令和3年長期優良住宅法の改正(令和3年2月5日に閣議決定され、今国会で可決予定)

こんにちは!やまけん(@yama_architect)といいます。
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今回のブログでは、長期優良住宅法の改正(令和3年)に関する情報です。
住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律案」が令和3年2月5日に閣議決定され、今国会(第204回)に提出されるようです。




見直しの概要

出典:社会資本整備審議会 住宅宅地分科会・建築分科会 既存住宅流通市場活性化のための優良な住宅ストックの形成 及び消費者保護の充実に関する小委員会 とりまとめ(令和3年1月)

今回の法改正の目的は、住宅取得の負担軽減とゼロカーボン対策となります。
既存住宅流通市場を活性化させるための改正のほか、災害への対応等が盛り込まれる形となっています。

国の目標としては、認定長期住宅住宅のストック数を現在の113万戸(令和元年)から10年後に約2倍の約250万戸(令和12年)を目指すようです。

この改正により、長期優良住宅法に関しては、次の項目についてです。

  1. 共同住宅の認定を区分所有者毎の住戸認定から住棟認定に変更
  2. 共同住宅の認定基準の合理化(賃貸住宅の特性を踏まえた基準の設定等)
  3. 良質な既存住宅を長期優良住宅として認定する制度を創設
  4. 認定手続きの合理化(住宅性能評価機関が住宅性能評価と長期優良住宅の基準の確認を併せて実施)
  5. 認定基準に災害リスクに配慮する基準を追加(災害の危険性が特に高いエリアを認定対象から除外)

では、ここから現時点の法案(施行令・省令・告示を除く)から、改正概要を簡単に解説したいと思います。なお、施行令・省令・告示等については現時点において不明です。今後、内容が分かり次第、こちらの記事を更新していく予定です。

共同住宅の住棟認定

出典:社会資本整備審議会 住宅宅地分科会・建築分科会 既存住宅流通市場活性化のための優良な住宅ストックの形成 及び消費者保護の充実に関する小委員会 とりまとめ(令和3年1月)

長期優良住宅法第5条の第4項・第5項に新たに追加されます(現行の第4項は第6項に条ズレします)。

第4項が新築分譲マンションの住棟認定で、第5項が既存分譲マンションの増改築にかかる住棟認定となります。

住棟認定ができるの者は、区分所有住宅の管理者等(管理者、管理組合法人の理事→区分所有住宅分譲事業者)となるようです。

住宅(複数の者に譲渡することにより区分所有住宅とするものに限る。)の建築をしてその構造及び設備を長期使用構造等とし、当該区分所有住宅の管理者等(建物の区分所有等に関する法律第3条若しくは第65条に規定する団体について同法第25条第1項(同法第66条において準用する場合を含む。)の規定により選任された管理者又は同法第47条第1項(同法第66条において準用する場合を含む。)の規定による法人について同法第49条第1項(同法第66条において準用する場合を含む。)の規定により置かれた理事をいう。以下同じ。)において当該建築後の区分所有住宅について長期優良住宅として維持保全を行おうとする場合における当該譲渡をしようとする者(第9条第3項及び法第13条第3項において「区分所有住宅分譲事業者」という。)は、国土交通省令で定めるところにより、長期優良住宅建築等計画を作成し、所管行政庁の認定を申請する ことができる。

長期優良住宅法第5条第5項(住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律案)

施行日は、改正法の公布後9ヶ月以内とされています。

おそらくですが、公布が5月末頃だとすると、年明けあたりに施行かなと思います。
法施行の動きにあわせて、各自治体の条例改正(手数料等の改正)が行われるはずです。
(各市町村や都道府県は大変でしょうね・・・)

認定基準に災害リスクに配慮する基準を追加

認定基準が規定されている第6条第1項に次の号が追加されます。

災害の危険性が高いエリアだとすれば、災害レッドゾーンなどが考えられますが、具体的な考え方は示されていませんが、地区計画等への適合確認と同じように告示(H21国交告208の方針)に示されると思います(あくまでも想定です)。

建築をしようとする住宅が自然災害による被害の発生の防止又は軽減に配慮されたものであること。

長期優良住宅法第6条第1項第四号(住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律案)

なお、国の既存住宅流通市場活性化のための優良な住宅ストックの形成 及び消費者保護の充実に関する小委員会のとりまとめ(令和3年1月)によると、例えばとして、住民等の生命・身体に著しい被害が生ずるおそれがあると認められる災害の危険性が高い区域として、土砂災害特別警戒区域を例示しています。

また、災害の危険性はあるものの、居住を避けるべきとまではいえない区域については、地域の実情を踏まえ、所管行政庁において構造・設備等について一定の配慮を求めることができるようにするべきであるとしていますので、想定とはなりますが、イエロゾーンについては一定の配慮(何かしらの対策)を求めるようになる可能性があります。

※施行日は、共同住宅の住棟認定と同じで、公布後9ヶ月以内を予定しています。

容積率の特例が創設

容積率の特例が法第18条に規定されます。

敷地面積が政令で定める規模以上である住宅で建蔽率、容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資するとして、特定行政庁が許可(事前に建築審査会の同意が必要)したものは、許可の範囲内において容積率の特例を受けることが可能となります。

政令については、法施行が近づけば分かる予定です。
このブログでも政令が分かり次第、この記事を更新する予定です。
なお、施行日は、共同住宅の住棟認定と同じで、公布後9ヶ月以内を予定しています。

既存住宅認定の創設

既存住宅(住宅及び区分所有住宅)の認定制度が法第5条第6項・第7項に規定されます。

詳細は、認定基準等は法第6条第1項第7号に改めて定められる認定基準と合わせて国土交通省令に定められることになる予定です(現時点で省令は不明です)
*詳細が分かり次第、こちらの記事を更新する予定です。

住宅(区分所有住宅を除く。以下この項において同じ。)のうちその構造及び設備が長期使用構造等に該当すると認められるものについて当該住宅の所有者その他当該住宅の維持保全の権原を有する者(以下この項において「所有者等」という。)において長期優良住宅として維持保全を行おうとする場合には、当該所有者等は、国土交通省令 で定めるところにより、当該住宅の維持保全に関する計画(以下「長期優良住宅維持保全計画」という。)を作成し、所管行政庁の認定を申請することができる。

長期優良住宅法第5条第6項(住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律案)

施行日は、公布日から1年6ヶ月以内を予定しています。
今後、省令・告示の改正や建築士向け説明会なども予定されると思います。