【要措置区域等】重要事項説明における土壌汚染対策法とは?

こんにちは!やまけん(@yama_architect)といいます。

建築や都市計画に関する情報を発信しているブロガーです。

今回、この記事で解説する『土壌汚染対策法』は、不動産取引における重要事項説明事項(その他の法令上の制限)の対象となっており、調査した上で、当該該当する場合は買主に対し説明する法令となっています。宅建業法施行令第3条第1項第32号に規定されています。

ポイントは次の2つの用語です。これの区域に該当する場合は重要事項説明が必要となります。

  1. 要措置区域
  2. 形質変更時要届出区域

なお、説明しなければならないとする土壌汚染対策法の条項としては、次の3つです。

  • 土壌汚染対策法第9条:要措置区域内における土地の形質の変更の原則禁止
  • 土壌汚染対策法第12条第1項:形質変更時要届出区域内における土地の形質の変更の届出(14日前)
  • 土壌汚染対策法第12条第3項:非常災害のために必要な応急措置として土地の形質の変更に係る届出(14日以内)




要措置区域とは?

汚染の摂取経路(有害物質が人の体内に取り込まれるまでの経路)があり、健康被害が生ずるおそれがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域です。具体的には、省令と政令で定められておりますが、環境省のホームページにより指定されているかどうか確認することが可能です。

▶️要措置区域一覧表(環境省)*外部リンク

この要措置区域として都道府県知事から指定を受けた土地の所有者等は、都道府県知事の指示に係る汚染除去等計画を作成し、確認を受けた汚染除去等計画に従った汚染の除去等の措置を実施し、報告を行うこととされています。また、重要事項説明の規定として、『土地の形質の変更が原則禁止(法第9条)』となります。

なお、例外規定として土壌汚染対策法施行規則第43条に掲げる行為に該当することがなければ、土地の形質の変更を行うことができます。

【土壌汚染対策法第9条(要措置区域内における土地の形質の変更の禁止)】
要措置区域内においては、何人も、土地の形質の変更をしてはならない
。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 第7条第1項の規定により都道府県知事から指示を受けた者が汚染除去等計画に基づく実施措置として行う行為
二 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であって、環境省令で定めるもの
三 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
土壌汚染対策法施行規則第43条

例外規定が設けらていますので、詳しくは施行規則の第43条を確認する必要がありますが、要措置区域については、重要な区域となりますので、事前に役所に例外規定を確認しておく方が望ましいと思います。窓内連絡先一覧表は環境省が公表しているのでリンク先をおいておきます。

▶️土壌汚染対策法に関する問合せ窓口(環境省)*外部リンク

形質変更時要届出区域とは?

土壌汚染はあるものの、汚染の摂取経路(有害物質が人の体内に取り込まれるまでの経路)がなく、健康被害が生ずる恐れがないため、汚染の除去等の措置が不要な区域(摂取経路の遮断が行われた区域を含む)である場合に、都道府県知事が指定するものです。

土地の形質の変更をしようとする者は、 行為に着手する14日前までに都道府県知事に届出を行うこととされています(法第12条第1項)。

なお、例外規定が法第12条第1項各号に定められており、その中では非常災害に関して規定されていますが、法第12条第3項では、非常災害のために必要な応急措置として土地の形質の変更をした者は、当該土地の形質の変更をした日から起算して14日以内に届ける必要があるので注意が必要となります。

形質変更時要届出区域かどうは、環境省のホームページから確認することが可能です。
▶️形質変更時要届出区域一覧表(環境省)*外部リンク

 

【土壌汚染対策法第12条(抜粋)】
形質変更時要届出区域内において土地の形質の変更をしようとする者は、当該土地の形質の変更に着手する日の14日前までに、環境省令で定めるところにより、当該土地の形質の変更の種類、場所、施行方法及び着手予定日その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 土地の形質の変更の施行及び管理に関する方針(環境省令で定めるところにより、環境省令で定める基準に適合する旨の都道府県知事の確認を受けたものに限る。)に基づく次のいずれにも該当する土地の形質の変更
イ 土地の土壌の特定有害物質による汚染が専ら自然又は専ら土地の造成に係る水面埋立てに用いられた土砂に由来するものとして環境省令で定める要件に該当する土地における土地の形質の変更
ロ 人の健康に係る被害が生ずるおそれがないものとして環境省令で定める要件に該当する土地の形質の変更
二 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であって、環境省令で定めるもの
三 形質変更時要届出区域が指定された際既に着手していた行為
四 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
2 (略)
3 形質変更時要届出区域内において非常災害のために必要な応急措置として土地の形質の変更をした者は、当該土地の形質の変更をした日から起算して14日以内に、環境省令で定めるところにより、都道府県知事にその旨を届け出なければならない

 

窓内連絡先一覧表は環境省が公表しているのでリンク先をおいておきます。
▶️土壌汚染対策法に関する問合せ窓口(環境省)*外部リンク

補足

土壌汚染に係る重要事項説明については、今回説明した両区域の有無に関わらず、過去に化学工場や危険物を扱っていた工場、薬品をつくった製造所、クリーニング工場などの場合には土壌が汚染されている可能性が高いため、売主からの情報を鵜呑みにせず、過去にどういった用途地域や使われ方をしていたのかなど詳細に調べて、可能な限りリスクを説明することが買主の安心に繋がります。

今回の記事だけでは説明不足の部分もあるので、さらに理解を深めたい方は、こちらの書籍を参考にしてみてください。

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また、法律の規定以外にも条例にて制限を付加していたり、内規などで取り扱いを定めている可能性もありますので、過去の土地の使われ方を調査し、工場などの場合には両区域に該当しているかどうかは別として、自治体の問合せ窓口に念のため確認する事をおすすめします。

 

ということで以上となります。この記事が参考となれば幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など