【令和2年都市再生法改正】追加された防災指針とは?

令和2年6月10日公布された改正都市再生特別措置法の防災指針とはどういったものなのか調べてみました

改正法は3ヶ月以内(一部2年以内)施行となっていることから、現時点においては具体的な考え方は示されておりません。

おそらくですが都市計画運用指針等の改訂もあわせて行われるはずなので、3ヶ月以内施行については遅くても9月ごろには考え方が示めされるのではないかなーと思います。

ということでこんにちは!はじめましての方ははじめまして!やまけん(@yama_architect)といいます。
普段は、建築や都市計画に関する業務経験を活かして建築士や宅建士の業務に役立つ情報を発信しています。

それでは、『防災指針』について調べた結果を説明していきます。




防災指針とは?


※出典:第16回都市計画基本問題小委員会 資料2 防災・減災等のための都市計画法・都市再生特別措置法等 の改正内容(案)について

防災指針は、立地適正化計画が規定されている都市再生特別措置法第81条第2項に設けられた新たな規定です。法律上は次にように記載されますが、簡単にいってしまうと、居住誘導区域の防災・減災対策等の指針です。

防災・減災対策等の指針と言っても指針のほかに施策(事業)も紐づくようなので、市町村による安全確保策を示すことになりそうです。

【都市再生特別措置法第81条第2項第5号】
2 立地適正化計画には、その区域を記載するほか、おおむね次に掲げる事項を記載するものとする。
五 居住誘導区域にあっては住宅の、都市機能誘導区域にあっては誘導施設の立地及び立地の誘導を図るための都市の防災に関する機能の確保に関する指針(以下この条において「防災指針」という。) に関する事項

都市再生特別措置法第81条第2項の規定に加えられたもので、居住や都市機能を誘導区域に誘導するんだから、都市防災を確保してねというものですね。

確かに誘導しておいて災害の危険性が高いっていうのは非常によろしくないですよね…一方で、都市の成り立ちを考えると災害の恐れがあるとこも誘導区域に含めなくてはいけない状況も分かりますけどね。

いずれにしても、災害・減災対策を行うか、遷都のどちらかしかありませんよね。

ということで話は戻り、指針は同項第5号に規定されましたが、計画に位置付けることが可能な土地区画整理事業なども今回の改正により第81条に新たな項が追加されています。

第81条第2項第6号

【都市再生特別措置法第81条第2項第6号】
第二号若しくは第三号の施策、第四号の事業等又は防災指針に基づく取組の推進に関連して必要な事項

第6号において、『防災指針に基づく取組の推進に関して必要な事項』が追加されたため、市町村が定めた防災の指針(例えば、土地の嵩上げ補助事業など)に基づく事業の実施に必要な方針などを記載することができるみたいです。

第81条第11項

【都市再生特別措置法第81条第11項(抜粋)】
2項第6号に掲げる事項には、居住誘導区域内の区域であって、防災指針に即した宅地(宅地造成等規制法第2条第1号に規定する宅地をいう。)における地盤の滑動、崩落又は液状化による被害の防止を促進する事業 (宅地被害防止事業)を行う必要があると認められるもの及び当該宅地被害防止事業に関する事項を記載することができる。
農地、採草放牧地及び森林並びに道路、公園、河川その他政令(砂防設備、地すべり防止施設、海岸保全施設、津波防護施設、港湾施設、飛行場、航空保安施設及び鉄道、軌道、索道又は無軌条電車の用に供する施設並びに国又は地方公共団体が管理する学校、運動場、墓地その他の施設で国土交通省令(学校、運動場、緑地、広場、墓地、水道及び下水道))で定める公共の用に供する施設の用に供されている土地以外の土地

第2項第6号に記載することが可能な事業の一つとなるみたいです。

第11項に追加されたのは、宅地の地すべりや液状化対策といった宅地の被害防止事業などのようです。

大規模盛土造成地マップと関連すると思いますので、こちらの記事を参考までに掲載しておきます。
👉【大規模盛土造成地マップとは】土地取引における将来的なリスクを低減

第81条第12項

【都市再生特別措置法第81条第12項(抜粋)】
第2項第6号に掲げる事項には、溢水、湛水、津波、高潮その他による災害の発生のおそれが著しく、かつ、当該災害を防止し 、又は軽減する必要性が高いと認められる区域内の土地を含む土地居住誘導区域内にあるものに限る。)の区域において溢水、 湛水、津波、高潮その他による災害を防止し、又は軽減することを目的とする防災指針に即した土地区画整理事業に関する事項を記載することができる。

先ほど同様に第2項第6号に記載することが可能な事業の一つとなるみたいです。

第12項は、いわゆる災害ハザードのうちイエローゾーンに関して、災害を防止・減災するための土地区画整理事業を記載することができるようになるみたいです。

ちなみに、イエローゾーンとはいえ、浸水想定区域を示しているエリアですので、近年の大雨被害を鑑みれば、出水期はいつでも起こりうる非常に危険性の高いゾーンとなります。

ただ、土地区画整理事業となると多大な時間を要するのは必至ですし、何度災害が起ころうとも『俺はこの街から出ない!』という人は必ず出るので事業を進めている間に再度災害に見舞われる可能性が高いのかなーと思ってしまいますww そうはならない一体感の高い街であれば可能ですね!!

