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「都市計画」は「まちづくり」を行う上での手法であって、”目的”ではないことを理解しよう。

よくある話・・・どの地方都市でも起きている問題
「都市計画がしっかりしていないから、まちの賑わいが生み出されないんだ」という声を聞くことがあります。
学生のときは、そう言った声を聴き、そういうものなのかと、仕方ないのかなと感じていたこともありました。ですが、実際は異なります。

はっきり言いますが、そういう人に限って、他力本願なんですよ。
今回の記事のゴールは、まちに賑わいを創りたいなら、自分で行動しよう! です。

こんにちは!建築士のYAMAKEN(やまけん)です^ ^

ちょっと雑談ぽい部分がありますが少しだけお付き合いください。




はじめに

自身が住む地域のまちづくりに参加したり、都市計画のコンサルティング的なことを仕事にしていると、「都市計画」は手法であって目的ではないと感じることが多々あります。

わかっている方は当然のことですが、都市計画自体が目的とされてしまうことがあります。

例えば、「景観地区」を指定することで、街並みが向上するのだろうか。
街並みをよくするのは、個人・法人が各々建築物の形態等に関するルールを守ることが重要なポイントであり、街並みの向上を図るためルールを取り決めする観点から、「景観地区」を手法として都市計画決定しているに過ぎない。

というか、都市計画が「目的」になってしまうと「まちづくり」で”何をしたいのか”分からなくなってしまう可能性がありますし、「道路が完成したからこれで街が発展する」なんてことを平気で思ってしまいます。

まぁ、都市計画道路の開通によって、交通が円滑になることにより時間損失が減るから、経済活動が有利になるという考えもありますが、百歩譲って、道路が出来たから街に賑わいが戻ったなんて誰も思わないでしょー、というか絶対に戻りません。笑

「都市計画」と「まちづくり」って何?

では、はじめに「まちづくり」について考えてみましょう。

これはわたしが日頃から思考している要素が含まれているので、絶対ではないことに注意ください。笑

簡単に「まちづくり」という用語を使っていませんか?

道路や公園整備などを「まちづくり」って考えていませんか?

違いますよ・・・?

ハードとソフトをあわせて「まちづくり」と考えるのが一般的です。
特に都市計画が大きく関係するハード整備は目的を達成するための手段に過ぎません。

つまり、まちづくりに関しては、意味としはかなり広義であることに注意した方がいいですね。

例えば、街中の夜間パトロールだって「まちづくり」の一環だし、中心市街地の空き店舗を解消してチャレンジショップを実施する取り組みなども一言でいえば「まちづくり」ですよね。
また、高齢者や子どもの見守りだって「まちづくり」の一つですよね。

一方で、「都市計画」は都市計画法に基づく都市計画をいいます。
道路や公園、下水道、高速鉄道などを整備するために「都市計画決定」を行い同法に基づく事業を実施したり、地域ごとの建築物の規制や誘導、街区単位のきめ細やかな建築物等の制限などを行う用途地域や地区計画の指定などを行うことを「都市計画」といいます。

つまり、都市計画は、まちづくりに包含されています。

そして、都市計画はあくまでも、まちづくりを実現するための手法の一つにすぎません。

ですから、「まちづくり」がうまくいっていない理由を「都市計画」だけに責任をなすりつけるのは大きな間違いですし、大概の方は「まちづくり」という用語を使って、何をしたら街の賑わいが創られるのか分からない”フワフワ”した部分を隠し、「都市計画」に全ての原因があるようにしてしまいます。

とはいえ、「都市計画」は都市を成長させる非常に大切なツールであることは間違いありません。
経学的に間違えた都市計画を行なってしまうと、成長を阻害させるばかりか、不経済をもたらす要因なりますので、常に最適化された将来像を見据えて、柔軟に都市計画というツールを使っていく必要があると考えています。

☑️都市計画についてもっと知りたい方はこちらをご覧ください。
▶️都市計画法とは?(建築士による簡単な解説:宅地建物取引士試験向け)

と、ここまで話は一旦終わりなのですが、ここからは余談の延長です。
お時間がある方は是非お読みください。

「まちづくり」という用語

目的が明確なら、「まちづくり」という用語は簡単に使用可能です。

例えば、旅館の再生によって、歩行者交通量が増えて、周辺の店舗の売り上げが増加したとしたら、それは、「まちづくり」の一環だとしても、経営者の視点としては、単に稼ぎたいからが目的かもしれません。
ですので、”なんでもかんでも”「まちづくり」に括るのは違和感でしかありません。

