国土交通省が毎月公表している「住宅着工統計(2019年2月ー2021年1月)」から、全国的に着工戸数はどのように変化しているのか。
また、価格が上昇している首都圏のマンションについても、着工戸数と1戸当たりの床面積の推移などをリサーチしています。
こんにちは!建築士のやまけんといいます。
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全国的な新築住宅の着工動向
全国的に見ても住宅着工戸数は2019年と2019年を比較すると、2020年は前年に比べて着工戸数が低い結果となっていました。
2020.2-2021.1と2019.2-2020.1を比較してみると、2019.2-2020.1は約89.8万戸が着工されたのに対して、2020.2-2021.1は約81.3万戸と、約10%減少しています。
年間に8万戸も着工戸数が減少しているので、結構な経済損失と考えられます。
過去の年度と比較してみると、平成22年度の81.9万戸に近い数字です。これより悪いのはリーマンショックの次の年の平成21年度で77.5万戸ですから、今回の着工戸数が非常に悪い状態であることが分かると思います。
一方で10年前と比べると人口減少が大きく進んでいる中での値なので、まだ大丈夫かなとも思えます。今後、2030年頃をピークに世帯数が大きく減少していきますから、もっと着工戸数は減少していく状況になっていくものと考えられます。
首都圏の分譲マンションの動向
首都圏の分譲マンションは平成23年以降、価格上昇が大きく進んでいますが、今回の住宅着工統計から見えてきたこととすれば、やはり着工戸数の増加です。
2020.2-2021.1と2019.2-2020.1を比較してみると、2019.2-2020.1は約5.6万戸が着工されたのに対して、2020.2-2021.1は約5.8万戸と、約4.5%増加しています。(1月期に大きく着工工数が伸びたので、その影響が大きいです。)
全国的にも住宅着工工数が減少しているなか、着工戸数にはそこまで影響がなかったものと想定されます。
このことからも首都圏でのマンション需要は健在しており、今後も条件の良い物件(駅に近い、住みたい街エリア、住環境が良いエリアなど)を中心に着工されていくものと想定されます。
特に東京の場合には、世帯数のピークが2030年過ぎ頃ですからまだまだマンション需要はあると思います。
とはいえ、過去記事にも書きましたがマンション価格が上昇し過ぎている感はいがめないので、一般家庭のサラリーマンの手に届きやすい中古マンション市場が伸びていくものと考えられます。
あわせてテレワーク用のリフォーム(住環境の改善)も増加していくと考えられます。
補足
コロナの影響により比較的広い部屋を求める傾向から1戸あたりの床面積が増加するかなと考えていたのですが、そのような結果にもならかった状況です。
これから特にコロナ経済の影響を受けたり、生活スタイルの変化から首都圏マンションの動向が変化するものと考えられますので、新築マンションの動向については定期的に発信していきたいと思います。
今後、中古マンション市場の活性化とコロナによるリモートワークの普及もあって、新築市場においては特に40㎡未満のような小規模マンションが少なくなり、そのため1戸あたりの床面積が微増していくのではないかと予想しています。
なお、70㎡前後または以上のファミリー向けマンションは価格も割高になってしまい一般的なサラリーマン家庭では到底購入できる金額ではないと思いますので、平均で50〜60㎡/戸あたりに落ち着いてくるのではないかと勝手に予想しています。
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