公拡法による届出と申出とは?[宅建業者向け公拡法に関する手続きの解説]

公拡法(公有地の拡大の推進に関する法律または公有地拡大推進法)に基づき届出義務と買い取り申出とは何? どういった場合にどのような手続きが必要になるのかを説明します。

こんにちは!やまけん(@yama_architect)です。
普段は、建築や都市計画に関する業務経験を活かして建築士や宅建士の業務に役立つ情報を日々発信しています。

公拡法はあまり馴染みがなくて不動産取引でもついつい見落としがちですよね。

”手続きするのを忘れてしまった!”とならないためにも、時間があるとき公拡法の概要は頭の片隅に入れておく必要があるかなと思いますので、この記事が業務の参考となれば幸いです。




公拡法とは

簡単に言うと、自治体による土地の先買いを優先的に行わせるための制度です。

つまり、公共の目的(公共事業等)により必要な土地を少しでも取得しやすくために設けられているものです。

以下に、法律の目的を掲載しておきますが、都市計画法の目的でもこのような内容を見たことがあるのでは無いでしょうか。『へぇー』くらいに思っておいても業務上は全く問題ないです。

【公拡法第1条(目的)】
この法律は、都市の健全な発展と秩序ある整備を促進するため必要な土地の先買いに関する制度の整備地方公共団体に代わつて土地の先行取得を行なうこと等を目的とする土地開発公社の創設その他の措置を講ずることにより、公有地の拡大の計画的な推進を図り、もつて地域の秩序ある整備と公共の福祉の増進に資することを目的とする。

届出義務

届出制度は、公拡法第4条に規定されており一定規模等以上の土地を有償譲渡する場合に、土地の所有者が都道府県知事または市長に届出るものです。

一般的に届出対象となるのは、都市計画道路などの都市施設内や市街化区域で5,000㎡以上などがよくある届出事例と思われます。

【公拡法第4条第1項(土地を譲渡しようとする場合の届出義務)の抜粋】
次に掲げる土地を所有する者は、当該土地を有償で譲り渡そうとするときは、当該土地の所在及び面積、当該土地の譲渡予定価額、当該土地を譲り渡そうとする相手方その他主務省令で定める事項を、主務省令で定めるところにより、当該土地が町村の区域内に所在する場合にあつては当該町村の長を経由して都道府県知事に、当該土地が市の区域内に所在する場合にあつては当該市の長に届け出なければならない

届出の必要な土地取引

土地の面積200㎡以上
  • 都市計画施設内の土地(都市計画道路や公園など)※都市計画施設とは都市計画法に規定されるもの
  • 都市計画区域の土地で次に掲げるもの
    道路法の規定により道路の区域として決定された区域内に所在する土地
    都市公園法の規定により都市公園を設置すべき区域として決定された区域内に所在する土地
    河川法の規定により河川予定地として指定された土地
    文化財保護法の規定により指定された史跡、名勝又は天然記念物に係る地域内に所在する土地
    港湾法の規定により公示された港湾計画に定める港湾施設の区域内に所在する土地
    航空法の規定により空港の用に供する土地の区域として告示された区域内に所在する土地
    高速自動車国道法の規定により高速自動車国道の区域として決定された区域内に所在する土地
    全国新幹線鉄道整備法の規定により行為制限区域として指定された区域内に所在する土地
  • 土地区画整理促進区域内の土地についての土地区画整理事業で、都府県知事が指定し、主務省令で定めるところにより公告したものを施行する土地の区域内に所在する土地
  • 住宅街区整備事業の施行区域として定められた土地の区域内に所在する土地
土地の面積5,000㎡以上
  • 市街化区域内の土地
  • 「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法」に定める重点地域内の土地
土地の面積10,000㎡以上
  • 都市計画区域内(市街化調整区域を除く)※非線引き都市

なお、届出対象外として、都市計画事業により譲渡する土地や都市計画法に基づく開発行為内の土地、国土利用計画法に基づく規制区域などが規定されています。詳細は、法第4条第2項に規定されていますので、土地取引時においては念のためチェックする必要があります。

