【敷地分筆・分割とは?】違反建築物とならないために必要な知識! [施行令第1条]

この記事では、敷地の分筆と分割を取り上げています。公図・登記と、建築確認申請・開発許可でいう「敷地」は同じように見えて、実は別の話です。

先に結論です。分筆しなくても建築基準法上の敷地を分けることはできます。逆に、登記上分筆しただけで建築基準法上の敷地が自動的に分かれるわけでもありません。問題になるのは、分けた後に既存建築物と新築建築物の双方が、接道、建蔽率、容積率、高さ、用途、敷地面積の最低限度などへ適合しているかです。

こんにちは。やまけんです。土地の一部にもう一棟建てたい、親族へ土地を分けたい、売却したいという相談でよく出てくる論点です。「分筆すれば建てられる」「同じ地番だから一敷地」という理解はいずれも正確ではありません。


分筆は登記、分割は建築基準法上の敷地設定

分筆は、一筆の土地を二筆以上へ分ける不動産登記の手続きです。たとえば20番1を20番1と20番2に分け、地積測量図を作成して法務局へ分筆登記を申請します。

分割は、ここでは登記を変えず、建築基準法上の敷地を20番1の一部A・一部Bのように設定することをいいます。確認申請では地名地番に「20番1の一部」と記載し、配置図で敷地境界線、寸法、面積を明示します。

建築基準法施行令第1条第1号は、敷地を「一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物のある一団の土地」と定義しています。法令に「一敷地一建築物」という独立した条文があるわけではなく、この定義から、用途上可分の建築物は原則として別の敷地を設定して検討することになります。

住宅とその物置・車庫のように、主用途に従属して一体利用される建築物は用途上不可分となり得ます。一方、住宅と住宅、独立して営業できる店舗と店舗などは、一般に用途上可分です。ただし、名称だけで決まるものではありません。管理、利用者、動線、設備、機能が実態として一体かを図面と運用で説明します。

一筆の土地を二筆へ分筆する例
分筆の例。所有・担保・売買の単位も分けたいときは、登記上の分筆が必要になります。
同じ一筆の中で建築基準法上の敷地を分割する例
分割の例。登記は一筆のままでも、確認申請上の敷地境界線を明示して別々に検討できます。

分ける前に既存建築物を再計算する

既存建築物がある土地を分けるときは、新築側より先に既存側を確認します。従来の敷地の一部を新しい敷地へ使うと、既存建築物の敷地面積や境界線が変わるからです。

  • 接道:既存側・新築側とも法第43条の接道長さと道路種別を満たすか
  • 建蔽率・容積率:敷地面積を減らした後の数値で再計算したか
  • 高さ制限:道路斜線、隣地斜線、北側斜線の基準となる境界が変わらないか
  • 防火・採光等:延焼のおそれのある部分、採光補正係数、条例上の窓先空地などが新境界で変わらないか
  • 最低敷地面積・外壁後退:都市計画や地区計画、条例の最低限度を双方が満たすか
  • 確認履歴:既存建築物がどの範囲を敷地として確認を受けたか、概要書・配置図で確認したか
敷地分割により既存建築物の建蔽率等が不適合になる例
既存建築物が使っていた敷地の一部を新築側へ回すと、残る敷地で建蔽率・接道・高さなどが不適合になることがあります。

ここで大切なのは、法改正により自然に生じる既存不適格と同じ扱いにしないことです。所有者側の計画で敷地を減らし、既存建築物を基準に適合しない状態へ変えるのであれば、「昔は適法だったから大丈夫」とは整理できません。

ただし、土地を登記上分筆・売買したことだけで、建築基準法上の敷地が必ず変更されたと機械的に決まるものでもありません。建築物の利用実態、塀や境界標、新しい建築計画、権利関係などから、どの土地を一団の敷地として使っているかが問題になります。不動産売買では、確認図書上の敷地と売買対象地が一致するかを資料で示してください。

開発許可の規模逃れは「一体性」で判断される

都市計画法上の開発区域は、分筆線や事業時期だけでなく、造成、土地利用、道路・排水施設、事業者、取得経緯、販売計画などから一体性を判断します。一定規模を下回るように図面上だけ分けても、同じ計画として宅地化するなら、いわゆる開発逃れとして全体を開発区域に含める判断になり得ます。

埼玉県の開発許可制度の解説では、一つの計画に基づく宅地開発を工期だけ分けても、原則として一体開発として扱う考え方が示されています。「1年空ければ別事業」などの画一的な期間だけで決めないとも明記されています。

神奈川県の一連性判断基準は、道路等の共用、連続した宅地造成、造成範囲の重複などを判断例とし、未利用残地とする場合には土地利用計画図への明記や工作物による区画を求める運用例を示しています。

