省エネ法の説明義務が開始されます。内容を確認しておきましょう!(建築士から建築主への説明)

今回の記事
建築物省エネ法の改正により2021年(令和3年)4月から説明義務制度がスタートします。

今回は上記の解説です。

こんにちは。建築士のやまけんです。

元行政職なので法律に関する情報収集は長けております。笑

というか、国から情報が公開されているので、そちらを分かりやすく解説します。特に今回の記事は、今まで戸建て住宅をメインに設計されていた方にとっては、必須の知識となりますので、制度がスタートする2021年4月までには理解しておきましょう。

ちなみに令和2年度に詳細は説明会が開催されるようです。詳しくはまだ公開されていませんが、令和2年度中には必ず行われるものと思われます。

*閣議決定されたときの記事はこちら




説明義務の対象となる建築物

対象建築物:床面積300㎡未満の建築物(10㎡以下を除く)

建築物省エネ法の改正により届出と適合制度は次のように変わります。

規模等(床面積) 建築物 住宅
大規模(2,000㎡以上) 適合義務(建築確認申請手続きに連動) 届出義務(基準に適合せず、必要と認める場合は所管行政庁による指示・命令等)
中規模(300㎡以上2,000㎡未満)
小規模(300㎡未満) 努力義務(建築主から建築主への説明義務制度)
住宅トップランナー制度
(住宅を大量に供給する大手住宅事業者)
トップランナー基準適合
対象住宅:建売戸建(年間150戸以上)、注文戸建(年間300戸以上)、賃貸アパート(年間1,000戸以上)

住宅・住宅以外の用途に関わらず建築物であれば努力義務となり、尚且つ、建築主に対して省エネ基準への適合の可否を説明することが必要となります。

☑️根拠法令

建築物省エネ法第27条(小規模建築物のエネルギー消費性能に係る評価及び説明)
建築士は、小規模建築物(特定建築物及び第19条第1項第一号に規定する建築物以外の建築物(第18条各号のいずれかに該当するものを除く。)をいう。以下この条において同じ。)の建築(特定建築行為又は第19条第1項第二号に掲げる行為に該当するもの及びエネルギー消費性能に及ぼす影響が少ないものとして政令で定める規模以下のものを除く。次項において同じ。)に係る設計を行うときは、国土交通省令で定めるところにより当該小規模建築物の建築物エネルギー消費性能基準への適合性について評価を行うとともに、当該設計の委託をした建築主に対し、当該評価の結果(当該小規模建築物が建築物エネルギー消費性能基準に適合していない場合にあっては、当該小規模建築物のエネルギー消費性能の確保のためとるべき措置を含む。)について、国土交通省令で定める事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。

2 前項の規定は、小規模建築物の建築に係る設計の委託をした建築主から同項の規定による評価及び説明を要しない旨の意思の表明があった場合については、適用しない。

建築主に対してどういった説明をするのか

省令がまだ不明なので、明確なものが公開されていませんが、説明会資料では次のような説明書のイメージが示されてました。基本的には、建築士から建築主に対して書面にて説明を行うことが義務付けられる。

また、今回の改正に合わせて、建築士法が改正され、保存図書として追加が予定されています。


*出典:「改正建築物省エネ法の各措置の内容のポイント(国土交通省)」

『建築物のエネルギー消費性能の評価結果の概要』を記載することとなり、省エネ基準への適合している場合には、適合の部分にチェック、それではない場合は、建築物消費性能の確保のため取るべき措置を記載します。

様式は省令で定められますが、具体的な運用(添付書類等)を含め、令和2年度に示されると思われます。
詳細な情報が示され次第、このブログでも解説したいと考えております。

私個人的には”書面”というのが気になりますけどね。電子書面ではダメなのだうか。書類が煩雑となるので、なるべくなら紙提出は避けたいところです。

それでは、次に省エネ基準の解説です。

省エネ基準

はじめに覚えるべきは、努力義務(建築主は、省エネ基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない)が課せられている点です。

そのため、基本的には、床面積300㎡以上の建築物同様に省エネ基準に適合させることが求められます(あくまでも努力義務)。

とはいえ、余程の事がない限り、『省エネ基準に適合させない設計をしてます!』という設計者はいませんから、基本的には、省エネ基準に適合させるよう設計することとなります。
ただし、どうしようも無い場合もありますよね。

建築士から建築主への説明
①省エネ基準への適否
②省エネ基準に適合しない場合は省エネ性能確保ための措置

今回の改正による届出義務制度の合理化及び説明義務制度等の創設に伴い、新たな省エネ計算法が追加されることになります。

新たな計算方法
①フロア入力法(共同住宅等:外皮・一次エネ)
②モデル住宅法(戸建て住宅:外皮・一次エネ)
③小規模版モデル建物法(非住宅:一次エネ)

省エネの届出を行ったことがある方ならご存知かもしれませんが、外皮と一次エネの評価を行うモデル建物法という簡易な計算方法が既にありますが、イメージ的には、モデル建物法を簡略化したものと考えてもらうのが良いかなと思います。

ちなみに、小規模版モデル建物法だけが外皮を評価しないと思われます。

この評価方法では、断熱性を確認することができないことが想定されるので、建築主への説明を考えると、私個人的には、モデル建物法を使用した方がいいんじゃないかなーと思ったところです。

そのため、一度はモデル建物法に触れておくのが良いかなと思います。

なお、計算方法については、施行版が来年4月以降に示されるような記述が説明会資料に示されているので、令和2年度実施予定の講習会への参加に合わせてか、講習会後でも良いですが、施行版が発表されたら一度は試してみるのが良いと思います。

*現在(改正前)の省エネ基準プログラムは、国立研究開発法人建築研究所が公表しています。

いつ施行?

2021年(令和3年)4月を予定しています。

なお、この日より以後に設計委託したものが対象となりますが、建築確認のように着工ではないことに留意する必要があります。

なお、この日より以前に設計委託したものは説明義務制度の対象外となります。

補足

・説明義務制度の具合的な方法は、令和2年度実施予定の講習会にて詳細が示される予定です。
・建築士以外の設計によるものがある場合、説明義務制度の対象外なります。

本記事のまとめ

今回は、床面積が300㎡未満の建築物について、2021年4月から説明義務制度の対象となる件を解説しました。

基本的には省エネ基準に適合するように設計して、それでも適合しない部分(建具等)が生じた場合には、その旨を説明するようにしましょう。

なお、非住宅建築物であれば、既にモデル建物法という簡易計算プログラムがあるので、一度は試すようにしておきましょう。

それでは今回の以上となります。

参考になれば幸いです。

Photo by Tim Foster on Unsplash






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など