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商業地域・近隣商業地域の建築制限(用途制限、日影制限・容積率・建蔽率)

商業系用途地域って、商業系の用途しか建築できないって思っている方が結構いるんですよね。
また、日影規制だったり、容積率や建蔽率についても同様に制限される内容について不明なままになっている場合が多いと感じています。今回は、そのような方向けに解説します。

こんにちは!!建築士のやまけんです^ ^

今回の記事では次の内容を理解できます
○商業地域・近隣商業地域の用途制限
○商業系用途地域の容積率と建蔽率
○商業系用途地域の日影規制

それでは解説していきますよー




商業地域・近隣商業地域の概要

商業地域と近隣商業地域は、都市計画法において次のように規定されています。

○商業地域:「主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域
○近隣商業地域:「近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域


*出典:国土交通省

簡単にイメージにしてもうと、
市の中心部(駅前)のような建物が密集していて、商業・業務施設など多く立地しているところで、繁華街といわれるような地域が商業地域です。
一方で、近隣商業地域は、幹線道路の沿線沿いや比較的人口規模が小さい小規模な市街地において指定されている場合が多く、この近隣商業地域は、近隣住民のための日用品供給を主たる目的としているところが、商業地域と異なるところです。

これでなんとく両方の地域の理解ができたところで、用途制限を見てみましょう。

商業地域・近隣商業地域の用途制限

建築基準法において、これら地域の制限については「建築してはならない建築物」として規定されています。
そこに注目しながら確認ください。
分かりやすくするため、法律の用語は最小限にとどめています。

[近隣商業地域内に建築してはならない建築物]
・商業地域に建築してはならない建築物
・キャバレー、料理店その他これらに類するもの(風俗営業法に関係する施設)
・個室付浴場業に係る公衆浴場その他これに類するもの(建築基準法施行令第130条の9の5に規定されるもので、風俗営業法に関係する施設)

よって、風俗営業系や工場系施設(環境を悪化させるおそれがあるもの)は建築することができません。
しかしながら、それ以外については制限されていないため、大規模な商業施設の建築が可能となっています。

[商業地域内に建築してはならない建築物]
・準工業地域内に建築してはならない建築物(個室付浴場業に係る公衆浴場等を除く)
☑️危険性や環境を悪化させるおそれがやや多い工場
☑️危険性が大きいか又は著しく環境を悪化させるおそれがある工場
▼下記の工場は建築OK
・危険性や環境を悪化させるおそれが少ない工場 作業場の床面積の合計が150㎡を超えないもの
・自動車修理工場 作業場の床面積の合計が300㎡を超えないもの

商業地域は近隣商業地域と異なり風俗営業系の建築物を建築することができます(自治体の条例で別途制限されている場合あり)

ここでよくある疑問に答えます。

住宅は建築することができるの?

一戸建て住宅、長屋、共同住宅、サービス付き高齢者向け住宅などは建築することが可能です。
商業地域や近隣商業地域だからと言って、商業施設だけが建築できるわけではなくて、「住宅」も建築することが可能です。

後で説明しますが、商業地域の場合は、指定容積率が高く設定されている場合があるので、マンションなどの高度利用建築物が比較的建築しやすくなっています。

それでは、次に項に移ります。

商業地域・近隣商業地域の容積率

容積率の規定は、建築基準法第52条に規定されているんですが、容積率については市町村が定めているので、一概にこの容積率が指定されているとは言えません。
ですが、法律では、「この範囲で指定することができる」という規定されているため、その範囲を紹介します。

☑️近隣商業地域の容積率の指定範囲
○100〜500%
☑️商業地域の容積率の指定範囲
○200〜1300%

補足ですが、商業系用途地域の場合は、全面道路によって容積率が変わります。
例えば、全面の道路が6mの場合は6m*0.6=360%となり、指定容積率が400%だとしても、360%が適用されます。

関連記事
▶️土地を購入する際に重要なのは、”指定容積率よりも前面道路の幅員”です。

それでは、次の建蔽率の規定についてです。

商業地域・近隣商業地域の建蔽率

建蔽率の規定は、建築基準法第53条に規定されているんですが、容積率同様に建蔽率についても市町村が定めているため、一概にこの建蔽率が指定されているとは言えません。
ですが、容積率と同じで、「この範囲で指定することができる」という範囲が決まっています。

☑️近隣商業地域の建蔽率の指定範囲
○60% or 80%
☑️商業地域の建蔽率の指定範囲
○80%

補足ですが、建蔽率については、商業系用途地域の場合ですとリミッターを解除することができる規定があります。その条件は次の通りです。
▶️建蔽率の指定が80%かつ防火地域かつ耐火建築物

実際、建蔽率100%はありませんけどね・・・

それでは、次に日影規制についてです。

商業・近隣商業用途地域の日影規制

結論から言うと、近隣商業地域は日影制限をかけることができますが、商業地域については制限をかけることができません(建築基準法第56条の2、法別表第4)。

よって、商業地域の場合には、高度利用を図ることが可能です。
ただし、日影制限が設けられている地域に日影が落ちる場合には、制限の対象となるので注意が必要です。

わたしの感覚的な部分もありますが、近隣商業地域については日影制限をしている自治体は別れるところですので、日影制限を設けているところもあれば、ないところもあります。

それでは、最後に・・・

さいごに

商業系用途地域の強みは、商業・業務施設等の集積を図ることが可能となるとともに、マンションなどの高度利用建築物の立地を誘導していくことで、住商混在の地域となっている場合が多いと考えられます。
その分、利便性が高い日常生活をおくることが可能です。とはいえ、商業地域のため、日照・通風・騒音等において問題となっている場合もあります。

さいごに余計なことですが、商業地域でも地区計画などを活用して一定の用途を排除するなどして、住商を分断することも可能ですから、そういった視点を有しながらまちづくりを進めると理想ですよねー

ということで、今回は、商業地域・近隣商業地域の用途制限を主にして、容積率や建蔽率、日影規制について解説を行いました。

最後までご覧いただきありがとうございました。

タイトル写真
larahcvによるPixabayからの画像






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など