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「敷地面積の最低限度(最低敷地限度)」を定める理由・なぜ?

こんにちは!やまけん(@yama_architect)です。
YamakenBlogでは、建築基準法や都市計画、宅建に関して業務に役立つ情報を発信しています♪

この記事では「敷地面積の最低限度」が定められる理由について解説していきます。

元役人(建築・都市計画)で得られた知見を基に説明しますので、一般的な内容になるかもしれないですが、都市計画を勉強しはじめた方にとってはタメになると思います♪




敷地面積の最低限度を定める理由

はじめに結論からお伝えすると、「敷地面積の最低限度」は、日照、通風、採光を確保することが目的で定められます。

最低敷地面積の限度のみが単独で指定されることはなく、この最低限度に合わせて、外壁後退や絶対高さ制限、50%程度の低い建蔽率、北側斜線制限などが制限されることでより効果を発揮します。

また、かき又は柵の制限といって、敷地の周囲を囲む塀について、通風等を阻害する構造物の設置を禁止している事例が多いです(都市計画で定める地区整備計画により指定することが可能)。

敷地の細分化により日照や通風が確保できない敷地が乱立してしまうのを未然に防止します。

というのも、敷地面積の最低限度はある程度、大きな範囲(街区単位)で指定されますが、小規模な敷地が乱立してしまうと居住環境も景観も悪化する可能性があるためです。

イメージしていただくと分かりやすいのですが、敷地面積のうち、建築物が建築できる範囲大きくて、庭や駐車場などとなる部分が狭いとどうでしょうか?

そうした街区が形成されてしまったら、日照が確保できない時間帯が多く出てしまったり、風通しが悪くなります。新宿区などの密集した市街地をイメージしてもらうと、とても居住環境が悪そう〜〜ってなりませんか??(新宿区に住んでいる方すみません・・・笑)

そのため、余裕のもった住宅街を形成して良質な住宅街の形成を図るために「敷地面積の最低限度」を定めます。なお、法律では、最低限度は200㎡を超えてはならないとされています。

一般的には、150〜200㎡の範囲で指定されていると思います。

ちなみに、最低限度は200㎡を超えてはならないとする規定ですが、都市計画で指定するのに建築基準法において規定されています。
第一種低層住居専用地域等における外壁後退も同じ規定なのですが、面白いですよね。旧市街地建築物法・旧都市計画法の名残なのかもしれないですね。

(建築物の敷地面積)
第53条の二 建築物の敷地面積は、用途地域に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、当該最低限度以上でなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の敷地については、この限りでない。
 〜  (略)
 前項の都市計画において建築物の敷地面積の最低限度を定める場合においては、その最低限度は、200㎡を超えてはならない。

建築基準法第53条の二第1項・第2項

都市計画で区域等を定めて建築基準法で詳細に規定

よく勘違いされることなのですが、「敷地面積の最低限度」は都市計画で定めるのですが、実際の建築における適合性の確認は建築基準法が担います。

どういうことかと言うと、都市計画で定めるのは区域と最低限度(〇〇㎡)のみで、都市計画が指定されてはじめて建築基準法が実行(適用)されることになります。

都市計画ですので、地域との意見交換や図書の縦覧、公聴会、都市計画審議会などを経て指定されるので、「指定するか〜」と言って簡単に指定できるものではなくて、とても長い手続きを経て指定されます。通常は半年から10ヶ月は掛かると思ってくださいませ。
ちなみに、現代では新たな住宅団地をつくることが少なくなったので第一種低層住居専用地域などに指定することが少なくなりましたから新規の「最低限度」の指定を見る機会は少なくなったと思います。

また、第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域などで指定されることが多い「敷地面積の最低限度」ですが、法律では全ての建築物に適合されるわけではなく、一定の建築物や既存不適格建築物(最低限度が定められた以前は適合していた敷地が最低限度の指定により適合しなくなった敷地)についても緩和措置が設けられていることに留意が必要です。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など