第81条第13項

【都市再生特別措置法第81条第13項(抜粋)】
2項第六号に掲げる事項には、居住誘導区域又は都市機能誘導区域内の区域(溢水、湛水、津波、高潮その他による災害の防止又は軽減を図るための措置が講じられた、又は講じられる土地の区域に限る。)であって、次の各号に掲げる建物の区分に応じ 当該各号に定める移転を促進するために、防災指針に即した土地及び当該土地に存する建物についての権利設定等地上権、賃借権若しくは使用貸借による権利の設定若しくは移転又は所有権の移転をいう。)を促進する事業(「居住誘導区域等権利設定等促進事業」)を行う必要があると認められる区域(「居住誘導区域等権利設定等促進事業区域」)並びに当該居住誘導区域等権利設定等促進事業に関する事項を記載することができる。
一 住宅 居住誘導区域外の区域(溢水、湛水、津波、高潮その 他による災害の発生のおそれのある土地の区域に限る。)から当該居住誘導区域への当該住宅の移転
二 誘導施設 都市機能誘導区域外の区域(溢水、湛水、津波、 高潮その他による災害の発生のおそれのある土地の区域に限る 。)から当該都市機能誘導区域への当該誘導施設の移転

先ほど同様に第2項第6号に記載することが可能な事業の一つとなるみたいです。

第13項は、誘導区域外から誘導区域への移転を促進するための制度となるようでして、名称としては、居住誘導区域等権利設定等促進事業となるようでして、市町村のコーディネートにより移転を促進するものですね。

移転機能としては、住宅と誘導施策、促進事業区域を定めることになるみたいですが、これに関しては、低未利用土地権利設定等促進計画のようにケーススタディがないと市町村の担当者はイメージしづらいような気がします。

とここまでが、新たに法律に記載されることとなった『防災指針』の内容について簡単に概要を説明しました。

それではここからは、防災指針の具体的な施策について検討を行っている国の検討会議(水災害対策とまちづくりの連携のあり方検討会)の状況について調査してみました。

水災害対策とまちづくりの連携のあり方検討会とは?

2020年1月8日に設置され、これまでに計3回検討会が開催されており、6月末に報告取りまとめとなっているようなのでそろそろ考え方が示されるっぽいですね。

会議体が設置している背景としては次の2つが理由です。

  • 近年、各地で大水害が発生しており、今後、気候変動の影響により、さらに降雨量の増加や海面水位の上昇により、 水災害が頻発化・激甚化することが懸念。
  • このような気候変動により増大する水災害リスクに対して、堤防整備等の水災害対策の推進に加えて、土地利用や 建築物の構造の工夫、避難体制の構築など、防災の視点を取り込んだまちづくりの推進が必要。
    ※出典:水害対策とまちづくりの連携のあり方検討会資料

検討項目としては次の3つで、防災指針と大きく関係してくるのは3つ目(水災害対策とまちづくりの連携によるリスク軽減手法の検討)かなと思います。

  • 水災害に関する各種ハザード情報のあり方の検討
  • 各種ハザード情報の具体的なまちづくりへの反映手法の検討
  • 水災害対策とまちづくりの連携によるリスク軽減手法の検討

 


※出典:第3回水災害対策とまちづくりの連携のあり方検討会資料

上記図は、第3回の検討会議資料ですが、この中に記載されていることが対策案となることが考えられるため、同時に『防災指針』として記載することができる事項として整理されるんじゃないかなーと思います。

具体的施策案
土地の嵩上げ、都市農地の保全、大規模盛土造成地の安全確保、避難地(防災公園)、避難路の整備、避難ビルの配置、浸水深以上への居室設置、警戒避難体勢の構築、宅地・基礎の嵩上げ、電気設備の浸水対策、遊水機能の今日か、下水道設備等の内水対策、防災集団移転、がけ地近接等危険住宅移転など

具体的にどういうことかというと、これから『水災害対策とまちづくりの連携促進のためのガイドライン』の骨子案が示される(7月はじめ)ことなりそうで、そのガイドライン骨子において具体的な対策が示されることになり、モデル都市における検証等を踏まえ、来年3月にガイドラインを取りまとめて、その後、河川管理者・地方自治体への通知・公表となる見込みのようです。

モデル都市を複数選定するそうですが、既に候補地は決まっているでしょうね。おそらくですが、国が取り組みやすい一級河川沿いの都市が候補として上がっているのではないかと想定されるところ。

本記事のまとめ

ということで以上となります。

防災指針の法施行日は3ヶ月先(9月ごろ)となるので、現在のところ詳細を掴むことができませんが、今後、国における検討会議を経て、具合的内容が明らかになってくると思います。

水災害対策とまちづくりの連携のあり方検討会』の動きに注視しておけば特に、どういったことが防災指針に記載することができるか分かることになると思います。このブログでも防災指針の詳しい内容が分かりました発信していきたいと思います。

それでは最後までお読みいただきありがとうございました。参考となりましたらお気軽に記事をシェアください。