「公共交通」の定義と交通分野における「公共」の本来の意味とは?

「公共交通」と聞きイメージするのは、鉄道や路線バスの2択じゃないですかね??
実際は、タクシーも含まれます。

ということで公共交通の定義について法律の用語から解説していきたいと思います。
それから、最近、公共交通に関する国の資料を見ていたらとても良い内容が書かれていたので、そのことについても解説していきたいと思います。

この記事は一級建築士で都市計画を専門としているYamaken(@yama_architect)が書いています♪
(YamakenBlogでは、建築や都市計画、不動産に関して業務に役立つ豆知識を発信しています)




公共交通の定義とは?

こちらの表に記載しているものが公共交通機関となります。
つまり、鉄道、軌道、路線バス、タクシー、自家用有償旅客運送などが公共交通機関となります。

*自家用有償旅客運送とは鉄道、路線バス、タクシーによって十分な輸送サービスが提供されていない地域(公共交通不便地域)において、住民の日常生活の移動手段を確保するため、道路運送法により登録を受けた市町村やNPOなどが自家用車を用いて有償で運送する仕組み(令和2年の改正によりバス・タクシー事業者が協力する事業者協力型も制度化)

種類根拠法備考
鉄道事業者
(JR、民鉄)
地域公共交通活性化再生法第2条第二号イ鉄道事業法
軌道経営者
(LRT、路面電車)
地域公共交通活性化再生法第2条第二号ロ軌道法
一般乗合旅客自動車運送事業者
(路線バス、高速バス、乗合タクシー、コミュニティバス)*貸切バスは対象外
地域公共交通活性化再生法第2条第二号ハ道路運送法
一般乗用旅客自動車運送事業者
(タクシー)
・地域公共交通活性化再生法第2条第二号ハ
・特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法
道路運送法
自家用有償旅客運送
(市町村、福祉輸送、地元主体)
地域公共交通活性化再生法第2条第二号ハ道路運送法第79条の7第1項
一般旅客定期航路事業等
(定期船)
地域公共交通活性化再生法第2条第二号ホ海上運送法
本邦航空運送事業者
(国内線)
バリアフリー法第2条5号ヘ航空法

以上が「公共交通」となります。鉄道や路線バスだけだと思っていた方は、タクシーが公共交通の仲間に入っていることに違和感を感じた方もいるのではないでしょうか。

タクシーは公共交通?

タクシーについては、平成21年に制定された「特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」の目的に答えが書かれています。
ちなみにこちらの法律は、タクシー適正化・活性化法と呼ばれているもので、タクシーを活用した地域公共交通の確保などが目的となっています。

(目的)
第1条 この法律は、一般乗用旅客自動車運送が地域公共交通として重要な役割を担っており、地域の状況に応じて、地域における輸送需要に対応しつつ、地域公共交通としての機能を十分に発揮できるようにすることが重要であることに鑑み、〜(略)〜 特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化を推進し、もって地域における交通の健全な発達に寄与することを目的とする。

特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法第1条抜粋

法律の目的に、”一般常用旅客自動車運送(←タクシー)が地域公共交通として重要な役割を担っており・・・”と書かれていますよね。ここが重要で「地域公共交通として重要な役割」とされていますから、公共交通として認識されていることが分かると思います。

なお、公共交通の前に”地域”という言葉が入って「地域公共交通」と記載されていますが、地域公共交通とは地域公共交通活性化再生法において「地域住民の日常生活若しくは社会生活における移動又は観光旅客その他の当該地域を来訪する者の移動のための交通手段として利用される公共交通機関をいう。」とされています。

ちょっと分かり難いんですけど、国土交通省としては日常生活に必要不可欠な機能(エッセンシャル)として位置づけているということです。都市を構成する重要な要素ということでもありますね。

では、次に「公共」について説明していきたいと思います。

公共交通における公共とは?

「公共交通」って、みなさんどのようにイメージしていますか?

