こんにちは!やまけんです。
建築士や宅建士向けの情報を発信しているブロガーです。
この記事では、↓↓の記事の法律別詳細版です。重要事項説明書の説明事項である東日本大震災復興特別区域法の規定を説明します。
重要事項説明の規定を確認
[宅建業法第35条(重要事項の説明等)第1項第二号(抜粋)]
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
二 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要
政令:宅建業法施行令第3条第36号
重要事項説明の対象となる条項としては、東日本大震災復興特別区域法第64条第4項・第5項に該当するかどうかです。なお、次の項で説明しますが、基本的には法第64条第1項の区域として市町村が指定を行っているかどうかが確認のポイントです。
調査項目①(法第64条第4項)
はじめに根拠法を確認します。
【東日本大震災復興特別区域法第64条(届出対象区域内における建築等の届出等)・・・抜粋】
被災関連市町村は、計画区域のうち、復興整備事業の実施区域の全部又は一部の区域を、届出対象区域として指定することができる。
2〜3 (略)
4 届出対象区域内において、土地の区画形質の変更、建築物その他の工作物の新築、改築又は増築その他政令で定める行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、内閣府令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他内閣府令で定める事項を被災関連市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
三 国又は地方公共団体が行う行為
四 復興整備事業の施行として行う行為
- 被災関連市町村: http://www.bousai.go.jp/2011daishinsai/2011jyosei-tokutei.html
- 計画区域:復興整備計画の区域 https://www.reconstruction.go.jp/topics/000702.html
東北沿岸部の都市は、被災関連市町村とされており、当該市町村が震災からの復興を図るため復興整備計画を作成し、その計画に基づく復興事業の実施区域のうち、市町村が指定した区域について届出を課すことができるとする規定です。
調べてみると仙台市さんが、跡地利活用事業として「荒浜地区公共ゾーン」を指定しています。
重要事項説明と関係するのは、この法第64条のうち第4項の規定です。改めて確認していただくと次のように規定されています。
☑️法第64条第4項
届出対象区域内において、土地の区画形質の変更、建築物その他の工作物の新築、改築又は増築その他政令で定める行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、内閣府令(第39条の規定)で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他内閣府令で定める事項を被災関連市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
(政令)
一 次に掲げる土地の区画形質の変更・次号に規定する建築物その他の工作物の新築、改築、増築又は移転の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更・既存の建築物その他の工作物の管理のために必要な土地の区画形質の変更・農林漁業を営む者のために行う土地の区画形質の変更
二 階数が2以下で、かつ、地階を有しない木造の建築物その他の容易に移転し、又は除却することができる建築物その他の工作物の新築、改築、増築又は移転
三 前号に規定する建築物その他の工作物の用途の変更
四 前三号に掲げるもののほか、法令又はこれに基づく処分による義務の履行として行う行為
二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
三 国又は地方公共団体が行う行為
四 復興整備事業の施行として行う行為
届出が必要な行為に着する30日前までに被災関連市町村に対し届出が必要となります。
補足
誤解されるケースとして考えられるのが被災関連市町村というそれだけの理由で、この法令に該当すると考えてしまい重要事項説明を行なってしまうことです。(届出区域指定されていることを間違って伝えることになるので、間違えている情報の提供となってしまいます)
お客さんは専門的な知識を有しないケースが多いですから、こんなマニアックな法文を説明されても関係ないやと思ってしまうのが大半だと考えられるのでトラブルになるケースは少ないように思いますけどね・・・
とはいえ、万が一ですけど、場合によっては信用を失う恐れがあるかな〜と思います。
ですので、重要事項説明の対象となるかどうかは、被災関連市町村が東日本大震災復興特別区域法第64条第1項に基づき、区域指定を行なっているかどうかが大切です。
その上で、第4項に関する説明を行うようにしてみると良いと思います。
では、次に法第64条第5項についてです。
調査項目①(法第64条第5項)
第5項の規定については、届出を行なった場合において変更する場合に、変更に関する行為に着手する30日前までに被災関連市町村長に届出を行なってくださいとするものです。
【東日本大震災復興特別区域法第64条第5項】
5 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち内閣府令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、内閣府令で定めるところにより、その旨を被災関連市町村長に届け出なければならない。
重要事項説明においては、届出を行なっている土地や建築物、工作物の取引において変更する場合に生じるものですので、普段の取引では該当する可能性は非常に低いと考えられます。
本記事のまとめ
重要事項説明において必要となる東日本大震災復興特別区域法第64条第4項及び第5項について説明しました。
ポイントとしては、売買等を行う宅地または建築物が東日本大震災復興特別区域法第64条第1項の届出対象区域として指定されているかどうかです。
指定されているかどうかは、市町村のホームページで確認することが可能です。
なお、公表していない可能性は低いとは思いますけど、一応確認する方法としては、復興整備計画を公表している課に電話しましょう。
ということで以上です。参考となれば幸いです。
東日本大震災復興特別区域法(平成23年法律第122号)第64条第4項及び第5項