中心市街地(地方)の土地を所有しているということは「社会的責任」を負っている。

中心市街地に土地を所有している方は、地域発展の一躍を担っている。
とりわけ、三大都市圏や指定都市を除く地方都市では、社会的責任が高まっている傾向にあると思われます。

その理由は、何故か。
今回の記事はこの事について書いていきたいと思います。

こんにちは!!建築士のYAMAKEN(やまけん)です。




はじめに

三大都市圏や指定都市などの人口規模が100万人を超える地域であれば、「密度の経済」により適正に市場原理が機能するので、中心市街地に空き地や空き店舗といった類のものは、そもそも発生しずらいし、仮に発生したとしても、すぐに解消されるんですが、それ以外の地方都市ではそうはいかないのが現実です。

地方において必ず言われるのが、「空き地、青空駐車場、空きビル、空き店舗・・・」という都市づくりにおける課題の単語です。

これらが原因となり、経済・防犯・防災・景観といった面で中心市街地の魅力を低下させてしまいます。
結果、都市ブランド力を下げる要因なので、どこの自治体でも課題解決に向けて力を入れています。

読者の中には、「本当にそうなの?」と思うかもしれません。

その答えは地方に旅行に行けば分かります。

感覚的には、5〜15万人都市クラスであれば、顕著に”空き店舗・”空き地”が市街地にランダムに発生していることが分かるはずです。「ホントひどいシャッター街の都市って目も当てられないのが実情ですよ・・・(泣)」

でも、中心市街地は普段利用しないし、別にいらないのでは?という意見がありますよね。

中心市街地が必要となる理由

中心市街地は、都市の玄関となり、顔となりますよね。
現代の都市では、多くがその役割を担うのが「駅」となるわけですが、仮に駅前が駐車場しかなくて、郊外にランダムに点在する店舗しかなかったらどう思いますか?

中には、自家用車しか移動手段として利用しないから、そういう街がいいと考える人もいるでしょうが、大概の人は、「それって、都市なの?」、「住みやすいの?」って思うでしょうし、効率性が損なわれて、一日の中で無駄な移動時間(国内全域自動運転になれば別ですが・・・)が多くを占めるようになります。

非効率だし、住みにくくて仕方ない。

しかも、経済活動がやりにくく仕方ないですよね。
店舗や飲食をやったことがある人なら分かると思いますが、周辺にどれだけ昼間・夜間人口がいるかが重要となりますよね。

基本的に都市とは、経済活動を効率的に行うために利用する空間なので、この前提が全く無いというのはあり得ないと思います。

だから、効率的な経済活動を展開可能な中心市街地が必要となるわけです。
でも、何故、地方の中心市街地では、魅力を感じることができないのか。

何故、中心市街地に魅力を感じないのか

中心市街地における経済的なメリットを感じることができれば、そもそも空き店舗や空き地は発生しないですよね。

しかしながら、難しい現状があります。

理由は、簡単です。
正確には、様々な要因がありますが、大きくはこの4つしかないと考えています。

ポイント・移動手段に便利な自家用車を所有している(普段から公共交通は利用しない)
・日常品等の買い物に便利な店舗が郊外に立地している(街中の店舗は昭和中期のまま)
・中心市街地に魅力的な店舗がない(必要なモノは郊外店舗かインターネットで購入)
・中心市街地に人が住んでいない

そうなってしまうと、中心市街地の利便性は、鉄道駅があること(つまり、首都圏や指定都市まで向かう交通手段としての拠点)とスナックや居酒屋などしかメリットが無いことになってしまうのです。笑
あとは、銀行や役所が点在するくらいなので、中心市街地である街中に行く用事は殆どありません。

さらに、地方都市の構造も関係しており、地方都市は、高度経済成長やバブリー経済における工業団地造成で、郊外型の工業団地を数多く整備しており、その団地が雇用の受け皿となっていけるケースがあるため、そもそも中心市街地で働いている人が少ないのも要因の一つとなります。

なお、マンションは、高い容積率の確保が必要なことから、中心市街地に立地するメリットが高いです。

最近では、地方都市の駅前のマンション建設が進んでいますよね。
マンションと駐車場くらいしか、駅前で稼ぐ手法がないので・・・仕方ないです。

関連記事
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日頃から鉄道を利用せず、全ての日常生活活動を自家用車で利用しているのであれば、中心市街地に行く必要はないですよね。