先日、閣議決定された「第二次交通政策基本計画」にとってもわかりやすい表現があったので引用します。なお、交通政策基本計画とは、交通政策基本法に基づき政府が決定する交通政策に関する計画で、第二次計画は、令和3年度から令和7年度までを対象としています。

元来、「公共」という言葉は、「社会的視点に立ち、無料もしくは十分に廉価な価格で、十分な量と質が提供されるべき財やサービス」を意味することが少なくない。その一方で、我が国では、主として民間事業者により供給される「旅客運送契約の下で運賃を支払えば誰もが利用可能な運送サービス」をもって「公共交通」と 呼んでいる。地域公共交通を取り巻く状況が厳しさを増し、「公助」を求める社会的要請が強まる中においても「公共」の持つこの二つの意味の違いを意識した上 での対応が必要である。

第二次交通政策基本計画*出典:https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo12_hh_000220.html

ポイントは”無料もしくは十分に廉価(安いという意味)な価格で、十分な量と質が提供される財やサービス”としているところです。欧州の一部の地域ではあたり前ですが、鉄道や路線バスは行政が負担するという考えとなっています。

一方で日本ではどうでしょうか?地方の田舎で住んでいる方なら分かると思うのですが、公共交通は不公平であることに気づいているはずです。

上記の文章の後段に分かりやすい文章で次のように書かれています。「その一方で、我が国では、主として民間事業者により供給される「旅客運送契約の下で運賃を支払えば誰もが利用可能な運送サービス」をもって「公共交通」と呼んでいる。」

わたし達が普段、公共交通と言っているものは元来の公共交通ではないということが良く分かると思います。あくまでも独立採算で成立することを前提として公共交通が構築されているということです。

採算ベースに乗らない公共交通はいつ何時撤退する可能性があるということです。

つまるところ、日本の公共交通はかなり脆弱だということ。

自動車産業を中心に経済成長してきたこともあるし、都市の人口密度が高く事業成立が容易な大都市が多いのも特徴なので普段から問題視することが少ないのですが、地方都市では公共交通の維持が大きな問題になっています。

ちなみに、第二次交通政策基本計画の素案時点ではもう少し力強く書かれていたんですけど、閣議決定する段階で少しトーンが落ちたんですよね。
参考までに掲載しておきます。

素案時の記載内容
元来、「公共」という言葉は、「社会的視点に立ち、無料もしくは十分に廉価な 価格で、十分な量と質が提供されるべき財やサービス」を意味している。その一方で、我が国では、主に民間事業者により供給され、旅客運送契約の下で誰もが利用できる運送サービスをもって「公共交通」と称している実態がある。地域公共交通を取り巻く状況が厳しさを増し、「公助」を求める社会的要請が強まる中においても、こうした実態を踏まえた対応が必要である。
*第二次交通政策基本計画(素案時)

このくらい力強い発信が必要だったんじゃないかなと思います。

というのも、わたしの考えとして自家用車は嗜好品であって日常生活を営むために必要不可欠なツールであってはいけないと思うのです(なお、カーシェアは使いたい時に使える便利なツールです)。この自家用車が無いと生きていけないということは、自動車産業に首元を掴まれているのと一緒です。

だからこそ、公共交通は地域の財産として維持又は利便の増進を図っていくことが大切だと思うのです。

車を運転することができなくなった段階で公共交通にシフトするなんて無理ですよ〜

運転できなくなったときは自分の力では家から一歩も外出することができなくなったときです。
つまり、見えている先は人生の終わりのときです。もう遅いんですよね。

だからこそ、動けるうちから公共交通を利用したライフスタイルを経験して、歩く時間を増やして家族や友達との出掛ける楽しみを感じることが、残りの人生の生き甲斐にもなると思うのです。

わたしが伝えたいことは、高齢になって移動に不便を感じたくはないのなら定年退職前に利便性の高いエリアに引っ越そうです(定年退職して第二の人生を田舎ライフでなんていうのは二地域居住でいいし、やるなら若いうちだけ!)

ということで以上です。それではまた〜〜〜






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