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【長屋とは?】アパートや共同住宅との違いなどを建築基準法の観点から解説

こちらの記事では、「長屋とは?」について建築基準法の定義などを解説しています。

こんにちは。やまけん(@yama_architect)です^ ^
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長屋とは、建物内に共有空間が無い建築物

建築基準法の用語の定義では「長屋とは、〇〇という」のような解説はありません。そのため、一戸建て住宅や共同住宅に関する定義もなされていません。このことから、一般的には建築行政が運営する全国的な会議の中で決められています(書籍リンク:https://www2.icba.or.jp/products/detail.php?product_id=495)。

建築基準法のみですと、長屋は住宅に分類(一戸建て住宅、長屋、共同住宅、寄宿舎など)されます。

みなさんが「長屋」とイメージするときに最初にイメージするのは江戸時代の庶民の暮らしにおいて必ず出てくる住宅ではないでしょうか??ずばり、この「長屋」こそ現代でも長屋として使われています。

現代の建築基準法では困難な建物配置設定(避難上危険)となります。無理やり出来なくはないでうけど、やる人はいないはず(笑)

すみません。脱線しました。

つまり、長屋とは、共用の階段・廊下等がなく、各住戸から直接外に出られ、かつ道路に面している建築物(2戸以上を有するもの)のことです。一方で共同住宅とは、共用の階段又は廊下、ホール等で2戸以上の住戸が共有している建築物をいいます。

ですので、地方ではよく○東建託さんや東○コーポレーション、積◯ハウスさんがアパートを建築されていますが、厳密(建築基準法上)には、長屋と共同住宅に分けることが可能です。

友達に家を案内され、その建築物を建築士が見ると、アパートやマンションと言わずに「あ、長屋(若しくは共同住宅)ね」と言ってしまいます。

そうすると「長屋じゃないし」と言われたり・・・。

どうしても、長屋というと江戸時代のイメージが先行するため「低質な住宅に住んでいる」と思われてしまっているのではないかと思います。

決してそのようなことはないんですけどね。長屋も共同住宅も集合住宅(アパート)と変わりないですからね。むしろ、現代では長屋方式も求められていると言ってもいいと思います。

長屋=テラスハウスorタウンハウス

厳密には、権利関係が絡んでくるので、正式なテラスハウス又はタウンハウスとは言わないのですが、敷地形態としては、長屋はテラスハウス又はタウンハウスと言えるので、こちらの図をご覧ください。

長屋の特徴として、テラスハウス方式の場合には共有の専用庭を整備しています。また、タウンハウスの場合には共有庭を整備しています。正式には、テラスハウス方式は所有権(境界線で分筆)、タウンハウス方式は区分所有権となっています。

いずれも戸建住宅に近い形で住むことができるメリットがあります。

一方で現代の長屋は、重層長屋といって、2階建ての長屋が主流です。建物によっては敷地内に共有の庭と言えるスペースを有する長屋もありますが、現代の多くの長屋は、共有スペースは庭ではなくアスファルト舗装の駐車場のみというのが現実化かと思います。

専用の庭がないんですよね。その分、共同住宅のうち分譲マンションクラスのグレードですと、1階部分に専用庭があったりします。

長屋は「特殊建築物」には該当しない

長屋は共同住宅と異なり特殊建築物には該当しません。

その為、建築基準法及び建築基準法に関する自治体の条例においては共同住宅よりも特に防火・避難関係において制限が緩いです。というのも長屋の場合には、1階の玄関を出れば共有通路・廊下を通らず(避難経路が不特定多数で重複しない)に道路まで避難することが可能です。

家ごと(戸ごと)に分離し、かつ直ぐに外に避難可能などの理由(一戸建て住宅と同じ)などから特殊建築物には該当しないです。

一方で共同住宅ですと、共有廊下があるため避難経路上で多くの方が利用することとなることから、防火・避難規定の関係で制限が加えらています。

ただし、長屋の場合には、3重層式が限界(木造の場合には自治体の条例により2層まで)で、というのも3階部分から1階の玄関までの避難距離に関して建築基準法の制限(距離の上限が設定)が設定されています。その分、共同住宅は各階ごとに玄関があるため避難距離という面ではメリットが高いです。

長屋はコスト面で木造が多いですが、共同住宅は鉄骨や鉄筋コンクリート造が多いのは、こうした建築基準法によるものです。

また、商業地域などで容積率が高く設定され、地価が高い場合には容積率いっぱいまで床面積を使いたい場合には長屋は不向きなため共同住宅が選択されます。

地方部の中心市街地以外で長屋が多いのはこうした理由によるものです。

補足:2世帯住宅も長屋になる?

2世帯住宅でも住宅内で出入りすることができないケース(完全分離)では、長屋となり、界壁の設置などが要求されます。詳細はこちらの記事で書いてありますので良かったらご覧ください。

ということで以上となります。こちらの記事が長屋を知る上での参考になりましたら幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など