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スパンドレルとは?[対象となる建築物と設計時の留意点]

防火区画のうちスパンドレルについての基本的な解説となります。

この記事を読むことで、スパンドレルの設計及び審査ができようになっているはずです。理解するのに少しだけ時間がかかりますが、業務や勉強の参考になると思います。

こんにちは!建築士のやまけんです。(過去の経歴等はプロフィール欄を見てください)

それでは説明していきます。




はじめに・・・法律の確認

基本をおさえておくことは大切です。まずは法律から確認するようにしましょう。

[建築基準法第36条(この章の規定を実施し、又は補足するため必要な技術的基準)]
居室の採光面積、天井及び床の高さ、床の防湿方法、階段の構造、便所、防火壁、防火床、防火区画、消火設備、避雷設備及び給水、排水その他の配管設備の設置及び構造並びに浄化槽、煙突及び昇降機の構造に関して、この章の規定を実施し、又は補足するために安全上、防火上及び衛生上必要な技術的基準は、政令で定める

いきなり政令第112条を確認してもいいですが、私個人としての考え方は、建築基準法初心者の方は、根拠となる法を確認するようにしましょう。そうすると、他の規定においても、同様の癖がつくことで、法律と政令が混同することもなく、フロー形式で覚えることが可能です。これが出来ないと、後々、法チェックなどで苦労することになります。

それでは、次に政令の基準(対象となる建築物)の確認です。

スパンドレルの設置が必要となる建築物

面積区画、高層区画、竪穴区画と接する外壁については、防火区画相互間の延焼を防ぐ目的から、スパンドレルという準耐火構造等の壁等を設置しなければならないとされています。

施行令としては、建築基準法施行令第112条第15項・16項に規定されており、次のように記載されています。ということで、対象とな建築物は、面積区画、高層区画、竪穴区画を行う必要がある建築物が対象となります。基本的には、

[施行令第112条第15項]
第1項若しくは第3項から第5項までの規定による1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁(第3項に規定する防火上主要な間仕切壁を除く。)若しくは特定防火設備第6項の規定による耐火構造の床若しくは壁若しくは法第2条第九号の二ロに規定する防火設備又は第10項の規定による準耐火構造の床若しくは壁若しくは同号ロに規定する防火設備に接する外壁については、当該外壁のうちこれらに接する部分を含み幅90㎝以上の部分を準耐火構造としなければならない。ただし、外壁面から50㎝以上突出した準耐火構造のひさし、床、袖壁その他これらに類するもので防火上有効に遮られている場合においては、この限りでない
※第1・3〜5項:面積区画
※第6項:高層区画
※第10項:面積区画
注)異種用途区画についてはスパンドレルの設置は不要

[施行令第112条第16項]
前項の規定によつて準耐火構造としなければならない部分に開口部がある場合においては、その開口部に法第2条第九号の二ロに規定する防火設備を設けなければならない。

スパンドレルの構造等

スパンドレルですが、防火区画に接する部分を含み90㎝以上の準耐火構造等としなければならないとされております。ただし、外壁面から突き出した準耐火構造のひさし、床、袖壁等に代替することも可能です。

また、スパンドレル部分を開口部とする場合には、防火設備とする必要があります。


※一般的なスパンドレルのイメージ(出典:やまけん)

 

補足:カーテンウォールがスパンドレルを兼ねる場合

カーテンウォールの防火上の取り扱いについては、平成20年5月9日国住指第619号『カーテンウォールの構造方法について(技術的助言)』において、取り扱いが定められているので、スパンドレル部分もカーテンウォールとする場合には、この技術的助言に基づく設計・施工が必要となります。

なお、あくまでも技術的助言であり、個々の最終的な判断は特定行政庁となるので、設計段階から行政側と十分な調整が必要となります。

私の場合、以前、審査側としてこの助言に基づく指導を行なっていましたが、設計者の中にはこの技術的助言を認識していないケースもあり(施工が難しいケースもある)、設計や施工には建築主事との協議が必要となることに留意が必要です。

ポイントしては、次の部分です。

平成20年5月9日国住指第619号『カーテンウォールの構造方法について(技術的助言)』・・・抜粋
建築物におけるカーテンウォールについては、外壁及び開口部の規定が適用される。従って、カーテンウォールのうち、スパンドレル(外壁のうち上下に重なっている2つの窓その他の開口部の間の部分)、柱形(外壁のうち柱状の部分)その他これらに類する部分については外壁に対する技術的基準を適用し、それ以外の部分については開口部に対する技術的基準を適用して差し支えない。

つまり、スパンドレル・柱形等については、外壁としての基準が適用されるということです。詳しくは技術的助言に記載されているので、ネットで検索(『スパンドレル カーテンウォール』)するか、こちらの書籍を購入ください。

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注)日本建築行政会議より上記書籍のアフターフォローがホームページでアップされているのでチェックしてください。

また、こちらの書籍では、防火区画のより基本的な部分から詳細な考え方まで掲載されているので参考にしてみてください。

本記事のまとめ

今回は、スパンドレルについて解説しました。

改めて、お伝えすると、スパンドレルが必要となるのは、面積区画、高層区画、竪穴区画を設けた建築物となります。よって、異種用途区画についてはスパンドレルの設置は不要となります。

それでは今回の記事は以上となります。ご覧頂いた方の参考になれば幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など