土砂災害警戒区域(土砂災害防止法)内での建築制限を解説。

結論として、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)内においては、建築物や建築物の敷地への制限(土砂災害防止法)は無いです。

建築物や建築物の敷地に対する制限は、建築基準関係規定である建築基準法や今回のイエローゾーンの根拠法のように土砂災害防止法等といった個別法に基づき規定されていますが、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)については法律上の制限はありません。

なお、土砂災害防止法に基づき都道府県知事が指定する土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)においては、建築基準法第20条→建築基準法施行令第80条の3に基づいて居室を有する建築物は外壁等を鉄筋コンクリート造とするような制限が適用されます。

土砂災害警戒区域とは、土砂災害防止法第7条第1項に基づき都道府県知事が指定するもので、”急傾斜地の崩壊等が発生した場合には住民等の生命又は身体に危害が生ずる恐れがあると認められる土地の区域”となっています。

一方で土砂災害特別警戒区域の場合には、”急傾斜地の崩壊等が発生した場合には建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域”となります。

特別警戒区域と警戒区域の違いは、”著しい”という文言があるかどうかですが、建築基準法の基づき構造等の制限が課されるくらいに違うのです。

(土砂災害警戒区域)
第7条 都道府県知事は、基本指針に基づき、急傾斜地の崩壊等が発生した場合には住民等の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、当該区域における土砂災害(河道閉塞による湛水を発生原因とするものを除く。以下この章、次章及び第27条において同じ。)を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域として政令で定める基準に該当するものを、土砂災害警戒区域(以下「警戒区域」という。)として指定することができる。

土砂災害防止法第7条第1項

「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」では、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)と異なり法令による建築物への制限はないものの、建築物の敷地は崖が近接・隣接していることから建築基準法第19条が適用され都道府県条例に基づき、建築物または建築物の敷地への安全対策が必要となります。(→→ここが実務上はめっちゃ重要です)

建築基準法第19条に基づく宅地の安全対策についてはこちらの記事をご覧ください。
>>【がけ条例とは?】がけに近接して建築できないケース・できるケースを解説

それでは以上となります。業務の参考になれば幸いです。

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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など