都市の再生という面で役割を担う都市再生特別措置法が公布されてから約17年が経過し、今年の春を迎えれば18年目に突入する。
今や、都市の再生は現代都市が抱える人口減少や少子高齢化をはじめとする都市の課題を解決するための命題になっていると感じます。
ところが、都市の再生は、大都市とそれ以外の都市において全く異なる様相となっています。
最近で言えば、福岡で進行中のプロジェクトである『天神ビッグバン※1』が良い例ですね。
このプロジェクトの一つして、先日10日に国土交通大臣から認定を受けた「旧大名小学校跡地活用事業」ですが、地上25階建て、延べ面積が約9万㎡、容積率は約800%で、高質なオフィスやホテル等の都市機能を誘導しつつ、公共空間を整備・確保することで、単一整備に終始するわけではなく、機能の一部は都市全体の利益に供されよう計画されています。
※出典:国土交通省press release(令和 2 年 1 月 10 日 都市局 まちづくり推進課)
この事業ですが、都市再生特別措置法に基づく民間都市再生事業計画といって、国から認定を受けると金融支援や租税特別措置法及び地方税法に基づく税制上の特例措置等を受けることができます。
こうしたプロジェクトは指定都市(大都市)を中心に進められています。
直近ですと、仙台市もこうした中心市街地への集中投資を行うと発表したところですね。
(プロジェクト名:せんだい都心再構築プロジェクト)
大都市では、潤沢な資金力を活用して、都市機能の維持・増進を積極的に進めていこうとする動きが活発です。一方で、大都市以外の地方都市については、県庁所在地の都市を除いて、中心市街地への投資は、経産省所管の中心市街地活性化基本計画に基づく再開発プロジェクトが活発に行われて以後は大きな動きはないように見受けられます。
当然、地方のGDPが目に見えて増えてていないですし、行政としても投資に見合うだけの効果が得られにくくなったというのもあると思います。(地方都市では、青森の失敗例だけが注目されてしまい、世間的に地方には市街地への投資というのは馴染まないと考えられているのかも・・・)
というのも地方では高齢化と人口減少が進み、特に高齢福祉への対応に要する費用が増大し、行政として都市の再生プロジェクトに費用を捻出することが難しい現状があるからだと考えられます。
そのような中、トヨタが発表した実証都市というのは、都市政策の今後のあり方を広く世間に知らしめる効果が抜群だったのではないでしょうか。
というのも、近年では、スマートシティやスーパーシティといったIotやAIをはじめとする最新技術を駆使して、都市の最適化を図っていく都市づくりの実現に向けた議論や実験がはじまっています。
ちなみに、国土交通省ではスマートシティの定義について、『都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区』としています。都市が抱えている課題を解決するために新技術を都市に取り込んでいこうとする考え方ですね。
こうしたスマートシティが進められていくということは、行政単体による旧態のまちづくりが限界を達していることを意味しており、民間企業がビジネスをやりながら社会に貢献していく都市づくりの流れにシフトチェンジしつつあると私は考えています。
とはいえ、こうした流れはすぐに実現できる技術だけではないため、今後も実証・検証しながら進められていくものと考えられます。おそらく地方都市でいち早く名乗りをあげて、こうしたスマートシティに取り組んでいかないと、将来的な市民満足度は低下し、結果的に時代の波に乗れていない都市が残ってしまう可能性があります。(現在、全国の都市で様々な手法について実証が行われているので、今後、国がモデル例を示して、地方にやってみなさいとする可能性が高いですけどね・・・)
いずれにせよ、こうした新たな都市づくりの考え方は、今後急速に議論が深まっていくと思われます。
都市は建築の集合体ですから、『建築』という視点においてもスマートシティという時代の流れに乗る事は、建築業界で生きていく上で重要なポイントなるのは間違いないです。
現時点では、どういった”モノ”が実装されていくかは不明ですけね。笑
今後、全国の取り組みで成果が出始めたら、このブログでも紹介していきたいと考えています。
最後に、私の個人的な見解ですが、スマートシティの実現に向けては、Iot,Ai,Cloud,Blockchainの技術の進展が必要不可欠となります。
そのうち、ブロックチェーンだけは、中央集権的な技術構造ではないことに注目するべきところです。今すぐではないとしても、ブロックチェーンによって、都市を管理するガバメントは不要となるんじゃないかなと思っています。100年先くらいかな・・・??
気になった方はこちらの書籍を読んでみてください。
ということで、今回の記事は以上となります。
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Photo by Olav Ahrens Røtne on Unsplash