届出方法・届出先

届出内容としては、『土地有償譲渡届出書(公拡法施行規則別記様式第一)』に次の内容を記載し、正本1部、写し1部有償で譲り渡そうとする前に都道府県知事(町・村は当該長を経由)、または市長に届出を行います。

・土地の地目
・土地に所有権以外の権利があるときは、当該権利の種類及び内容並びに当該権利を有する者の氏名及び住所
・土地に建築物その他の工作物があるときは、当該工作物並びに当該工作物につき所有権を有する者の氏名及び住所
・工作物に所有権以外の権利があるときは、当該権利の種類及び内容並びに当該権利を有する者の氏名及び住所

※土地有償届出先には、土地の位置及び形状を明らかにした図面を添付(各自治体の公式ホームページにおいて必要な添付書類を定めている場合がありますので各自確認願います。基本的に公図は必須です。)

届出後の手続き・手続き中の譲渡制限

届出を受理した都道府県知事または市長は、届出があった日から3週間以内に土地の買い取りを希望する地方公共団体等※1のうちから買取りの協議を行う地方公共団体等を定め、買い取りの目的を示して、届出者に対し、地方公共団体等が買い取りの協議を行う旨を通知することとなります。

なお、土地の買い取りを希望する地方公共団体等がないときは、その旨が通知されます。
※1地方公共団体等:地方公共団体、土地開発公社、港務局、地方住宅供給公社、地方道路公社、独立行政法人都市再生機構

通知を受け取り、買い取り希望の協議となった場合には買い取りを希望する地方公共団体等と協議を行います。

また、届出を行った日から原則として3週間は他者への譲渡制限がかかります。

  • 都道府県知事等から買い取り協議に係る通知の日から3週間を経過する日
  • 買い取り希望が無い旨の通知日まで
  • 届出日から3週間を経過する日まで(何も連絡が無い場合・・・無いと思うけど)

買い取りの場合の土地の価格・税制優遇

地価公示法第6条第1項の規定に基づく地価公示を規準として算定した価格となります。

また、地方公共団体等と買い取り契約が成立すれば、譲渡者は、土地の譲渡所得に係る控除(1,500万円)を受けることができます。買い取り証明書を地方公共団体等から発行してもらい、その証明書を使って税務署で手続きを行います。

買い取り希望の申出

届出義務(公拡法第4条第1項)が生じる都市計画施設等または都市計画区域内の土地で面積が200㎡以上(自治体によっては、100㎡以上としている場合あり)の場合は、買い取り希望の申出を都道府県知事または市長に行うことができます。

届出と異なる点としては、様式が違い、公拡法施行規則別記様式第二『土地買取希望申出書』を提出します。

提出した後の手続きについては、届出義務と同じです。

あくまでも『申出=買い取り希望』であり、もし良かったら都市計画事業や公共施設用地として活用しませんか?というものであり、義務でもないです。例えば、長年借用してきた用地(公営住宅など)を買い取りする場合などにこの制度を利用すれば所得控除を受けることができるので買収に応じやすいのかなと思われます。

罰則規定

届出義務については、罰則規定(過料)が設けられており次のように定められていります。

【公拡法第32条抜粋】
次の各号のいずれかに該当する者は、50万以下の過料に処する。
一 第4条第1項の規定に違反して、届出をしないで土地を有償で譲り渡した者
二 第4条第1項に規定する届出について、虚偽の届出をした者
三 第8条の規定に違反して、同条に規定する期間内に土地を譲り渡した者

本記事のまとめ

ということで以上です。

届出義務が生じる都市計画施設(多くは都市計画道路)内で土地の面積が200㎡以上の取引を行う場合には、役所への届出が必要が必要となりますので、売却の相談を土地所有者から受けた際には留意してみてください。

なお、今回の記事は、公拡法及び国交省ホームページをもとに作成していますので、この記事よりも詳細は国交省のホームページをご覧ください。

参考となれば幸いです。