先に最も大事なことをお伝えします。
・がけには注意!
・道路よりも地盤が低いのはダメ!
皆さんこんにちは!建築士のやまけんです^ ^
衛生とは公衆(雨水・排水など)衛生に関係する部分の規定で、安全とは宅地としての構造的な安定性(がけ地への対策など)などの規定となります。
はじめに
建築基準法では、敷地に関しての衛生的な部分と安全性の部分についての根本的な法律での規定をこの第19条において定めており、この規定を基に具体的な基準が政令で定められています。
[建築基準法第19条(敷地の衛生及び安全)]
建築物の敷地は、これに接する道の境より高くなければならず、建築物の地盤面は、これに接する周囲の土地より高くなければならない。ただし、敷地内の排水に支障がない場合又は建築物の用途により防湿の必要がない場合においては、この限りでない。2 湿潤な土地、出水のおそれの多い土地又はごみその他これに類する物で埋め立てられた土地に建築物を建築する場合においては、盛土、地盤の改良その他衛生上又は安全上必要な措置を講じなければならない。
3 建築物の敷地には、雨水及び汚水を排出し、又は処理するための適当な下水管、下水溝又はためますその他これらに類する施設をしなければならない。
4 建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。
第1項の規定のポイント
第1項の規定においては、
①敷地は、建築物の敷地に接する道路よりも高くしなければならない。
☑️接道する道路、接道しない道に関係なく、敷地は高くしなけらばならないとする規定です。
道よりも敷地の方が低いと、道に溜まった雨水が敷地の方に流れてしまうため、これを防止するため、このような規定が設けられています。
なお、現在の建築設計においては、道路よりも低く敷地を設計する例は一般的にないですが、建築基準法制定当時は、敷地に雨水が溜まるような例があって改善しなければならない状況が少なからずあったのででしょうね・・・
②地盤面は、周囲の土地より高くないといけない。
☑️地盤面とは、一般的には建築物の躯体(基礎)が土と接する面の位置です。
でもって、この規定においては、土と接する面(基礎)の位置というのは、接しない部分とを比べて高くしてくださいねということ。
*建築基準法第19条第1項のイメージ
ただし、第1項の規定についても例外があり、以下の場合に該当する敷地については対象外となります。
敷地内の排水に支障がない場合又は建築物の用途により防湿の必要がない場合
①排水の支障がない場合と②建築物の用途により防湿の必要がない場合が該当します。
つまり、排水の支障がないケースだと、あまりみないですが、排水用マスを敷地内に設けて、そこからポンプ圧送で道路に排水する方法です。
また、②の建築物の用途により防湿の必要がないケースとしては、例えば、自転車置場などで雨水が入りこんでも問題がないケースが該当することになりますね。
第2項のポイント
2 湿潤な土地、出水のおそれの多い土地又はごみその他これに類する物で埋め立てられた土地に建築物を建築する場合においては、盛土、地盤の改良その他衛生上又は安全上必要な措置を講じなければならない。
第2項の例としては、軟弱地盤においては地盤改良等をしなければならないとするものです。
ですので、盛土による圧密沈下や置換なども第2項の規定に該当するようです。
第3項のポイント
3 建築物の敷地には、雨水及び汚水を排出し、又は処理するための適当な下水管、下水溝又はためますその他これらに類する施設をしなければならない。
第3項は雨水と汚水の処理に関しての規定ですね。
現在の建築設計において、この規定によらないで設計することはありえないですけどね。
第4項のポイント
4 建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。
宅地の安全性を確保するために擁壁等を設けないさいとするものです。
がけ下に建築することは宅地の安全性を確保しなければなりませんが、がけ上の建築でも盛土の場合ですと円弧滑りの危険性などがあるため、同様に安全性の確保が必要です。そのため、第4項の規定が設けられています。
当サイトでは、「擁壁」の記事を書いていますので、参考にご覧ください。
▶️建築基準法でいう擁壁の規定は?(サイト内リンク)
土砂災害特別警戒区域内での建築についてはこちらの記事をご覧ください。
▶️土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)での建築は可能?(待ち受け壁の解説)(サイト内リンク)
おわりに
今回は、建築基準法第19条の規定について簡単に解説(紹介に近いですね・・・)を行いました!!
基本的なことを抽象的に記載していますが、とても重要な規定ですので、覚えておいて損はない規定です。
なお、法律に基づく具体的な基準については政令に規定されています。
ということでこれにて解説を終了します。
最後までご覧いただきありがとうございました。