この記事では、かなりのマニアック向け記事ですが、市町村の担当者や公共交通事業者のお役に立てればと思い書いております。
地域公共交通活性化再生法では、法律の位置づけられている「地域公共交通特定事業」というものがありますが、国の制度概要を読んでも法令の特例措置があります程度しか書いていないので、つまり”なんやねん!!笑”という感じになると思います。
その上、「地域公共交通確保維持改善事業費補助金」は複雑怪奇で意味不明・・・みたいな。
さらに新モビリティサービス推進事業もあるしでもう意味わからんとなる。
このわけ分からない法律のうち、せめて「地域公共交通特定事業」の概要だけでも理解してしまおうということでまとめています。
ではでは、いつもよりも挨拶が遅くなりました♪
やまけん(@yama_architect)といいます^ ^
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地域公共交通特定事業とは?
地域公共交通特定事業は、全部で8つあります。
地域公共交通特定事業は、地域公共交通計画の規定である地域公共交通活性化再生法第5条のうち、第2項第四号の「目標を達成するために行う事業」に定めることができます。この地域公共交通計画に定めることで、道路運送法や軌道法、地方債の特例措置などを受けることができます。
では、8つの事業ですが、次のとおりです。
地域公共交通特定事業名 | 概要 | 法令の特例措置 |
---|---|---|
軌道運送高度化事業 | LRTの導入による定時性・速達性・快適性の確保等を図る運送サービス | 軌道運送高度化実施計画の作成・国の認定 |
道路運送高度化事業 | BRTの導入による定時性・速達性・快適性の確保等を図る運送サービス | 道路運送高度化実施計画の作成・国の認定 |
海上運送高度化事業 | 国内一般旅客定期航路事業等により定時性・速達性・快適性の確保等を図る運送サービス | 海上運送高度化実施計画の作成・国の認定 |
鉄道事業再構築事業 | 鉄道事業の継続な困難な路線について地方公共団体の支援等を受け輸送の維持を図るための事業 | 鉄道事業再構築実施計画の作成・国の認定 |
鉄道再生事業 | 鉄道事業の廃止の届出がなされた路線について地方公共団体等の支援を受け輸送の維持を図るための事業 | 鉄道再生実施計画の作成・国の認定 |
地域旅客運送サービス継続事業 | 鉄道・路線バス・定期航路について継続な困難な路線等を地方公共団体の支援を受け代替運送サービスの提供より維持を図る事業 | 地域旅客運送サービス継続実施計画の作成・国の認定 |
貨客運送効率化事業 | 旅客と貨物の運送を併せて実施することで運送の効率化や経営の効率化を図るための事業 | 貨客運送効率化実施計画の作成・国の認定 |
地域公共交通利便増進事業 | 地方公共団体の支援を受けつつ、地域公共交通の利用者の利便の増進を図るための事業 | 地域公共交通利便増進実施計画の作成・国の認定 |
なお、法律の用語として頻出の「地域公共交通」ですが、法的には”地域住民の日常生活若しくは社会生活における移動又は観光旅客その他の当該地域を来訪する者の移動のための交通手段として利用される公共交通機関”をいいます。
では、ここから事業ごとの概要を説明したいと思うのですが、おそらく地域旅客運送サービス継続事業と地域公共交通利便増進事業がもっとも汎用性が高いのかなと思いますので簡単に解説していきたいと思います。
まずは、地域旅客運送サービス継続事業です。
地域旅客運送サービス継続事業とは?
地域旅客運送サービス継続は、地域公共交通活性化再生再生法第2条第11号に規定され、路線の経営状態が悪く、継続が困難であったり困難となる恐れがある場合に、地方公共団体が公募により運送サービスの維持を図る旅客運送事業者を選定することができるとするものです。
また、一定の要件に該当すれば国からの支援として補助金を活用することが可能となっていますが、この補助金はかなりの複雑怪奇なので理解するのがとても大変かと思います。
「地域旅客運送サービス継続実施計画」の策定自体も補助の対象となるので、実施計画をつくりながら、その中で実施しようとする事業に適合する補助があれば活用するくらいのイメージでいいのかなと思います。
ただ、デメリットもありまして、路線廃止を検討している事業者にとっては代替交通機関の導入まで補助金を活用する関係上、年スパンで時間を要することとなるので、ナルハヤで代替交通に置き換える状況に陥っている場合には、使えない制度だと思います。
その場合には、自治体が早急に対応することとなるのかなと思います。
少し体力はあるけれど、2〜3年後には路線維持が困難となる場合に活用していくのが望ましいあり方なのかなと思います。
地域公共交通利便増進事業とは?
地域公共交通利便増進事業は、地域公共交通活性化再生再生法第2条第13号に規定され、地域公共交通の利便の増進を図るための事業(路線の再編、定額制乗り放題運賃の設定などを行う事業)を行うための制度で、利便増進実施計画を策定し国の認定を受けることで法令の特例措置を受けることができます。
その上で、利便増進実施計画は計画策定及び計画に基づく事業について国の補助金を活用することもできるため、全国の一部の自治体で活用しているようです。
>>https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000075.html
利用者の利便性が向上する様々な事業を展開することができるため、活用しやすさがある一方で、実施計画を策定している市町村が少ないところを見ると、実は認定のハードルが高いのかな?と思ってしまいます。(約640近く策定されている全国の地域公共交通計画のうち利便増進実施計画の作成はたったの40件・・・って)
ちなみに、認定を受けることで一般乗合旅客自動車運送事業の運賃及び料金が記載されている場合には、国の審査が不要となります。(法定協議会+地域公共交通会議)
ということで以上です。簡単にまとめたので情報が少ない箇所があるかもしれませんが、参考になれば幸いです。