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【都市計画事業とは何か?】分かりやすく解説します。

この記事では、都市計画事業を解説しています。

都市計画決定したのちに、事業化する都市計画が都市計画事業といいます。全ての都市計画が都市計画事業により実施するわけではないですが、基本的には都市計画事業といって、都道府県知事等から認可を受けて実施します。事業認可を受けることでいくつかメリットがあることからそのような手段を行います。

こんにちは!やまけん(@yama_architect)です。
YamakenBlogでは、建築や都市計画、不動産に関して業務に役立つ豆知識を発信しています。




都市計画と都市計画事業の関係

はじめに法律の定義から、都市計画と都市計画事業の関係性について説明します。都市計画事業とは、都市計画法の冒頭の第4条第15項に次のように書かれています。

[都市計画法第4条第15項(定義)]
この法律において「都市計画事業」とは、この法律で定めるところにより第59条の規定による認可又は承認を受けて行なわれる都市計画施設の整備に関する事業及び市街地開発事業をいう。

つまり、都市計画事業とは次の3つに分類することが可能です。都市計画事業とは、認可・承認を受けて行う都市計画施設(都市施設)の整備と市街地開発事業のことをいいます。

  1. 都市計画法第59条に基づく認可を受けて行われる都市計画施設の整備に関する事業
  2. 都市計画法第59条に基づく承認を受けて行われる都市計画施設の整備に関する事業
  3. 市街地開発事業

では、ポイントとなる都市計画法第59条の規定とはどういったものか説明します。

都市計画法第59条(都市計画事業)

都市計画法第59条とは、都市計画で決定した事業を施行するための認可や承認のことをいいます。

例えば、都市計画道路は、都市施設の一つですが、都道府県の事業認可を受けて施行します。ただし、必ずしも事業認可を受けて施行しなければならいという規定はなく、事業認可を受けずに施行することもあります。

法第59条施行者認可(承認)者概要
第1項市町村都道府県知事の認可
(市町村が第一号法定受託事務の施行を行う場合は国土交通大臣)
・第2項から第4項を除く
第2項都道府県国土交通大臣の認可・市町村が施行することが困難
・不適当な場合その他特別な事情がある場合
※都道府県道など都道府県が施行者となる都市計画施設や市街地開発事業
第3項国土交通省国土交通大臣の承認・国の利害に重大な関係を有する都市計画事業の施行
第4項上記以外都道府県知事の認可・事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においてこれらの処分を受けているとき、その他特別な事情がある場合
※関係地方公共団体の長の意見を聴く

(施行者)
都市計画事業は、市町村が、都道府県知事(第一号法定受託事務として施行する場合にあつては、国土交通大臣)の認可を受けて施行する。
 都道府県は、市町村が施行することが困難又は不適当な場合その他特別な事情がある場合においては、国土交通大臣の認可を受けて、都市計画事業を施行することができる。
 国の機関は、国土交通大臣の承認を受けて、国の利害に重大な関係を有する都市計画事業を施行することができる。
 国の機関、都道府県及び市町村以外の者は、事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においてこれらの処分を受けているとき、その他特別な事情がある場合においては、都道府県知事の認可を受けて、都市計画事業を施行することができる。
 都道府県知事は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の長の意見をきかなければならない。
 国土交通大臣又は都道府県知事は、第一項から第四項までの規定による認可又は承認をしようとする場合において、当該都市計画事業が、用排水施設その他農用地の保全若しくは利用上必要な公共の用に供する施設を廃止し、若しくは変更するものであるとき、又はこれらの施設の管理、新設若しくは改良に係る土地改良事業計画に影響を及ぼすおそれがあるものであるときは、当該都市計画事業について、当該施設を管理する者又は当該土地改良事業計画による事業を行う者の意見をきかなければならない。ただし、政令で定める軽易なものについては、この限りでない。
 施行予定者が定められている都市計画に係る都市計画施設の整備に関する事業及び市街地開発事業は、その定められている者でなければ、施行することができない。

都市計画法第59条

都市計画事業認可を受けることが国の補助を受けるための要件となっていたりする場合や、都市計画法第65条に基づく建築等の制限、さらには、土地建物等の先買いなど、事業を円滑に進めるための手法の一つであることから、認可を受けて施行するのが一般的です。

※不動産取引の場合
施行区域内における建築や土地取引の場合などのケースでは、基本的に事業認可を受けていれば、権利者の方は施行者から何らかの説明を行政から受けているはずですので、あまり深く悩む必要なく、その事業内容(範囲、施工期間、事業の全体の施行期間、買収時期など)を把握するだけ基本OKだと思われます。

事業認可を受けている都市施設については、現代では自治体のホームページに掲載されていることが殆どですので、調査するのも容易かと思います。とはいえ、ホームページ情報や地権者からの情報だけを鵜呑みにせず、調査する際には、必ず施行部署(施設の所管部署)に確認するようにしましょう。

なお、認可告示を受けると次のような規定が適用されます。

  1. 都市計画事業地内における建築及び土地の形質の変更等が制限(法第65条)
  2. 都市計画事業の施行について周知義務(法第66条)
  3. 都市計画事業地内の土地の先買い権(法第67条)
  4. 都市計画事業地内の土地の買取り請求ができる(法第68条)
  5. 土地収用法第26条第1項の規定による事業の認定の告示とみなす(法第70条)
  6. 都市計画事業地内の土地等を提供したため生活の基礎を失うこととなる者は、生活再建のための措置を要求できる(法第74条)
  7. 都市計画事業により著しく利益を受ける者から受益者負担金を徴収できる(法第75)

補足:都市計画事業の区域内における建築等の制限

都市計画事業の告示(認可)があった後においては、都市計画事業の施行の生涯となる恐れがある行為(土地の形質の変更、建築物の建築、工作物の建設、重量が5トンを超える物件など)を行おうとする者は都道府県知事の許可を受けなければなりません。

例えば、都市計画道路の施行区域内で建築計画がある場合はどうでしょうか?工事の支障となるのは明白ですよね。ですのでそういった行為は基本的に許可されません。

[都市計画法第65条第1項(建築等の制限)]
第62条第1項の規定による告示又は新たな事業地の編入に係る第63条第2項において準用する第62条第1項の規定による告示があつた後においては、当該事業地内において、都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物の建築その他工作物の建設を行い、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行おうとする者は、都道府県知事等の許可を受けなければならない
※62条とは、都市計画事業の認可があったことを示す告示のこと。

補足:都市計画税との関係は?

市街化区域にお住まいの方であれば、市町村から都市計画税が徴収されていますよね?その都市計画税は、今回、解説した都市計画事業に使うことができる目的税となっています。詳細はこちらに書いてあるので良かったら読んでみてください。

まとめ

今回は、都市計画事業とは何かについて簡単に説明しました。特に建築士や宅建業を営まれる方向けに書いているので、内容がちょっと専門過ぎたかもしれません。

都市計画事業に関する基本的な考え方として、都市計画事業とは都道府県知事の認可を受けて市町村が施行するものと理解しておき、なおかつ、施行区域内での建築や土地の取引の際にはその事業内容について理解しておくくらいで十分かと思います。

ということで今回の記事は以上となります。参考になれば幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など