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【流通業務市街地整備法】重要事項説明(売買・賃借)の解説

こんにちは!

建築や都市計画に関する情報を発信しているブロガー(@yama_architec)です。

今回、この記事で解説する『流通業務市街地整備法』のうち、流通業務地区(流通機能の向上及び道路交通の円滑化を図る地区)は都市計画で規定される地域地区の一つとなっています。

不動産取引においては、重要事項説明事項(その他の法令上の制限)の対象となっており、調査した上で、当該該当する場合は買主・借主に対し説明する法令となっています。

詳しくは、宅建業法施行令第3条第1項第11号に規定されています。




重要事項説明の対象は?

流通業務市街地整備法に関する重要事項説明は、次の3つの条項が対象となります。そのうち、賃借については、法第38条第1項が対象となります。

条項 概要
売買 法第5条第1項(流通業務地区内の規制) 流通業務地区においては、流通業務施設以外の施設を建設してはならない。なお、都道府県知事等が流通業務地区の機能を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合を除く。

☑️法第5条第1項及び政令に該当する流通業務施設以外の建築物を建築することは原則的に認められていません。

売買 法第37条第1項(流通業務施設の建設義務) 施行者から流通業務施設を建設すべき敷地を譲り受けた者(国等を除く。)は、施行者が定めた期間内に、建設計画を定めて、施行者の承認を受けた上で、流通業務施設を建設しなければならない。

☑️建設義務がある場合には、計画期間内に流通業務施設を建築しなければならないとするものです。不動産取引においては建設計画の有無や承認申請の方法などを自治体に確認する必要があります。

売買・賃借 法第38条第1項(造成敷地等に関する権利の処分の制限) 事業に係る工事完了公告から10年間は、造成敷地・流通業務施設又は公益的施設に関する所有権、地上権、質権、使用貸借による権利又は賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転については、当事者が都道府県知事の承認を受けなければならない。

☑️工事完了公告から10年以内の取引(所有権等の設定や移転)の場合には、都道府県知事の承認を受けないといけないとするものです。

国が公表している『都市計画施行状況調査』によると平成31年3月31日現在で、27都市29地区が指定されています。

27都市と地区は次のとおりです。*平成31年3月31日時点(出典:都市計画施行状況調査)

  • 札幌市:大谷地流通業務地区
  • 花巻市:花巻流通業務地区
  • 郡山市:郡山流通業務地区・郡山南流通業務地区
  • 笠間市:先端総合流通センター流通業務地区
  • 鹿沼市:鹿沼流通業務地区
  • 越谷市:越谷流通業務地区
  • 大田区:南部流通業務地区
  • 板橋区:西北部流通業務地区
  • 足立区:北部流通業務地区
  • 江戸川区:東部流通業務地区
  • 新潟市:新潟流通業務地区
  • 射水市:小杉流通業務地区
  • 岐阜市:岐阜流通業務地区
  • 名古屋市:西部流通業務地区
  • 茨木市:北大阪流通業務地区
  • 東大阪市:東大阪流通業務地区
  • 神戸市:西神流通業務地区・神戸流通業務地区
  • 西宮市:阪神流通業務地区
  • 米子市:米子流通業務地区
  • 岡山市・早島町:岡山県総合流通業務地区
  • 広島市・海田町・坂町:広島市東部流通業務地区
  • 広島市:広島市西部流通業務地区
  • 福岡市・粕屋町:福岡流通業務地区
  • 鳥栖市:鳥栖流通業務地区
  • 熊本市:熊本流通業務地区
  • 大分市:大分流通業務地区
  • 鹿児島市:鹿児島流通業務地区

重要事項説明の方法等は?

流通業務地区に該当する取引を行うこと自体が稀なことだと思います。しかしながら、該当する取引の場合には、丁寧に説明する必要があるので注意が必要です。

流通業務地区内については、流通業務市街地整備法第5条第3項の規定により、建築基準法第48条(用途制限)・49条(特別用途地区)は適用されません。そのかわり法第5条第1項による建物用途の制限が適用されます。臨港地区の用途制限と同じです。

流通業務地区の指定自体が多くはないので、当該地区での取引においては自治体に対して法令のほか、別途審査基準がないかどうか確認する必要があります。

【流通業務市街地整備法第5条第1項(流通業務地区内の規制)・抜粋】
何人も、流通業務地区においては、次の各号のいずれかに該当する施設以外の施設を建設してはならず、また、施設を改築し、又はその用途を変更して次の各号のいずれかに該当する施設以外の施設としてはならない。ただし、都道府県知事等が流通業務地区の機能を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
一 トラックターミナル、鉄道の貨物駅その他貨物の積卸しのための施設
二 卸売市場
三 倉庫、野積場若しくは貯蔵槽(政令で定める危険物の保管の用に供するもので、政令で定めるものを除く。)又は貯木場
四 上屋又は荷さばき場
五 道路貨物運送業、貨物運送取扱業、信書送達業、倉庫業又は卸売業の用に供する事務所又は店舗
六 前号に掲げる事業以外の事業を営む者が流通業務の用に供する事務所
七 金属板、金属線又は紙の切断、木材の引割り、その他物資の流通の過程における簡易な加工の事業で政令で定めるものの用に供する工場
八 製氷又は冷凍の事業の用に供する工場
九 前各号に掲げる施設に附帯する自動車駐車場又は自動車車庫
十 自動車に直接燃料を供給するための施設、自動車修理工場又は自動車整備工場
十一 前各号に掲げるもののほか、流通業務地区の機能を害するおそれがない施設で政令で定めるもの

重要事項においては、流通業務地区の該当の有無、当該地区に該当する場合には、法第5条第1項に基づく建築制限の内容を説明します。

また、法第37条第1項及び法第38条第1項に該当する場合には説明を行います。

 

以上です。参考となれば幸いです。