ですが、地域のまちづくりを担っている方が、この旅館再生を「まちづくり」の取り組みだって紹介したら、まちづくりをしている企業になるんですよ。
だから、何度も言いますが、「まちづくり」とは、誰もが自由に使える便利な用語に過ぎません

「まちづくり」で何をしたいのか

ここ最近の話だと思います、平成4年に「市町村都市計画マスタープラン」が法制度化された頃から、地域のまちづくりは地域自らやるといった主体性の高い「まちづくり団体」が多く設立されてきたと思われます。

現に、内閣府によると、NPO(特定非営利)法人数は、1998年には23法人でしたが、2018年には約5万法人まで増加しています。*NPO法人=まちづくり団体ではありませんが、一定の指標となるので掲載しています。

相当な上昇数ですよね。
それだけ、「まちづくり」を行うとする団体が増えているということです。

重要なポイントはここからです。
「まちづくり」で何をしたいのか? しっかりと考えていますか?ということです。

「まちづくり」で何を達成(どのような地域の課題を解決)したいのか、「まちづくり」を行う目的は何か。

これがまちづくりを行う際のポイントであり、極論としては、何も都市計画を用いなくても、目的を達成することは可能です。

都市計画という手法は、目的を達成するためにツールとして使用することが最適である場合に活用する際に最大限の効果を発揮します。

都市計画を用いる代表例(参考)

都市計画を行う理由は、規制を強化したり、地域で決めた街並み等のルールに法的拘束力を持たせたいときに活用されることがあります。
特に規制強化するなら、別に規制強化に法的拘束力を持たせずとも、自力でルールをつくり実行すればいいだけです。

なにも、都市計画に頼る必要はないのです。

代表例としては、市街地再開発事業です。
市街地再開発事業を悪くいうつもりはないのですが、よく考えてみてください。
全てではありませんが、市街地再開発事業を行わなくても、民間プロジェクトして実行することは十分可能ですよね。高度利用を図りたいなら、高度利用型地区計画も可能ですしね。
現に、小規模な区域であれば民間プロジェクトは数多く実行されています。

余談です。
市街地再開発事業は、都市計画の一つであり、公費が入るため事業成功が絶対条件ですよね。
しかしながら、経営破綻する事例が発生しています。
市街地再開事業を行うことが目的になってしまって、再開発事業で何を達成したかったのかが明確にビジョン化されていなかったためと私個人は考えています。

とはいえ、民間だって、採算性から撤退するのは当然あることなので、撤退=失敗 それは都市計画に問題があるかのような指摘は間違いだと思います。

問題・課題はあるけど、それをクリアしていくのが、仕事だと思います。
それに、批判は誰にもできますが、一緒になって解決していこう行動する方は非常に少ないと思います。

公費を入れてつくったなら、地域でどのように活用するのか真剣に検討してみればいいだけですよね。
他力本願で、誰かに失敗をなすりつけるから、うまくいかなだけと思うのはわたしだけだろうか・・・

脱線しましたが、だから、都市計画は手法であって目的ではないということです。

都市計画を行うことが目的となり、都市計画で何の都市の課題を解決したいのかが分からなくなってしまった途端に、まちづくり計画は破綻の道を歩みます。

それでも、「都市計画」は都市の骨格をつくる重要な計画であることには違いありません。

まとめ

最後に言いたいのは、まちに賑わいをつくりたいなら、自分で行動しようということです。

これからの時代は、生産年齢人口の急速な落ち込みに対して、生産性で経済をカバーしようとするはずです。
そうすると、おのずと、資金を有する人とそうではない人の差が大きく生じると考えています。

ここからが重要です。
これからは、資金を有する人から出資を受けて、まちづくりを行なっていくことが主流になっていくと考えています。

なぜなら、資金を有しない声が大多数を占めることで、セーフティーネット事業が行政の主要な役割になる可能性を秘めているからです。つまり、行政は、都市の経済発展にそこまで資金を活用できなくなっていくのではないかと思います。
ですので、都市の経済発展には、個人の資金力がモノをいう時代になるのではないかと考えています。

すでに「まちづくりファンド」が動いていますが、ファンド型ではなく、クラウドファンディグがより便利なった、個人間(CtoC)での資金が動くようになるはずです。

その場合に、そういった方々からの資金をつかって、個人が行動し、地域の課題を解決するため、都市計画というツールを活用しながら、まちづくりを行なっていく姿が想像できます。

ですので、これからは、個人が行動する時代がくるとワクワクしています。
その際には、「都市計画」はもっと柔軟に決定・変更が行えるよう市町村の裁量権が増えるといいですね。

 

今回の話は以上です。
最後までご覧いただきありがとうございました。

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ABOUT US
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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など