特殊建築物の定期報告って何?と言う疑問に答えます。

特殊建築物の定期報告とは、建築基準法で規定されるもので、定期的に建築物の状態(建築物の敷地、構造、損傷、腐食、劣化状況など)を確認して、行政に報告する制度のことです。

こんにちは!建築士のやまけんです。^ ^

この記事でわかること
○定期報告とは?(建築物関係)
○定期報告が必要となる特定建築物の概要

概要を掲載している簡単な記事ですので、時間かからずに読めると思います。

それでは解説してまいります。




なぜ、定期報告が必要なのか

結論からいうと、建築物を常に法律に適合させるためです。

建築物は完了検査が終わり、検査済証が交付されたら、それで終わりではないんですね。
建築基準法第8条(維持保全)にもあるようにメンテナスが非常に重要となります。
特に、適法な状態に維持するこということが、とても重要となります。

(建築基準法第8条)
建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。

世間では、「建築士が稼ぐために設けられている制度だ・・・」とか言われることがありますが、
まじで意味分からんです。
定期報告が必要な理由は、「建物所有者・管理者のみなさん!!違法なことするなよ!適法な状態にするんだぞ!」ということです。

ちょっと強めに言いましたが、どういうことかというと、例えばの話ですが、
①ホテルの内部にある防火シャッターが閉まらない状態になっていたことを知らなかった。
②火災が発生して防火シャッターが閉まらず、火災が延焼して怪我人を出してしまった。

こんな状態になったら、建物所有者・管理者の責任は重大なことになります。
だから、定期報告制度があるんです。

ちなみ、定期報告制度は次のようになっています。

(建築基準法第12条第1項抜粋)
第6条第1項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する建築物を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築物で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

定期報告の中で、通常使用により違反となっている部分がないか、メンテナンス等により防火シャッターなどはちゃんと作動するかなどを確認することが重要となります。

☑️特殊建築物についてはこちらの記事をご覧ください。
▶️特殊建築物の解説(特殊建築物の一覧表)

定期報告の対象となる建築物

定期報告の対象となる建築物については、特定行政庁が公表していますので、法律を確認するよりもすぐに判断できますので、自身が所有する建築物の所在地の市区町村名と定期報告で検索すると、すぐに分かるはずです。

検索方法「○○市区町村 定期報告」です。

なおですけど、法律では、次のように規定されています。
※建築基準法施行令第16条第1項

○地階または3階以上の階を法別表第1(い)欄(一)に掲げる用途に供する建築物及び当該用途に供する部分(客席の部分に限る。)の床面積の合計が100㎡以上の建築物

○劇場、映画館または演芸場の用途に供する建築物で、主階が1階にないもの

○法別表第1(い)欄(二)項または(四)項に掲げる用途に供する建築物

○3階以上の階を法別表第1(三)項に掲げる用途に供する建築物及び当該用途に供する部分の床面積の合計が2,000㎡以上の建築物

注)国土交通大臣が定める建築物を除く。
▶️平成28年1月21日国土交通省告示第240号「定期報告を要しない通常の火災時において避難上著しい支障を生ずるおそれの少ない建築物等を定める件」
※この告示がかなり重要です。法令に記載のあるもののうち、多くはこの告示により除外されます。この記事では、特定行政庁のホームページ(定期報告に関するページ)をみた方が早いので、告示の詳細は記載しません。

▶️法別表第1については、こちらの記事をご覧ください。特殊建築物の解説(特殊建築物の一覧表)

点検項目(建築物)

調査項目、調査方法および判断基準については、告示に規定されいます。
その告示とは、「建築物の定期調査報告における調査及び定期点検における点検の項目、方法及び結果の判断基準並びに調査結果表を定める件(平成20年3月10日国土交通省告示第282号)」となります。

大きくは6項目規定されています。

項目 調査項目の概要
1 敷地及び地盤 地盤、敷地、敷地内通路、塀、擁壁
2 建築物の外部 基礎、土台(木造のみ)、外壁(躯体等、外装仕上げ材等、窓サッシ等、外壁に緊結された広告板、空調室外機等)
3 屋上及び屋根 屋上面、屋上回り、屋根、機器及び工作物(冷却塔設備、広告塔等)
4 建築物の内部 防火区画、壁の室内に面する部分、床、天井(特定天井も含む)、防火設備(防火扉、防火シャッター等)、照明器具、懸垂物等、居室の採光及び換気、石綿等を添加した建築材料
5 避難施設等 通路、廊下、出入口、屋上広場、避難上有効なバルコニー、階段、排煙設備等、その他設備等(非常用の進入口等、非常用エレベーター、非常用照明)
6 特殊な構造等 膜構造、免震構造、避雷設備、煙突

なお、近年義務化された防火設備については、「防火設備の定期検査報告における検査及び定期点検における点検の項目、事項、方法及び結果の判定基準並びに検査結果表を定める件」に規定されています。
詳細は記載しないので各自でご確認ください。

届出を行わなかった場合の罰則

建築基準法第101条に規定されており、定期報告をせず、または虚偽の報告を行った者は、100万円以下の罰則となります。

最後に

とても重要なことですが、定期報告に基づく調査は確実に行っていた方が無難です。
そのメリットとして、
「万が一の場合に備えられる」というのが一番の大きな理由です。

建物を適正に管理していなかったために生じる損害は、所有者や管理者の責任となることに注意です。
定期報告の中でコンプライアンス違反がないかどうかチェックを行い、もしあったとしたら、是正していくことが重要ですね。
常に適法な状態に維持して、利用者の安全を確保していきましょう。

それでは、これで解説を終了します。
最後までご覧いただきありがとうございました。