【重要事項説明・売買・賃借】施行規則で規定される造成宅地防災区域とは?

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建築や都市計画に関する情報を発信しているブロガー(@yama_architec)です。

今回、この記事で解説する『宅地造成等規制法』のうち、造成宅地防災区域についての簡単な解説です。

不動産取引においては、重要事項説明の対象となっており、調査した上で、該当する場合は買主・借主に対し説明する必要があります。

詳しくは、宅建業法施行規第16条の4の3に規定されており、その他法令の制限(宅建業法施行令第3条)と異なるので注意が必要です。

重要事項説明の対象となる法律(宅地造成等規制法第20条第1項)は次のように規定されています。

【宅地造成等規制法第20条】
都道府県知事(都道府県知事・指定都市・中核市・特例市長)は、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者その他の者に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地(これに附帯する道路その他の土地を含み、宅地造成工事規制区域内の土地を除く。)の区域であって政令で定める基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる

この造成宅地防災区域に指定されるとすぐに強制的な規制や許可があるわけではないですが、区域内の所有者や管理者は擁壁の設置などの措置を行うことが努力義務化される他、必要に応じて都道府県知事(都道府県知事、指定都市長、中核市長、特例市長)から災害の防止のために必要な措置(擁壁などの設置)をとるよう勧告される場合があります。

【宅地造成等規制法第21条(災害の防止のための措置)】
造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者、管理者又は占有者
は、前条第一項の災害が生じないよう、その造成宅地について擁壁等の設置又は改造その他必要な措置を講ずるように努めなければならない

2 都道府県知事は、造成宅地防災区域内の造成宅地について、前条第一項の災害の防止のため必要があると認める場合においては、その造成宅地の所有者、管理者又は占有者に対し、擁壁等の設置又は改造その他同項の災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができる。

造成宅地防災区域の指定については、都市計画決定ではないため基本的に都市計画情報に掲載されません

多くは建築系部局で対応していると考えられるため、造成宅地防災区域の指定の有無については都市計画を担当する部署への確認だけでなく。建築系や河川砂防系の部署にも確認しましょ。

 

なお、今後、大規模盛土造成地に関係で、二次スクリーニング後の対策工事前に国補助事業を活用する関係から指定される可能性が高いです。

そのため、今後の国や自治体の動き(公式ホームページなどでのお知らせ)に注視し、取引時点において指定される可能性がないかどうか確認しておくのが無難です。

ちなみに、造成宅地防災区域に指定されているとなると、大雨時や大規模地震時において宅地の崩壊・亀裂などにより建物にも大きな被害を受ける可能性を否定できなくなりますから、買主・借主としては十分のそのリスクを確認した上で契約することが望まれるところかなと思っています。

 

ということで以上となります。参考となれば幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など