フェンスは、単なる“おまじない”ではありません。将来利用しない残地を物理的に区切り、造成区域や販売宅地と一体利用しないことを現地でも継続して示す資料になります。許可権者が経験則からフェンス等を求めるのは、図面だけの切り分けでは、工事後に残地まで宅地として使われる計画を見抜きにくいからです。開発逃れを実質的に防ぐ補助線として、意味のある運用だと私は考えます。

ただし、フェンスを置けば一体性が消えるわけではありません。道路・排水・切盛土・販売計画が共通し、実際には全体を使う計画なら、境界柵だけで別事業とは説明できません。逆に、残地の用途、出入口、排水、管理主体、将来計画まで独立し、その状態を図面・工程・現地で一貫して示せるなら、フェンスは説明を強めます。フェンスは結論ではなく、土地利用を本当に分けたことを裏付ける証拠の一つです。

一団の土地を分けて開発する場合の検討例
分筆線だけで開発区域を区切れるとは限りません。造成・道路・排水・利用計画が一体なら、全体を開発区域として扱う可能性があります。

私が特定行政庁に在籍していたときも、開発許可の費用や期間を避けたいという相談は少なくありませんでした。気持ちは分かりますが、面積基準だけを見て土地を切り分けると、後から説明が苦しくなります。まず全体土地利用図を作り、今回工事、将来計画、残地利用、道路・排水の関係を示して、許可権者へ事前相談する方が結局は早いです。

市街化調整区域では、面積が小さくても二段階で確認する

市街化調整区域での分筆・分割は、さらに慎重に扱います。登記上の分筆だけなら、直ちに都市計画法の開発行為になるわけではありません。しかし、その土地で建築や用途変更をするなら、都市計画法第29条の開発許可と第43条の建築等の許可を分けて確認します。

  • 区画・形・質の変更がある:道路新設、切土・盛土、農地から宅地への変更などが開発行為に当たるかを第29条で確認する
  • 開発行為に当たらない:それでも新築・改築・用途変更は、第43条の許可や適用除外が必要かを確認する
  • 既存の許可宅地を分ける:当初の許可図面、予定建築物、許可条件、敷地最低限度、排水・道路計画が分割後も成立するかを確認する
  • 残地へ後日建てる:「今回は使わない」で終わらせず、残地が将来どの許可要件で建築できるかまで確認する

市街化区域などで設けられる開発許可の規模未満という整理を、市街化調整区域へそのまま持ち込むことはできません。神奈川県の案内でも、市街化調整区域には面積による適用除外がなく、500㎡未満でも開発許可が必要となる場合があると明示されています。小さく分けたから安全、ではなく、小さくても許可の入口に立つことがあります。

また、市街化調整区域の許可は、単に土地へ付いて回るフリーパスではありません。申請者の資格、予定建築物の用途、敷地範囲、公共施設との関係などを前提に判断されています。分筆・売買によって前提を変えるなら、許可書、土地利用計画図、検査済証、建築許可の履歴をそろえ、許可権者へ「分けた後の各区画が何を根拠に使えるのか」を確認してください。

分筆・分割を決める実務手順

  1. 既存の確認済証、検査済証、建築計画概要書、配置図を集める
  2. 現況測量を行い、道路・水路・境界・既存建築物の位置を重ねる
  3. 仮の分割線を引き、既存側と新築側を全規定で再チェックする
  4. 用途上可分・不可分の理由と、管理・動線・設備の関係を整理する
  5. 開発行為が関係する場合は全体土地利用計画を持って許可権者へ事前相談する
  6. 売買・融資・担保・相続まで分けるなら土地家屋調査士・司法書士と分筆を検討する
  7. 確認申請の配置図に敷地境界、寸法、面積、既存建築物との関係を明示する

複数建築物を一体的に計画し、通常の敷地単位では合理的に扱えない場合には、建築基準法第86条の一団地認定などが選択肢になることもあります。国土交通省の一団地認定制度の解説で、原則と特例を確認できます。

ということで、分筆か分割かは最初に決めるものではありません。建築基準法・開発許可・登記・売買の条件を重ね、最後に必要な線を決めるのが安全な順番です。

一次資料:建築基準法都市計画法神奈川県「開発関係のよくある質問集」神奈川県「開発行為の一連性の判断基準」横浜市「市街化調整区域の開発・建築」関連条文ナビ


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cat_yamaken
YamaKen都市と建築が好きな人
【資格】一級建築士、建築主事、宅建士、省エネ適合性判定員など /【実績・現在】元役人:土木行政・建築行政・都市計画行政・公共交通行政・まちづくりなどを10年以上経験 / 都市づくりコンサル、建築設計、執筆、エンジニア/