まちづくりにどう影響?【電動キックボード規制緩和】法律の概要と施行日などを分かりやすく解説(5年以内に市街地の移動のあり方が変わる!)

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この記事では、先日(令和4年3月4日)閣議決定され、令和4年通常国会に提出された「電動キックボードの制度緩和」に関して解説しています。今後のまちづくりに良い意味で影響するので、まちづくりに携わっている方はお読みください。

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電動キックボードの何が変わるの?

今回の令和4年道路交通法の改正により「電動キックボード」が制度面で自転車並みに緩和されます。

都内に住んでいる方や通勤されている方であれば、ヘルメットを被っている人とそうではない人が混在して、”何が正しいの?”と疑問に思っている方がいると思います。

「ナンバープレート有りでノーヘルメット」なのは、マイクロモビリティ推進協議会に参画している企業(株式会社EXx、株式会社mobby ride、株式会社Luup、長谷川工業株式会社)が産業競争力強化法に基づく「新事業特例制度」を活用した実証実験(最高速度15km/h,実証エリアを限定した”小型特殊自動車”)によるものです。

つまり、上記の4社+エリア限定でノーヘルが可能になっているのみですので、実証実験以外で電動キックボードに乗車する場合には通常の「原付」として扱われますので道路交通法違反にはならないよう注意が必要となります。

なお、実証実験は、令和4年7月まで延長されたようです。
>>>「特例電動キックボードの実証実験の実施について(警視庁外部リンク)」

ではでは、話を戻しまして、何が緩和されるのか要点を以下にまとめました。


改正道路交通法(令和4年:電動キックボード関連)

  • 電動キックボードは道路交通法上「特定小型原動機付自転車」に区分
  • 運転免許は不要(16歳未満の運転は禁止)
  • ヘルメット装着は努力義務
  • 車道通行が原則(一部は、自転車通行可の歩道も可)
  • 交通反則通告制度・放置違反金制度の対象
  • 危険な違反行為を繰り返す者に対しては、講習受講命令

特定小型原動機付自転車とは?

多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会

電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」に区分されます。

この特定小型原動機付自転車は、改正道路交通法第17条第3項に規定される予定です。また、具体的な基準(出力等)は、道路交通法第2条第10号ロに次のように規定されるようになります。

ロ 車体の大きさ及び構造が自転車道における他の車両の通行を妨げるおそれのないものであり、かつ、その運転に関し高い技能を要しないものである車として内閣府令で定める基準に該当するもの
※内閣府令:今後詳細に決定

令和4年改正道路交通法第2条第10号ロ

法律案では具体的な基準までは公表されていませんが、国の有識者会議(「多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会報告書(令和3年12月)」)によると、15〜20km/h以下とする考えが示されていますので、基準(内閣府令で定められるもので詳細は記事執筆時点で不明)については、基本的に20km/h以下となることが考えられます。

また、電動キックボードは車道通行が原則となりますが、一部のものについては歩道も通行可となる予定(特例特定小型原動機付自転車:改正道路交通法第17条の2)。車両の基準等については、政令(内閣府令)で定められる予定となっています。

運転免許は不要

運転免許は不要ですが、16歳未満は改正道路交通法第64条の2の規定により、電動キックボードの運転を行うことはできません。

また、電動キックボードを運転する恐れのある者に対して電動キックボードを提供してはらないとする条項が規定される予定です。

当然、罰則規定(6月以下の懲役又は10万円以下の罰金)もあるので注意が必要です。

ヘルメット装着は努力義務

特定小型原動機付自転車に該当する電動キックボードであっても、ヘルメットを装着することが努力義務化されることになります。

3 特定小型原動機付自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない
※特定小型原動機付自転車:電動キックボード

改正道路交通法第71条の4第3項

規制緩和の施行日は?

今回の道路交通法改正は、電動キックボード以外にも法改正が行われるため、一律に施行日が決まっているわけではないです。

電動キックボードについては、「公布から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日」と定められています。

公布日は令和4年5・6月頃が考えられますので、その後2年を超えない範囲となっていますから通例的には、遅くても2024年4月には施行日となるのではないでしょうか。

特に車両の技術的課題(地面を蹴ることで20km/hの超過が可能)を克服することが求められている状況ですので、この技術的課題克服は避けて通れないと思います。

多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会(抜粋)

ここからは想定ですが、都内における実証が令和4年7月までとなっていますから、実証用の新たなタイプの車両が導入され検証が行われた上で検討会で議論した後に、政令(車両の基準等)が来年頃には判明するのではないかなと思います。

地方都市を含む全国に普及するのは施行後、2〜3年は必要かと思いますが、今回の規制緩和による電動キックボードの登場により、都市構造の在り方が少し変わってくると考えれているので、わたしなりの考えをお伝えしていきたと思います。

