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【海岸法:海岸保全区域とは?】重要事項説明を分かりやすく解説

この記事では、不動産取引において重要事項説明の対象となっている「海岸法:海岸保全区域」について分かりやすく解説します。また、重要事項説明において注意した方が良い点なども併せて説明していきます。

こんにちは!やまけん(@yama_architect)といいます。
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この記事では、「その他の法令上の制限」のうち海岸保全区域を説明をしていますが、その他の制限を調べたい方はこちらの記事をご覧ください。
>>【その他法令上の制限一覧表】重要事項説明の対象となる制限の調べ方と概要




海岸保全区域とは?

海岸保全区域の範囲

海岸保全区域とは、海岸法といって、簡単に言うと津波や高潮などに対して海岸の防護することを目的とする法律に基づき海岸管理者が指定するエリアで、現在(平成31年3月末時点)、全国に約13.7万km指定されているものです。
法律の目的:津波、高潮、波浪その他海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護するとともに、海岸環境の整備と保全及び公衆の海岸の適正な利用を図り、もつて国土の保全に資することを目的とする。

海岸と言っても、港湾内の海岸、漁港内の海岸、干拓地等の農地に隣接する海岸というように複数種類がありますので、それぞれ管理者が異なります。

海岸保全区域は、原則、陸側は満潮時の水際線から50m以内、海側は干潮時の水際線から50m以内に指定されます。(ただし、地形、地質、潮位、潮流等の状況により必要やむを得ないと認められるときは、50mを超えて指定可能)

そのため、沿岸部に発展してきた都市や漁村に指定されている可能性が高いです。

海岸保全区域内での行為制限

この海岸保全区域内では、海岸法第8条に基づき土砂の採取や土地の掘削、盛土などを行う場合には、海岸管理者の許可を受けなければならないとされています。

法令では、次のように規定されています。
行為を行う前に海岸管理者の許可を受けなければならないとされていますので、海岸保全区域内において法令に規定する行為や法第8条第1項第三号の海岸管理者が指定する行為を行おうとする場合には、海岸管理者に対し事前確認を確実に行う必要があります。

なお、法令では、ただし書きが規定されていますが、これは公共工事等によるものですので、例えば民間施設を建築するための土地の掘削などは許可が必要となってきますので注意が必要です。

(海岸保全区域における行為の制限)
第8条 海岸保全区域内において、次に掲げる行為をしようとする者は、主務省令で定めるところにより、海岸管理者の許可を受けなければならない。ただし、政令(施行令第2条に規定されており公共的工事などは許可対象外となっている)で定める行為については、この限りでない。
 土石(砂を含む。以下同じ。)を採取すること。
 水面又は公共海岸の土地以外の土地において、他の施設等を新設し、又は改築すること。
 土地の掘削、盛土、切土その他政令で定める行為(施行令第3条:木材その他の物件を投棄し、又は係留する等の行為で海岸保全施設等を損壊するおそれがあると認めて海岸管理者が指定するもの)をすること。

海岸法第8条

海岸保全区域を調べる方法

海岸保全区域を調べる方法としては、Googleにて『〇〇都道府県 海岸保全区域』と検索する方法があります。大体出てくるので保全区域に指定されているかどうか分かります。

例えば、東京都ですと、この検索方法で確認することができます。

ちなみに東京都では、東京港内に海岸保全区域が指定されております。また、公式ページでは、海岸保全区域の位置図や許可申請の方法などが書かれているので参考にしてみてください。)
>>東京都港湾局(https://www.kouwan.metro.tokyo.lg.jp/jigyo/faq/kisei/hozen/

なお、申請書は施行規則(省令)で定められていないため、各海岸管理者に確認する必要がありますが申請書に記載するべき内容については、施行規則第4条に規定されています。

重要事項説明で説明する内容

宅建業法第35条ー宅建業法施行令第3条第1項第20号に規定されており、海岸法第8条第1項の内容を説明する義務があります。

海岸法第8条第1項とは、上記で説明した海岸保全区域内における土砂の採取や土地の掘削といった一定の行為に対して、行為に着手する前に海岸管理者の許可が必要となることです。

つまり、海岸保全区域内において、一定の行為を行う場合には、海岸管理者(個々の事例によって行政庁名が異なる)の許可が必要となる旨を説明します。
補足して、○○行為については許可されない(される)といった感じに説明します。(*購入予定者がどのような土地利用を想定しているのかによって異なる)

(調査方法)
取引する土地が沿岸部から50m以内の地域であれば海岸保全区域に指定されていないか、まずはGoogle検索にて「○○都道府県 海岸保全区域」として調べます。
それでも指定されているか不明な場合には、「〇〇都道府県 海岸保全基本計画」と調べて、計画書を掲載しているページの下部に記されている問い合わせ先に確認を行います。

取引にあたっては、購入予定者が購入後にどのような土地利用を考えているかヒアリングした上で、例えば、住宅建築であれば許可が必要となる行為なのかなどの許可条件等の確認、許可に要する期間の確認や海岸保全施設の整備予定などを海岸管理者に確認を行います。

なお、沿岸都市の場合には、海岸保全区域内に指定されている可能性が高いですので取引リスクを減らすためにも確実に確認するようにしてみてください。

ということで以上となります。参考となれば幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】一級建築士、一級建築基準適合判定資格者(建築主事)、宅建士など 【実績・現在】元国と地方自治の役人:建築行政・都市計画行政・公共交通行政・まちづくりなどを10年以上経験 / 現在は、地元でまちづくり会社を運営し、都市に関わるコンサルタントや住宅設計、執筆活動を行っています。