この記事では、流山市が移住先として人気となっている理由について都市計画の視点から考察しています。やまけんの勝手な考察なので気を悪くしないで読んでください。笑
こんにちは。やまけん(@yama_architect)です^ ^
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流山市の位置
みりん発祥の地として知られ、水運も盛んだった江戸時代。幕末の戊辰戦争では新撰組の本陣が置かれ近藤組長が官軍に捕らえた場所として知られています。
新撰組ファンには流山といえば、『母になるなら流山』よりも『近藤勇と土方歳三が永遠に別れた土地』としての方が有名ですね。
流山市は、東京都内から北東部に位置し、都心から約30km、つくばエクスプレスで約30分程度で秋葉原駅まで到達します。都内の距離としては、隣接する柏市とほぼ同じ位置にあります。
流山市の人口動向
*出典:流山市https://www.city.nagareyama.chiba.jp/business/1006720/1006721/1006731.html
流山市は、戦後の一貫した首都圏への人口流入に伴い、急激に人口増加が進んでいます。
大正9年なんて1.1万人ですよ。宿場町や城下町として栄えた都市にしてみれば、爆発的な人口増加の恩恵を受けたのねと思われるのは必至。
とはいえ、一旦、2000年前後には人口増加の傾向が落ち着いたのですが、その後、つくばエクスプレスの開業に伴い再び人口増加が進み、2020年には199,849人と50年前に比べて約14万人も増加している状況です。
それにしても10年に5万人近い方が増加しているので、都市計画において区画整理事業等の整備を行わなかったら絶対に出来ない至難の技。こんなの城下町を抱えるような都市では絶対に無理です。
この傾向は首都圏近郊都市どこでも生じているので流山市に限った傾向ではありませんが、2005年以降の人口増加率については、つくばエクスプレスの開業効果が大きいものと考えられます。
市街化区域面積の増加
つくばエクスプレスの開業に合わせ宅地供給を行った関係上、市街化区域(市街化を促進する区域)面積も大幅に増加しています。
年 | 市街化区域面積(ha) |
---|---|
1985年 | 1,488 |
1991年 | 1,494 |
2020年 | 2,151(657ha増加) |
特に、つくばエクスプレス線のために制定した特措法(後述)に伴い、宅地供給を大量に行っている関係上、平成10年には、約600haの土地区画整理事業を都市計画決定しています(正確には630ha)ので、仮に宅地割合を2割、平均容積率150%として、一戸当たりの床面積75㎡とすると約2.5万戸供給され、一世帯当たり2人(令和2年では2.40人/世帯)としても約5万人は供給できる計算となります。
人口は、もう少しで高止まりするのかなと思います。
ちなみに流山市の世帯数は、2005年から2020年までの間に約2.6万世帯増えている状況です。また、流山市の将来人口予測によると令和9年の約21.3万人がピークと捉えているようです。
ですので、あと1万人は増加すると考えられますが、急激に若い世代の人口が増加しているので、今の子育て世代が高齢者になった際(2040〜2050年代)にオールドタウン化し、活気や勢いが無い都市となる恐れがあるため、その対策として住み替え施策を行わないといけない状況になるかなと思います。
とはいえ、今後20年間は安定した住みやすい街が継続されるものと思います。
ですので、子育てがひと段落するまでの間、生活する都市としては最適だと思いますよ。江戸川と利根川に挟まれた都市なので水害の恐れはありますが、今後20年の間に平安海進のような急激な海面上昇でも起きない限りは大丈夫。
TX沿線都市の人口は増加
なお、流山市のみならず、つくばエクスプレス沿線都市の人口は過去15年間で大幅に増加している状況にありますので、私が言うまでもないですが、将来、流山市同様に住み替え対策等を行っていく必要性は生じそうです。
どうでもいい話。(市場に任せれば郊外の住宅団地の住み替えが勝手に進むと思ってしまい放置した結果が全国の地方都市で発生しているオールドタウン化した郊外の住宅団地です。)
沿線都市の人口増率としては、流山市がトップで1.31倍、次いで守谷市(茨城県)が1.27倍となっています。
守谷市も都心まで約40km、つくばエクスプレスを利用すれば約40分程度で秋葉原まで行けますので比較的便利な位置にあると思います。おそらくTX線沿線であればどこでも住みやすさとしては良いはず。
*ちなみに、流山だと都心に近すぎるから、守谷にしようかな〜と考えて移住している人も相当数いると思います。特に守谷であれば高速で、中部にも北関東・東北どこにでも行きやすいですからね。
都市名 | 駅数 | 2005年 (人) | 2020年 (人) | 人口増加数 (人) | 増加率 |
---|---|---|---|---|---|