これが地方都市の現実です。

このような状況でも、中心市街地に賑わいを創出するには、これまでの常識通りの考えでは成功するわけはなく、市場原理に抗う必要があるわけです。

それでも、中心市街地には賑わいが欲しいですよね

駅前に行くと、人が歩いていなくて寂しい・・

地方都市出身者であれば一度は、次のように思ったことがあるのではないでしょう。

”店舗や飲食店が多く立地していて、ビジネスマンや主婦、学生などが多く歩いていて、賑やかだったらいいのにな” と、、、

やはり、都市はシンボル的な中心が必要だし、都市として成り立つためには中心市街地は必要なわけです。

確かに、現代の社会情勢や資本主義経済を鑑みれば、地方の駅前が衰退するのは仕方がないのが現状です。

とはいえ、行政機関や商業機能等が一定程度集積している経済活動の中心である駅前において、経済的な合理性のみに委ねるというのも違和感を感じませんか。

だって、「人が楽しそうに歩いている街の方が良くないですか?」

それには、中心市街地の土地所有者が経済発展の役割を担っていることを理解しないといけません。

次の項では、中心市街地における土地所有者の社会的責任について考えます。

中心市街地における土地所有者の社会的責任

日本では、経済発展の道具として「不動産」を取り入れたことで、急速に経済発展していったのは分かりますよね。

特に、土地の売買を経済に組み入れたことで金を生み出したわけです。
だからと言って今更、土地を国家の所有物にするなどの、市場原理から乖離する政策転換は不可能ですよね。

ですので、あくまでも土地は民間所有であることを前提として、中心市街地の魅力をつくっていく必要があります。

行政側としては、中心市街地の活性化によって、経済発展による税収増加が見込めるので、中心市街地の空き地等の課題というのは、なんとしても解決する方向に進めていきたいという考えもあります。

つまり、中心市街地に土地を有しているということは、土地を有効に活用する機会に恵まれているということです。

お金を稼ぎ、財を成した人以外は、個人で中心市街地の土地を購入するというのは、資金調達の面で非常に難しいいですが、逆に、先祖代々から土地を所有しているというのは、圧倒的に恵まれています。

今現在、自分が所有する土地が中心市街地にあって、中心市街地が寂れているなと思ったら、「なんとかしなきゃ!」って考えなきゃいけないということです。

だって、所有している貴方以外に、賑わいを創出する最初の機会を有してる人はいないんですから。

都市計画や都市再生といった観点では、”いかに、土地所有者に土地を有効に活用してもらおう”と、インセンティブ(建築補助や容積率緩和など)を行うことに注視されがちですが、そもそもの土地所有者・建物所有者としての責任が明記されていないことに問題があります。

だって、土地は国の基盤ですよ。

国の基盤である土地を所有し、なおかつ、都市の中心的役割を担う場所で、放置している場合ではないです。

とはいえ、空き地や空き家にせざるを得ない理由があるわけです。

ポイント
・以前住宅に住んでいたが、全員が上京してしまい、もう二度と帰ってくることはない。
・以前は1階部分で店舗を営んでいたが、後継者がいないため、廃業した後は放置している。
・相続を適正に行なっていないため、相続登記が行われておらず、土地の売却には多くの手間がかかる。
・リスクが大きい事業はできないため、青空駐車場にしている。

全部、自分の責任です・・・

と言いたくありませんか。
だったら、空き地等になるその前に、活用してくれる人に売り渡してよって言いたくなります。

とはいえ、批判していも何も解決しないので、次の項をご覧ください。

エリアマネジメントという手法

賑わい創出するためには、戦略的に中心市街地に投資を行っていく必要があり、それには、土地や建物を一括で管理・運営する団体が必要であると考えています。

これまでは、個人と個人をつなぐを不動産仲介業者だけでした。
しかしながら、それでは、小規模な土地や大規模な土地に関わらず個人間でのやり取りに終始するため、中心市街地全体として、どのような戦略のもと「まちづくり」を進めていくのか一貫性もなく、自由に行われていたわけです。

それに対して、エリアマネジメントでは、街区などのエリア単位で一貫した管理体制のもとで売却・購入・運営等をコーディネートしていくため、戦略を立てることが可能になるわけです。

都市計画提案を行うことができる0.5ha以上でエリアマネジメントを実施していくとやりやすいのかなと思います。また、こういったことを行う団体等に対して、特別目的税として、都市計画税・固定資産税の他に運用のための税を徴収することができるようになれば、安定的な運用につながると思います。

このくらいのことが行える人材と組織があれば、中心市街地に資金が流れて、少なくとも活性化していくことが考えられます。要は管財人に戦略性的な機能を持たせるということです。
土地所有者が自分で解決できないのであれば、委託して運用してもらうという構図ですね。

あくまでも理想論ですので、私自身実践したことがないので、現実的な効果な面というのは分かりにくいですが、マネジメントという手法に近いものとして、北九州で行われている家守が有名ですかね・・・
家守会社では、空き店舗をリノベーションして新たなコンテンツとして賑わいをつくり出すことを行っています。

おわりに

これから急速な人口減少や超高齢社会が到来し、地方都市は軒並み大幅な人口減になります。
その中においても、中心市街地で、仕事と生活を基本に賑わいをつくりだし、現状の経済規模のままで生産性を維持することができれば、都市としての成功につながります。

それは、100〜200年先でも都市が残るということです。

世界の歴史から見ても、消滅した都市っていくらでもありますよね。
絶対に都市が消滅しないなんて分からないんですよ。

だから、今できることを精一杯取り組んで、今いる世代、地域の責任として都市の衰退させてはいけないと思います。

 

それでは、今回は以上となります。最後までご覧いただきありがとうございました。