都市内移動を補完する新たな移動手段として急速に普及

交通移動手段別の移動距離(作成:YamakenBlog)

すでに海外では電動キックボードが普及しているのはご存知かと思います。

現在も市場規模は拡大に一途を遂げています。

その理由として、1.0~3.0km程度のちょっとした移動にコンパクトでスマートに移動できるため自転車よりも選択されているところにあります。

特に欧州などの海外の人口密度が高い都市では、日本に比べて自家用車依存度が低く、公共交通の分担率が高いためシェアサイクルも普及しており、電動キックボード(海外ではeスクーター)の市場が拡大するのは必然だったわけです。

また、アメリカでは、5マイル(約8km)以下の移動が移動全体の60%を占めるとされており、この5マイル以下の移動手段(ラストワンマイル)の市場規模が急速に拡大すると考えられています(https://www.cib.barclays/our-insights/micromobility-fast-cheap-and-good-solution-for-smart-cities.html

つまり、このラストワンマイルの創造的イノベーションによって、都市構造が大きく変化すると考えていいと思います。特に、日本では立地適正化計画で定められる都市機能誘導区域周辺の不動産・ビジネス・レジャー・インフラ(道路空間)のあり様が変わらざるを得ない状況になっていくものと考えています。

おデブになってしまった日本の地方都市をスリムにしていくためには良い機会

駅・バス停からの短距離移動がシェアリングにより、自家用車から自転車・電動キックボードに置き換わることで、街中の姿も変化しそうですね。5年後は現在とは異なり、もう少し人目線のまちづくりになっていそうな。

日本での普及には多少の時間が必要

日本では、自家用車優位の政策を長らく続けているためシェアサイクル同様に普及には時間がかかっています。

今後は、国内の主要都市(都内+政令指定都市)は市街地の人口密度が高いため自転車道の整備に合わせて普及していくことが考えられますが、私個人としては、主要都市以外の地方都市でも急速に普及すると考えています。

徒歩と自転車の間を補完する移動手段として電動キックボードが最適だからです。

その上、自転車よりも小型で折り畳むことも可能なためバスや鉄道への持ち運びも想定できますし、何より移動の楽しさが移動に付加価値をもたらす点には注目するところ。ペダルをこぐ必要がないたためシェアサイクリングよりもちょっとした移動に選択されやすいのではと思います。

地方では、数百m先も自家用車を使うような状態ですから、0.5km〜3km程度の移動に対して自家用車よりも選択されやすくなるのではと思います。

当然、地方都市は東京などに比べて自転車道の整備が遅れているため、普及率の上昇にはインフラ整備が欠かさせないとは思いますが、それでもシェアサイクルよりも選択されやすいと考える方が現実的です。

普及条件・まとめ

日本では、公共交通に対して独立採算制があたり前であることや、人口・気候・地形的制約などから、普及可能な条件が見えてきます。特に公共交通機関として公共側がコストを負担しない限りは次の条件が必須となると思われます(シェアサイクルと同じ)

  • 市街地における一定以上の人口密度を有すること。
  • 積雪が少ない地域であること

以上に加えて、自転車道の整備が進んでいることも電動キックボードの普及率に影響していくものと考えられます。

持ち運びが便利でかつ、ちょい乗りに適している電動キックボードは明らかに街中で普及することが考えられますが、一方で街中での自家用車との共存が課題になってくるものと考えられます。

まちなかの道路を独占している自家用車にとっては邪魔だからですよね。みなさんも一度は『自転車邪魔だな〜』って思ったことありません?(道路は自家用車だけのものではないんですけどね。)

地方都市では、自家用車依存度が非常に高いため、居住地から駅までの距離が3.0kmを超えるようなケースでは自家用車優位のまま推移すると考えられますが、バスや鉄道への持ち込みの手軽さが改善されていくことで地方都市でも普及していく可能性があるのかなと考えています。

ただし、シェアサイクリングと同じく単独事業としての成立性には高い人口密度(1haあたり60~70人以上)や観光地(来訪客数の多さ)であることなどから、地方都市での成立には行政側の支援が欠かせないと考えられます。(シェアサイクルに公共投資していることと同じ考え)

欧州と異なり自家用車優位に道路を整備したために自転車道の整備が追いついていない状況を鑑みると、日本における普及は、『自家用車vs自転車・キックボード』となるのは必然ですね(笑)。

自動車関連産業は日本のGDPの1割を占め、就業人口も542万人(2018年)に達しているので、自家用車をいきなり邪険とするのは、現実的に難しいでしょうから段階的に変化していきそうです。

現実的にはシェアリング市場が拡大しているので、共存の道を選択するのは自動車関連業界側になりそうかなと考えています。


ということで以上です。今回の法改正の結果は5年後ぐらいに見えてくると思うので、その際にはまた記事にしていきたいと思います。それでは最後までお読みいただきありがとうございました。






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