部リンク)

緩和される条件②(敷地規模)

次に敷地規模ですが、用途地域ごとに敷地面積が決まっています。

用途地域 敷地面積の規模(単位 ㎡) 条例化により指定できる範囲(単位 ㎡)
第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、準工業地域
*特定行政庁が指定する区域を除く
2,000 500以上4,000未満
近隣商業地域、商業地域
*特定行政庁が指定する区域を除く
1,000 500以上2,000未満

注)上記の用途地域と指定されていない区域にわたる場合は、その全部を上記の用途地域に関する規定を適用
注)上記の用途地域の上下段にまたがる場合は、その全部の敷地について過半の敷地の規定を適用

基本的には、開発行為の許可が必要となる規模以上(住居系用途地域の場合には、2倍)の敷地面積を用意しないとするもの。

緩和される条件③(空地規模)

空地の規模は、指定されている建蔽率の最高限度によって決まっています。

なお、空地の規模については、2分の1以上を道路に接して設けることとされていることに注意が必要です。

建蔽率の最高限度(K) 敷地面積に対する割合
(K=建蔽率最高限度)
条例化により指定できる数値(b)
K≦45% 1ーK+15% 1ーK+15%<b≦85
45%<K≦50% 1ーK+15%<b≦1ーK+35%
50%<K≦55% 65% 65%<b≦1ーK+30%
K<55% 1ーK+20% 1ーK+20%<b≦1ーK+30%
指定なし 20% 20%<b≦30%

 

例えば、建蔽率が60%で、敷地面積が2,000㎡であれば、1,200㎡の空地を確保し、なおかつ、そのうちの半分となる600㎡については道路に面して設けなさいとするものです。
*空地は青空駐車場と緑地が想定されてしまいそう・・・

緩和条件③(指定容積率の1.5倍以下、かつ政令式以下)

政令で定める式とは、次のものです。

Vr=3*Vc /3ーR
Vc:指定容積率(都市計画において定められた数値)
R:延べ面積に対する住宅の占める割合

例えば、Vcが200%で、Rが0.8だとすると、Vrは273%に、300%よりも低い値になることから、このケースでは、273%が適用されることになります。

留意点

○建築基準法第52条第2項は緩和されません、よって、前面道路の幅員によっては、容積率が緩和されない場合があります。前面道路の幅員による容積率については、こちらの記事をご覧ください。

▶️土地を購入する際に重要なのは、”指定容積率よりも前面道路の幅員”です。

道路斜線や隣地斜線制限についても緩和されませんので、特に住居系用途地域の場合については、斜線制限に掛からないよう設計する必要があります。

○自治体では、建築基準法第52条第8項区域の指定(緩和を受けることができない区域)を行なっている場合が多いですので、適用にあたっては、特定行政庁のホームページでのチェックや直接問い合わせすることが必要です。

住居系用途地域の場合には、日影規制に注意が必要です。容積率により建築物の高さをあげても、隣地に影を落としたらOUTです。建物形状・配置には十分に留意する必要があります。

最後に・補足

この緩和については、建築基準法第59条の2に規定する総合設計制度と近いものがありますが、住宅の用途に限って緩和していることが特徴になっています。

特に都市部で容積率の緩和を使う手法としてはなくはないですが、建築基準法に基づく緩和制度のため、都市計画で定めるような高度利用地区などの抜本的に容積率を著しく緩和するようなものではありません。

当然ながら周辺環境等との調和を図りながら活用していくもので、その中で、空地を確保することを条件として、容積率の緩和を受けることが可能になっていることを考慮しておく必要あります。

 

それでは最後までご覧頂きありがとうございました。参考になれば幸いです。