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【文化財保護法】「周知の埋蔵文化財包蔵地」は重要事項説明の対象?

こんにちは!やまけん(@yama_architect)です。

建築や都市計画に関する情報を発信しながら生きているブロガーです。過去の行政職経験を生かしながらコンサルやってます。

この記事で分かること

重要事項説明のうち、文化財保護法(埋蔵文化財を含む)に関して、どういった内容を説明しなければならないのか




「周知の埋蔵文化財包蔵地」は重要事項説明の対象?

この記事に辿り着いたということは、『周知の埋蔵文化財包蔵地』が宅地建物取引業法第35条に記載がないことに気づいたからだと思います

はじめに結論から言うと、

『周知の埋蔵文化財包蔵地』は、宅地建物取引業法第35条に規定されていません。もっと詳しくお伝えすると、施行令第3条にも規定されていませんし、省令第16条の4の3にも規定されていません。

そうしたら、重要事項説明の必要性はないの?

と思われがちですが、実務上の取引では、市町村が窓口などで閲覧に供している『埋蔵文化財分布図』を調べてその内容を買主に伝えているように、仮に建築に伴い基礎工事の際に埋蔵文化財が出土した場合には、工事を止めて教育委員会の判断を仰ぐ必要性が生じ、そのことにより建築により効用が得ようとする時期が遅れ、買主側が不利益を被る可能性があるため、一般的に説明を行っていますよね

ですので、宅地建物取引業法第35条に規定がなくても『周知の埋蔵文化財包蔵地』は重要事項説明の対象として、伝えることとなっています。ただし、過去の判例を調べると分かるのですが、法的な対象ではないことや”周知のもの”の判断の可否などから、説明対象かどうかの判断は曖昧です。だからこそ宅地建物取引業法第35条に規定されていないという理由なのかもしれませんけどね。

なお、『周知の埋蔵文化財包蔵地』とは文化財保護法第93条第1項に規定されています。

周知の埋蔵文化財包蔵地とは?

文化財保護法第93条に規定されており、『貝づか、古墳その他埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地』となっています。実務上は、明らかに遺跡である土地や都道府県や市が窓口なので閲覧に供している『埋蔵文化財分布図』により確認した上で、当該地である場合には、その行政の指示に従うこととなります。

【文化財保護法第93条(土木工事等のための発掘に関する届出及び指示)】
土木工事その他埋蔵文化財の調査以外の目的で、貝づか、古墳その他埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地(以下「周知の埋蔵文化財包蔵地」という。)を発掘しようとする場合には、前条第一項の規定を準用する。この場合において、同項中「30日前」とあるのは、「60日前」と読み替えるものとする。

法第92条第1項
土地に埋蔵されている文化財(以下「埋蔵文化財」という。)について、その調査のため土地を発掘しようとする者は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、発掘に着手しようとする日の30日前(読み替えて60日前)までに文化庁長官に届け出なければならない

では、補足として宅建業法35条において説明義務とされている文化財保護法の規定をお伝えします。

宅地建物取引業法第35条に規定される文化財保護法

ご覧いただくと分かりますが、どこにも『周知の埋蔵文化財包蔵地(文化財保護法第93条第1項)』は規定されていないですよね〜。

ですので、繰り返しにはなりますが、この埋蔵文化財包蔵地についての買主への説明については、重要事項説明の規定である法第35条で基づく説明ではないということです。

法令 概要
法第43条第1項 重要文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならないとする規定。
法第45条第1項 文化庁長官は、重要文化財の保存のため必要があると認めるときは、地域を定めて一定の行為を制限し、若しくは禁止し、又は必要な施設をすることを命ずることができるとする規定
法第46条第1項 重要文化財を有償で譲り渡そうとする者は、譲渡の相手方、予定対価の額(予定対価が金銭以外のものであるときは、これを時価を基準として金銭に見積った額。)その他文部科学省令で定める事項を記載した書面をもつて、まず文化庁長官に国に対する売渡しの申出をしなければならないとする規定。
法第46条第5項 法第46条第1項の期間(その期間内に文化庁長官が当該重要文化財を買い取らない旨の通知をしたときは、その時までの期間)内は、当該重要文化財を譲り渡してはならないとする規定。
法第125条第1項 跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならないとする規定。
法第128条第1項 文化庁長官は、史跡名勝天然記念物の保存のため必要があると認めるときは、地域を定めて一定の行為を制限し、若しくは禁止し、又は必要な施設をすることを命ずることができるとする規定。
法第143条第1項 市町村は、都市計画法第5条又は第5条の2の規定により指定された都市計画区域又は準都市計画区域内においては、都市計画に伝統的建造物群保存地区を定めることができるとするもの。
法第182条第2項 地方公共団体は、条例の定めるところにより、重要文化財、重要無形文化財、重要有形民俗文化財、重要無形民俗文化財及び史跡名勝天然記念物以外の文化財で当該地方公共団体の区域内に存するもののうち重要なものを指定して、その保存及び活用のため必要な措置を講ずることができるとするもの。

本記事のまとめ

ということで、文化財保護法(周知の埋蔵文化財包蔵地)に関する重要事項説明の義務の可否について説明しました。宅地建物取引業法第35条には規定されておりませんが、基本的に重要事項説明において説明することとなっています。

買主さんにとって、仮に埋蔵文化財の発掘調査となれば工事の着手は遅れますし、土地を使って得ようとした効用を計画どおりとならないことから、大きなリスクとなります。そのリスクを事前に回避するためにも、市町村の埋蔵文化財分布図などを参考に埋蔵文化財の可能性があるかどうか、契約前に説明するようにしたいところです。

参考となれば幸いです。また〜♪






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など