つくば | 4 | 200,528 | 241,656 | 41,128 | 1.21 |
守谷 | 1 | 53,700 | 68,421 | 14,721 | 1.27 |
つくばみらい | 1 | 40,174 | 49,872 | 9,698 | 1.24 |
柏 | 2 | 380,963 | 426,468 | 45,505 | 1.12 |
流山 | 3 | 152,641 | 199,849 | 47,208 | 1.31 |
八潮 | 1 | 75,507 | 93,363 | 17,856 | 1.24 |
三郷 | 1 | 128,278 | 142,145 | 13,867 | 1.11 |
上表から、流山市の場合には、都市規模に比べて停車駅数が3つもあることから、その駅周辺に宅地供給を図りやすくかったのも人口増加率・人口増加数ともにトップとなった要因では無いかと考えられます。
また、移住先として、一般的なサラリーマンが購入できるマンション価格及び土地価格であること、駅までの距離、許容できる通勤時間、周辺施設くらいかなと思います。
もちろん子育てに優しいかどうか支援施策が充実しているかは移住先として選択する場合のファクターとなりえますが、何よりも購入できる価格帯であるかどうかでしょう。
とはいえ、若い世代が多いというにはある意味で子育てに不安がある方にとっては同世代と悩みを共有・共感することができるので、そうした意味では選択されているのかなとも思います。
簡単にまとめると。
未開発地が多く、鉄道整備に合わせて行政支援のもと宅地開発が行われたTX沿線が市場ニーズとマッチしているのではと考えられます(どの程度、国庫補助金が投入されているかどうかは調べていませんが、特措法による整備ですので国家プロジェクトですから十分な支援が受けられているはずです)
まとめ
つくばエクスプレス線は、当初常磐新線として「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法(平成元年法律)」に基づき、多大な国等の支援を受けなら鉄道整備と沿線の宅地開発が一体的に行われています。
つくばエクスプレスは、常磐線の混雑率緩和を目的として整備されたものですが、2019年には混雑率171%を記録しており、開業以降も一貫して乗車人員が増加(開業2005年は150,700人/日→2019年は395,400人/日)している状況にあります。
これ以上増えたら、快適な通勤が出来なくなって、始発に近い、つくば、つくばみらい、守谷がより選択されるようになりそう(通勤1時間は全く問題ないと思慮)
私も記憶にありますが、開業当初は一部マスコミが税金の無駄遣い的な報道をしていたように思います(今だけを見て批判して視聴率を稼ぐ愚かな行為ですよね。行政を批判すればいいみたいな風潮、本当にやめた方がいいと思う)。
しかしながら沿線の宅地開発によって、現状は想定を超過しており、現在は輸送量強化に向けて6両から8両編成に向けた取り組みが進められているようです。
ちなみにこの法律は、首都圏以外の近畿・中部にも適用される法律ですが、常磐新線以降はどこも適用されていない法律となります。
つくばエクスプレスの開業によって沿線の未開発地は宅地化されたことに伴い、沿線の都市(千葉・茨城)は人口が増加しています。
その中でも、住みやすい都市空間に整備にあたり民間企業と連携したり、広告戦略を上手に行った流山市さんが注目され、子育て支援施策が充実していたこと、地価が他の既成市街地よりも低く、大量に住宅地を供給できたために人口増加できたということです。
実際、都内のマンションは一般的な若い世代のサラリーマンには購入できませんから、どうしても郊外を選択せざるを得ない状況ですからね。流山市に限らず、都内近郊の未開発地や再開発エリアについては、マンションの人気が高く、今後も移住者が増えると思います。
つまり、都内の方や都内に通勤されているアパート居住者が、通勤・通学に便利な都内からそこまで離れていないエリアで、かつ既成市街地のような古臭い街並みではない洗練された土地が選ばれたいうこと。
この傾向は大都市近郊のどこでも生じていて、明石市も同じように神戸市とは異なる都市計画区域にも関わらず神戸市への通勤者が多いことから、その通勤者となる若い世代の子育て支援施策を充実させることで、人口が増加している状況にあります。
つくばエクスプレス沿線は新線開発と宅地開発が一体的におこなれたことによって、達成できた事業だったわけです。開発事業者の方ならわかると思いますが、誰だって、未開発地を開発する方がいいですね。既成市街地をまとめ上げて再開発するのは時間もコストもかかって誰もやりたくないですからね。
あまり良いまとめではありませんでしたが、人口増加の起因は常磐新線という国家プロジェクトとそのプロジェクトに関して行政が上手に民間企業等と連携したことが理由ということ考えられました。
ということで以上となります。それではまた〜〜♪